JR東海が投入した一般形気動車。国鉄から承継したキハ58系・キハ65形を快速や急行列車に使用していたが、それらの車両の老朽化に伴う置き換えを目的として設計・製造された。
1993年に登場し、1998年に運用路線の拡大、増備が行われた。この時期の東海車にしては珍しく、全車が日本車両製である。
仕様・番台区分
0・100番台、200・300番台、400・500番台が存在し、2両で1編成を組む。しかし設計上は1両単位にバラして増結できる構造になっており、美濃太田転属後に実際に行われている。そのためか編成番号が設定されていない。なお、本形式より後に登場した気動車にはいずれも編成番号が設定されている。
分割併合の迅速化を意図して電気連結器を装備し、そのために連結器も国鉄以来の密着自動連結器ではなく、本系列より柴田式密着連結器になっている。
なお電気連結器はキハ181系などと異なり電気回路の方向が決まっているため、分割併合・増結に際しても方転はできない。
走行機器は基本的にキハ85系のそれに準拠している。エンジンはカミンズ社製のC-DMF14HZB(350馬力)を1両に2基搭載し、2両で1400馬力を出す。おかげで気動車なのに電車並みの加速性能を発揮できる。最高速度は120km/h。
台車形式が変更になったのは、ユニットブレーキを採用したため(キハ85系は国鉄型以来の通常の構成の両抱きブレーキ)。
基本的に普通・快速列車での運用が想定されているため3ドアだが、中央以外のドア付近に仕切りを設けてデッキ風にしてあったり、日除けが横引きカーテンにしてある、公衆電話を設ける(撤去済み)など、そこら辺の一般型より上等な内装をしている。優等列車での運用にも対応できるよう、中扉を締切ることも可能である。この使い方は、2024年夏、思わぬ形で復活することになった。
また臨時列車運用を想定して京都や東舞鶴といった奈良以遠の行先も表示できるようになっている。
0・100番台
第1次車として登場。2両編成6本が存在し0番台と100番台で編成を組む。
座席は転換クロスシート(ドア付近のみ固定)を採用し、シートピッチは940mm。車体の長さが電車に比べて1.3m長いため311系と同じ座席数を実現しながらシートピッチを広めにできている。
主に快速みえで使われるが電化開業前の武豊線でも使われていた。
全車両が名古屋車両区配置。
200・300・400・500番台
第2次車として増備。200番台と300番台、400番台と500番台で編成を組む。
座席を313系と同じ中折れ機構のあるものに変更し、シートピッチを910mmに詰めドア付近のスペースを拡大している。また正面貫通扉上に前照灯が増設されている。
急行「かすが」にはこのグループのうち205-305と206-306を限定運用し、ヘッドレストカバーを独立させリネン製とするなど急行運用に対応した装備を持っていた。
400・500番台は200・300番台にワンマン機器を搭載したもので、後述の3400・3500番台へ改造されて消滅済み。なお、400番台は公衆電話をはじめから搭載していない。このグループは武豊線用に製造されたが、快速みえの指定席に使われることもあった。
1200・1300番台
203-303・204-304・205-305へ耐寒改造を施したもの。車番は原番号+1000。
耐寒改造のみでワンマン運転には対応しない。
3200・3300番台
206-306・207-307・208-308へ耐寒改造とワンマン対応改造を施したもの。車番は原番号+3000。
400・500番台と異なり、整理券発行機が連結面側ドア付近に1機のみ設置となっている。
3400・3500番台
400・500番台全車を対象に耐寒改造を施したもの。車番は原番号+3000。
運用
名古屋車両区と美濃太田車両区に以下のように配置されている。
名古屋車両区 | |
---|---|
0・100番台 | 1・2・3・4・5・6(全車) |
200・300番台 | 1・2 |
美濃太田車両区 | |
1200・1300番台 | 3・4・5 |
3200・3300番台 | 6・7・8 |
3400・3500番台 | 1・2・3・4・5・6(全車) |
名古屋配置車は快速みえとそれの送り込みとなる参宮線の一部普通列車に2または4両で使用。多客期はもとより、定期ダイヤの土休日にも美濃太田配置車が快速みえの応援に入る。
美濃太田配置車は高山本線下呂以南と太多線の普通列車に2・3・4両で使用。3両編成は2両編成を分割して他の2両編成へ1両ずつ増結する。下呂以北にはプラットホームの嵩上げが行われていない駅があり、ドアステップのない本系列は下呂以北へ入線しない。
臨時運用では快速さわやかウォーキング号や花火臨への充当事例の他、以下の事例が存在する。
- 2009年11月1日、飯田線中部天竜駅併設の佐久間レールパークが閉園することに伴って設定された臨時列車佐久間レールパークフィナーレ号の1往復(5号・12号)へ208-308と6-106を組み合わせた4両編成を豊橋-中部天竜間で運転。
- 2013年11月9・10日の両日に豊川市で開催されたB-1グランプリin豊川への来場者輸送として206-306と406-506を2両2編成で飯田線豊橋-豊川間の臨時快速として使用。
- 2018年11月17日に快速知多鉄道酢トーリー号として電化後の武豊線へ入線。客扱いは名古屋から武豊まで。使用車両は3401-3501-3505の3両編成。
- 2018年11月23・24日に快速おいでん奥三河号として飯田線へ入線。客扱いは豊橋から東栄まで。使用車両は1205-1305の2両編成。
- 2018年12月15日に急行愛知☆静岡DCトレイン号として東海道線静岡地区へ入線。客扱いは静岡から名古屋まで。使用車両は3308-3306-3206の3両編成。
- 2019年6月22日に団体列車大井川鐵道きかんしゃトーマス号リレートレインとして東海道線静岡地区へ再び入線。客扱いは名古屋から金谷まで。使用車両は1203-1303-3404の3両編成。
過去には急行かすがと電化前の武豊線でも運用されていた。