概要
富士駅(静岡県富士市)から甲府駅(山梨県甲府市)までを結ぶ国鉄→JR東海の鉄道路線。路線延長88.4km(営業キロ)。
ベースは1912年開業の私鉄富士身延鉄道で、1941年5月に国有化。トンネルが他路線より狭小である等車両限界の制限が厳しく、かつてはパンタグラフ部分を低屋根化した専用電車が投入されていた。このためJR東海の在来線電車はすべて当線の車両限界に合わせて設計されている。
富士市内と、富士宮駅~西富士宮駅間の一部は、渋滞緩和のため高架化されている。
線形は25‰の勾配と半径200mの急曲線が連続し、中間の山岳部は列車の速度が落ちる。行き違いのための長停車もあり、富士駅~甲府駅の所要時間は2時間半から3時間半程度かかる。
宗教施設
沿線には日蓮宗系及びそれから分派した施設が多く、身延山久遠寺や日蓮正宗本山大石寺などがそれに該当する。
日蓮宗系新宗教団体(立正佼成会、霊友会など)の寺院参詣用の臨時列車も存在し、特に日蓮正宗傘下に創価学会があった時代は「創価臨」と呼ばれる団体臨時列車が度々運行、撮り鉄の的となっていた他富士宮駅構内には広大な留置線があった。
東京方面からやってくる臨時列車をスイッチバック(進行方向を変えること)させずに身延線へ直通させるため、1969年から5年間掛けて富士駅~入山瀬駅間の線路の経路を変更し、富士宮駅まで複線化するという大規模な工事も行われている。(ふじかわ号がスイッチバックするのはこのため)
現在は宗教団体の事情から、臨時列車の運行はなくなり、富士宮駅の留置線も撤去された。
運行形態
特急ふじかわが7往復、東海道本線静岡駅~甲府駅を結んでいる。富士駅ではスイッチバックして身延線に乗り入れる。
普通列車は、富士駅~西富士宮駅と鰍沢口駅~甲府駅の区間列車が多く、全線を通しで運転する列車は1~2時間に1本程度と少ない。
2024年3月16日のダイヤ改正で、朝夕の一部を除いたほとんどの列車が2両編成のワンマン列車となった。
運転間隔は、富士駅~西富士宮駅間が1時間に1~3本程度、西富士宮駅~鰍沢口駅間が1~2時間に1本程度、鰍沢口駅~甲府駅間が1時間に1~2本程度。
なお、芝川駅や身延駅で列車行き違いのため長時間停車する列車がある。
また、朝には東海道線にた直通の列車が存在する。
現在使用中の車両
315系…2024年12月3日より富士駅~西富士宮駅間で運行開始。3000番台(U編成)4両単独での運転で、当面は後述の313系(W編成)+211系(GG編成)による4両編成と共通運用。
313系...1999年7月より普通列車に使用されている主力車両。2024年3月16日現在は、ワンマン列車を3000番台・3100番台(V編成・2両)と1300番台(L編成・2両)が受け持つ。車掌乗務の普通列車は2600番台(N編成・3両)で、1日2往復2300番台・2350番台(W編成・2両)が211系(GG編成・2両)と連結して運行される。
なお、静岡車両区の他番台車両が代走で運用されることもある。
211系...1日2往復、6000番台(GG編成・2両)が313系(W編成・2両)と連結した4両編成で富士-西富士宮間を走っている。うち1本(4222M)は東海道線直通熱海行き。
373系...1995年10月より、特急ふじかわ号として使用されている車両。春季や秋季の観光シーズンに合わせて土曜休日に設定される臨時特急・急行列車に使用されることもある。
過去に使用されていた車両
62系···国鉄時代に使用されていた、113系に似た車体と旧型国電の下回りを持つ車両。
115系...2007年3月17日まで使用されていた。導入初期はイラストのようなワインをイメージした赤い塗装で4両編成だった(イラスト左)が、後にみかん色と緑色の『湘南色』に変更され3両編成になった。ちなみに、1997年に登場時の塗装を復刻する企画を行ったのだが、間違えてぶどう2号と呼ばれる茶色に塗られてしまう事件が起きた。(イラスト右)
123系...荷物車を改造して旅客車にした単行車両。2007年3月17日まで使用されていた。
165系...1995年10月まで「ふじかわ」の前身である急行「富士川」で使用されていた。
その他
小田急20000形RSE...1992年10月に団体臨時列車「カントリーハートインアサギリ号」として富士宮駅まで入線した。ちなみに、371系は2013年4月に富士宮駅まで乗り入れる予定だったが、悪天候で中止された。
キハ85系...2001年にお召し列車として乗り入れた。
683系...2000番台が富士経由で富士宮駅まで団体臨時列車が乗り入れていたことがある。
- キヤ95…設備検査車両。通称ドクター東海。
- キヤ97…レール運搬車両。
ゆるキャン△コラボ
TVアニメゆるキャン△は、山梨県身延町が舞台。このため、舞台になった学校最寄り駅である甲斐常葉駅周辺の他、身延線の駅や列車も作品内に多く登場する。
2020年2月に373系を使用した臨時列車「ゆるキャン△梨っ子号」が運行された他、2022年7月~8月には313系1編成の内装をゆるキャン△仕様に装飾し運行。
駅一覧
駅名 | ふじかわ | 駅業務 | 乗り換え路線 | 備考 |
---|---|---|---|---|
富士 | ● | 直営 | 東海道本線 | 特急ふじかわは静岡駅まで直通 |
柚木 | 無人 | 高架駅。静岡鉄道にも同名の駅名がある | ||
竪堀 | 委託 | 高架駅 | ||
入山瀬 | 委託 | |||
富士根 | 無人 | |||
源道寺 | 無人 | |||
富士宮 | ● | 直営 | 当駅まで複線 | |
西富士宮 | 直営 | 富士から来た殆どの列車が当駅で折り返す。また、TOICAエリアはここまで | ||
沼久保 | 無人 | |||
芝川 | 無人 | 旧芝川町の代表駅 | ||
稲子 | 無人 | |||
十島 | 無人 | |||
井出 | 無人 | |||
寄畑 | 無人 | |||
内船 | ● | 無人 | ||
甲斐大島 | 無人 | |||
身延 | ● | 直営 | ||
塩之沢 | 無人 | |||
波高島 | 無人 | |||
下部温泉 | ● | 無人 | 下部温泉最寄り駅 | |
甲斐常葉 | 無人 | |||
市ノ瀬 | 無人 | |||
久那土 | 無人 | |||
甲斐岩間 | ● | 無人 | ||
落居 | 無人 | |||
鰍沢口 | ● | 無人 | ||
市川大門 | ● | 無人 | ||
市川本町 | 無人 | |||
芦川 | 無人 | |||
甲斐上野 | 無人 | 全国の駅名で唯一母音が「アイウエオ」の並びになっている。 | ||
東花輪 | ● | 有人 | ||
小井川 | 委託 | |||
常永 | 無人 | |||
国母 | 無人 | |||
甲斐住吉 | 無人 | |||
南甲府 | ● | 直営 | ||
善光寺 | 無人 | |||
金手 | 無人 | 中央本線と並行しているが、そちらにホームは設置されていない | ||
甲府 | ● | 直営(JR東日本八王子支社) | 中央本線(JR東日本) |
『ふじかわ』欄の"●":通常停車駅
関連イラスト
関連タグ
旧型国電 115系 123系/クモハ123 211系 313系 373系
富士急行:本路線の前身・富士身延鉄道と創業者が同じ。