曖昧さ回避
概要
JR東海が1989年と翌1990年に東海道本線における新快速の速達化とサービス向上のために新製・投入した近郊形電車。製造は日本車輌、日立製作所、近畿車輛、川崎重工業。
211系5000番台をベースにしており、相互に連結も可能。後に登場した313系の他、211系0番台、213系とも連結運転ができる。
3扉転換クロスシートで、営業最高速度は120km/h。全車が大垣車両区に配置されている。
国鉄・JRの快速・普通列車用車両としては初めて車内電話(カード式公衆電話)が設置された車両でもある。電話は2007年に撤去されたが現在もアンテナが残されている。
4両編成のうち、米原方2両目のサハ311形を抜いて3両編成での運転も可能だが、現時点でその運用実績はない。
製造時期ごとの変遷
4両編成15本とJR東海としては少数派の部類に入る形式だが、製造時期ごとに微妙な変化がある。
- 1次車
1989年7月。4両編成5本(G1~G5編成)。
先頭車前面に列車番号表示器が取り付けられている。
車外放送用スピーカーの取り付け位置は車体吹き寄せ部。
貫通扉の色はクリーム色。
- 2次車
1989年度後期。4両編成8本(G6~G13編成)。
JR東海では使用せず車両番号を掲出している列車番号表示器を省略。
車外放送用スピーカーの取り付け位置は屋根上の冷房装置カバー内。
貫通扉の色はダークグリーン。
- 3次車
1990年度。4両編成2本(G14・G15編成)。
中央部扉付近の8ヶ所と車端部の窓を固定式とした。追って1次車・2次車もこの部分の窓が固定化された。
運用
当初は東海道本線で新快速運用に就いたが、1999年の313系登場後は速達列車(快速・新快速・特別快速)の運用のほとんどを譲り、主に東海道本線の普通列車に使用されている。
運用区間は米原駅~浜松駅に渡り、早朝と深夜には113系に代わって静岡駅まで足を延ばす運用も存在した。
また2015年に武豊線が電化されて以降は同線にも乗り入れている。
しかし2022年3月のダイヤ改正で運用が縮小。豊橋駅以東の定期運用が消滅し、静岡県まで跨ぐダイヤは313系に交代した。
2023年3月に浜松駅乗り入れ運用が復活するが、2024年3月ダイヤ改正で武豊線共々定期運用が消滅した。
定期運用のない飯田線と関西本線には臨時列車での乗り入れ実績があるほか、「ナイスホリデー木曽路」で塩尻駅、「ナイスホリデー近江路」で長浜駅まで乗り入れたことがある。
2022年にデビューした315系の増備に伴い、今後は2025年までに211系、213系ともども全廃される予定であり、JR初期にデビューした同世代近郊型車両の中では最初に退役することとなる。