概要
当初はJR宗谷本線・JR石勝線系統の特急列車高速化に対応した車両として開発された。
これまでJR北海道が開発した特急用気動車としては、「スーパー北斗」用のキハ281系や、「スーパーおおぞら」等向けのキハ283系があり、いずれも制御付自然振子機構を搭載し、曲線区間での大幅な速度向上を実現した高性能車両であったが、寒冷地向けに特化した複雑な車両構造等の要因もあり製造・保守コストが高額であった。
本系列については、「北斗」・「おおぞら」両系統よりも大幅に輸送需要の小さい宗谷本線系統の高速化に際して開発されたことから、本格的な制御付振子機構ではなく、先に通勤型車両キハ201系気動車で実用化されていた車体傾斜装置を搭載することとし、その他エンジンなどの基本構造もキハ201系気動車をベースとするなど、製造コスト低減を図っている。
なお、軌道や車両への負担軽減、機器トラブルの防止を目的として、2015年以降の落成車は車体傾斜装置を搭載せず、以前に落成した車両も装置の使用を取りやめている。
結果として、現在は低コストで量産できるJR北海道の標準特急型気動車となっている。
使用列車
0番台
0番台は宗谷本線の高速化のため開発。2000年運行開始。後述の1000番台との混結は出来ない。
この車両は北海道や沿線自治体が出資する第三セクターである北海道高速鉄道開発が保有しており、JR北海道がリースして運行している。
ただし、2001年に増備されたSE-104編成はJR北海道の自社保有であり、細部に違いがある。
全車苗穂運転所に配置。
当初は先頭車側面に「Tilt261」のロゴを付けていたが、現在は車体傾斜装置の使用停止などに伴い「HET261」へと変更されている。
2017年3月以降は宗谷本線系統の定期特急が同系のみに統一。それとほぼ同時にリニューアル工事が行われており、側面窓ポリカーボネートの張り替え、方向幕のLED化などが行われている。
1000番台
- スーパーとかち(2007年~2020年) :札幌~帯広間
- とかち(2020年~) :札幌~帯広間
- おおぞら(2020年~) :札幌~釧路間
- スーパー北斗(2016年~2020年) :函館~札幌間
- 北斗(2020年~) :函館~札幌間
1000番台はキハ183系気動車の置き換え用として開発され、2007年運行開始。当初はJR北海道ではおなじみの青と黄緑色のパターンカラーでドア窓付近がエゾスカシユリをイメージしたオレンジ色という塗装だった。
先頭車のロゴは0番台と同様当初は「Tilt261」だったが、車体傾斜装置の省略された2015年度増備車からは「HET261」となった。それ以前の車両も車体傾斜装置使用停止の上、ロゴが変更された。(一部には変更されずに直接新塗装化された先頭車もいる)
現在は帯が紫、貫通扉付近が黄色、白を基調とした塗色へ変更している。2016年度増備車からは当初から新塗装で落成。さらに、2020年からは一部車両のデッキに充電コーナーが順次設置されている。
1000番台は現在も増備中であり、キハ183系(N・NN183系)だけでなくキハ281系やキハ283系の置き換え用として新造、最終的には道内のすべての気動車特急列車を本系列を主体とする予定。
5000番台
キハ183系リゾート車(クリスタルエクスプレス、ノースレインボーエクスプレス)の代替目的として、観光向け臨時列車や定期列車の代走(宗谷・サロベツ)などに使用できる「多目的車両」として製造された車両。5両編成2本が製造され、苗穂運転所に配置。
車体構造などの仕様は1000番台と同一で、5両のうち2~5号車は普通席。1000番台ではグリーン車だった1号車はフリースペースとし、イベントなどで料理を提供できるようにしたほか、2名の掘りごたつ式の個室にもなる多目的室や地域の特産品などを販売するカウンターなども設けられた(そのため、5000番台充当列車についてはグリーン車の設定がなくなる)。
なお、6両以上の増結時にはキハ260-1300や1400を使用するとのこと。逆にバラされて単独で増結されることもある。
実際に2024年シーズンには車両不足のためか「とかち」の増結車に5000番台の中間車が使われていた。
- 1編成目の「はまなす」編成は2020年7月に落成。10月頃から団体臨時列車で運用開始。また、10月後半から11月には北海道鉄道140年記念として定期列車の一部列車に充当された。ちなみにこのときオホーツク・大雪にも使用されたことで、キハ261系は現在道内で運行されているすべてのDL特急に運用されたことになる。
- 2編成目の「ラベンダー」編成は2021年1月に落成。5月から運用開始。2021年7月からは「フラノラベンダーエクスプレス」に充当されている。
なお、5000番台1編成の新造費用は約20億円。「はまなす」編成は新造費用の一部と無線LAN設備の費用は北海道が負担した。「ラベンダー」編成については国からの「観光列車に対する支援」の対象となり、新造費用は国と北海道が出し合い、北海道高速鉄道開発が取得し、JR北海道に無償貸与する形となっている。
2024年1月に発生した羽田空港地上衝突事故の影響でJR北海道では帰省客の救済のため臨時特急を急遽走らせたが、この5000番台も駆り出され、全車自由席の設定で運用された。
関連項目
JR北海道 気動車・ディーゼルカー キハ281系 キハ283系
789系:キハ261系1000番台は車体構造を789系とほぼ同一とした。