概要
15年以上にわたり増備が続いた313系の後継車両として開発された。313系同様、あらゆる路線に対応した汎用車両として設計されている。
老朽化の目立つ211系・213系・311系の代替として2021年度から2025年度までかけて全352両を子会社の日本車輌製造が製造する予定となっている。
略歴
- 1月22日、315系の導入を発表。
- 11月6日深夜、第1編成となるC1編成(8両)が日本車輌を出場し、神領車両区まで自力回送した。
- 3月5日、中央線名古屋駅~中津川駅間にて営業運転開始。これにより、211系0番台(4両×2編成)が引退し、JR東海から国鉄時代製造の車両が全廃となった。JR全体で見てもJR発足後の車両で統一された会社はJR東海が最初となる。
- 3月12日、ダイヤ改正に伴い愛知環状鉄道瀬戸口駅への乗り入れ開始。ホームの長さの都合上、瀬戸口寄り4両のドアは開かない。
- 11月10日、増備車(C8編成)出場。走行用蓄電池が搭載された他、スカート形状が変更された。また、行先表示器のガラスが光の反射を抑える仕様になり、視認性をアップした。(C1編成も同様の仕様に変更)
- 12月22日、4両編成(C101、C102編成)出場。翌年1月より側面カメラを使用した安全確認などの検証(試運転)を開始。3両編成以上の列車でワンマン運転導入を進めるため。
- 1月14日、中央線にて313系と連結しての試運転を実施。(315系C102編成+313系B5編成)
- 2月9日~15日、C102編成が静岡車両区へ貸出し。東海道線、身延線などで試運転を実施
- 2月19日~、C102編成が関西線で試運転開始。
- 2月20日~、C102編成が東海道線、飯田線で試運転開始。
- 5月11日~、C101編成が静岡車両区へ貸出し。東海道線、御殿場線などで試運転を実施。
- 6月1日、試験の一環として関西線での営業運転を開始。C101編成は静岡貸出し中のため、当面はC102編成のみで運用する。2026年以降、同車におけるワンマン運転実用化を目指す。
- 7月3日、C101編成が静岡車両区から神領車両区へ返却。
- 9月21日、C23編成出場。中央線向け8両編成が出揃う。
- 10月5日、4両編成増備車(C103、C104編成)出場。信号炎管、所属表記廃止。ホームドア用QRコード貼り付け。以降、同様の仕様で2編成ずつ増備される。
- 10月22日、C100編成(C103+C104編成)が中央線で運用開始。2本つないだ8両編成。
- 11月28日、関西線での運用拡大。神領車両区211系の運用が事実上終了。
- 1月25日~28日、C111編成が静岡車両区へ貸出し。御殿場線で試運転を実施し国府津駅まで乗り入れ。
- 3月15日、武豊線、東海道線(大府~大垣間)で運行開始。
- 3月16日、ダイヤ改正。中央線で本系列の130km/h運転開始。
- 5月9日、静岡車両区向け4両編成(U1+U2編成)が出場。一旦神領車両区に回送の上、翌日静岡車両区へ。
- 6月1日、東海道線(静岡地区)で運行開始。
- 6月3日、東海道線(静岡地区)で、313系との連結運用開始。
- 8月30日及び9月1日、台風10号による東海道新幹線の不通救済列車として、名古屋~塩尻の臨時快速列車として走行。特急列車並みのダイヤで走行し塩尻駅にも同時に初入線。
- 12月3日、身延線(富士〜西富士宮間)で運行開始。
- 12月4日、御殿場線(御殿場~沼津間)で運行開始。
主な諸元
営業最高速度 | 130km/h |
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起動加速度 | 2.6km/h/s |
減速度 | 4.3km/h/s(常用最大), 5.1km/h/s(非常) |
歯車比 | 15:98=1:6.53 |
ユニット方式 | 1M方式 |
駆動方式 | 平行カルダン駆動・WN駆動(歯車継手)方式 |
制御方式 | 2レベル電圧形PWMインバータによるVVVF・ベクトル制御
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制動方式 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ |
主電動機 | 全密閉外扇冷却式かご形三相誘導電動機
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台車 | 円筒積層ゴムタンデム式軸箱支持方式ボルスタレス台車
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製造所 | 日本車輌製造 |
仕様
車体・外観
デザインコンセプトは「先進性×親近感」。
313系等と同様の軽量ステンレス製車体。内装を含む構造には『N-QUALIS』(N-クオリス)という日本車輌の新しいブランドの車両システムが採り入れられている。
従来車とは異なりビートプレスが無く、レーザー溶接を全面的に適用した継ぎ目や歪みの少ない平滑な外観となっており、防水シール材の削減も図られている。
313系では「用途の違う車輌を同一構体で実現する」目的で戸袋に荷重を負担させ窓部は強度上1つの大窓としていたが、315系においては「車体強度向上」の目的で中に柱を通しており、窓はドア間で3分割されている。
行先表示器は313系と同じフルカラーLEDだが、種別を含め日本語と英語を交互に表示するほか、側面の物は次駅表示も行う。
2022年度製造のC8編成以降と改良工事を受けたC1編成は、行先表示器のガラス面をつや消し仕様とし、蛍光灯などからの光の反射を抑え視認性を向上させている。
主要機器・性能
デジタル制御伝送システムを本格的に採用し、配線の簡略化や各機器の常時モニタリングによるメンテナンス性向上を実現している。
台車振動検知システムも新たに搭載し、より安全管理を徹底している。
走行機器も最新仕様に刷新され、211系から35%の消費電力量削減を実現した。
313系同様の補助電源装置(SIV)一体型の車両制御装置を搭載するが、SiC適用スイッチングモジュールの採用や、3レベルインバータから2レベルインバータへの変更により、小型軽量化・高効率化を図っている。
組み合わされる主電動機も高効率な全密閉誘導電動機となり、インバータにPGセンサレス制御を採用した事もあって整備の大幅な簡略化を実現している。
また、騒音低減のため駆動装置の継手を従来のたわみ板継手から、低騒音歯車継手に変更している。
台車は日本車輌の『NSシリーズ台車』を採用。先んじて採用した小田急70000形『GSE』でも「乗り心地が良い」と評判が良かったが、当形式からは更に台車枠のうち左右の側枠を連結するつなぎ梁を廃し、側枠と一体プレスの構造とした。これにより台車枠の溶接箇所を6割も削減し、信頼性の向上を図っている。
軸箱支持方式も案内用の円筒積層ゴムを軸の真横・上部の互い違いで搭載するタンデム式に変更。それぞれ水平方向・垂直方向の動作を分担し、ばね特性の最適化によって乗り心地の向上を図っている。
運転士側のワイパ、ATS-PT電動機、圧縮機を2重系化し、安全性も向上した。
2022年夏以降、HC85系に続いてリチウムイオンの非常走行用蓄電装置を順次搭載している。
最高速度は130km/h。211系と合わせるためか2022-23年時点では130km/hの実績は無かったが、全普通列車が315系に統一された中央線(名古屋~中津川)において2024年の改正から130km/h運転を開始した。
編成
投入される編成は4両42編成と8両23編成となっている。4両編成は311系や313系など前例があるが、JR東海の在来線一般型車両として8両固定編成の導入は今回が初。
1M方式を採り、モハ315形は番台区分に関わらず全車パンタグラフを搭載。私鉄の車両のようにパンタを上げた車両が2両続く珍しい編成となっている。また、JR東海発足以降の在来線用電車として4両組成も含め現在のところクモハが存在しないのも異例(※ただし、JR西日本と共同設計の285系もクモハが存在しない)。
8両編成
←中津川・熱海方 | 8号車 | 7号車 | 6号車 | 5号車 | 4号車 | 3号車 | 2号車 | 1号車 | 名古屋・米原方→ |
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形式 | クハ315-0 | モハ315-0 | モハ315-500 | サハ315-0 | サハ315-500 | モハ315-0 | モハ315-500 | クハ314-0 | |
装備 | パンタ | パンタ | パンタ | パンタ | トイレ |
※電気連結器や前面貫通幌は未装備。
C0編成 神領車両区所属、中央西線向け。
23編成が配置されている。
C8編成よりスカート中央部の形状を変更。
4両編成
左:C100編成(神領)、右:U編成(静岡)
←中津川・熱海方 | 名古屋・米原方→ | ||||
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形式 | クハ315-3000 | モハ315-3000 | モハ315-3500 | クハ314-3000 | |
剃る | パンタ | パンタ | トイレ |
側面に安全確認用のカメラを設置、前面貫通幌も装備。
電気連結器は2段。
- C100編成
神領車両区所属。
2024年5月現在、14編成が配置されている。
C103編成以降は信号炎管、所属表記廃止。ホームドア用QRコード貼り付け。ドアボタンは準備工事。
2024年3月現在、関西本線(4両)、東海道本線~武豊線直通列車(4両・東海道線内は313系4両と連結)、中央西線(8両、C0編成の代走)で運用。
- U編成
静岡車両区所属。
14編成が2024年度中に配置予定。車番は神領車両区と同様の3000番台だが、3029からとなっている。
基本的にC100編成と同じ仕様だが、こちらはドアボタンを最初から装備している。ホームドアの設置予定が無いためQRコードは無い。
2024年6月より営業運転開始。4両単独ないし313系2両(基本的に300番台・K編成だが、2300番台・W編成や1300番台・L編成の場合もあり)を神戸方に連結した6両編成で運用。同年12月からは御殿場線・身延線でも運用を始めた(※当初は11月の予定だった)。
なお、313系連結時も自動放送は流れる。乗車促進メロディーは、後ろに連結された車両の音源が流れる。
内装
デザインコンセプトは「優しく安心感のある快適な移動空間」。
内装は211系5000・6000番台と同様のオールロングシート。座席は袖仕切りを大型化し、座席幅は211系より1人あたり10mm拡大。ロングシートではあるが腰への負担が少ない座席形状として快適性を確保した。この座席形状そのものは首都圏の通勤電車に酷似しているが、クッションは313系に引き続き適度な柔らかさのある設計となっている。
また、赤外線・紫外線99%カットのガラスを採用し、カーテンが廃止となった。
AI学習機能付き空調システムを導入し、気候条件や乗客数変動を見越した最適な空調制御を行う。冷房能力も211系より3割向上しつつ、インバーターによるきめ細やかな制御を可能としている。
全車両に車椅子スペースを配し、各車両名古屋方先頭車(1号車)には車椅子対応トイレを設置。
211系と比較し、車両床面とホームの段差を縮小。
また、東海の在来線車両として初めて車内防犯カメラ、そして各扉上にLCDの車内表示器とを設置した。この装置はカラーユニバーサルデザインにも対応している。併せて自動放送を備える。
投入路線
主に中央線、関西線、東海道線静岡口の3路線の予定となっている。
静岡地区に関しては前述の通り、御殿場線・身延線への直通列車にも2024年11月から使用される予定。
東海道線名古屋地区への投入に関しては、2024年3月のダイヤ改正より武豊線へ直通する列車(東海道線内は313系と連結)に神領所属のC100編成が使用されている他、将来的に大垣~米原間で4両編成によるワンマン運転が計画されている。2006年以降、同線区は全ての普通・快速系統がクロスシート車(セミクロス含む)での運用なので、もしオールロング車が投入されれば211系5000番台以来となる。
特に、中央西線名古屋駅~中津川駅間は2023年度中に315系で統一され、211系・313系を置き換えた。(211系は廃車、313系は大垣車両区と静岡車両区へ転属)
関西本線は置き換えの他に輸送力増強の為に増備も行われる予定。
愛知環状鉄道では瀬戸口までしか定期運用が無いが、2024年7月28日の豊田おいでんまつり花火大会の際にそれまで入線していた211系に代わって貸し出しが行われ、岡崎に顔を出したことがある。案内放送やLCD、方向幕の次駅表示は非対応のため案内放送は車掌が担当し、LCDは表示が切り替わらず方向幕も次の駅は表示されなかった。
デザイン
幾何学的な前面形状に高輝度のLED前照灯を配置。ライト形状はHC85系と似ている楕円形。
長く親しまれる白とコーポレートカラーのオレンジを調和させた。今までは窓下に帯を巻くデザインだったが、315系では窓の周りに太い帯があるデザインに変更。セントラルライナーや100系新幹線などを彷彿とさせる。また、ドア上にもオレンジが入る。
正式なデザインが公開されるまでは、角ばったデザインに灯具も描かれておらず、前面が東急8590系、側面が東武50000系や323系を彷彿とさせると話題になり、灯具を追加したデザインの予想大会がネット上で人気になった。