概要
路線名 | 中央東線 |
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使用線路 | 中央本線 |
駅数 | 70駅 |
起終点 | 東京駅-塩尻駅 |
鉄道事業者 | JR東日本 |
ラインカラー | 青15号(高尾-塩尻)、朱色1号(東京-高尾)、黄1号(中央線・総武線各駅停車) |
単線区間 | 普門寺信号場〜岡谷駅間、岡谷駅〜辰野駅〜塩尻駅(旧線、大八廻り、辰野支線) |
複線区間 | 東京駅~御茶ノ水駅、三鷹駅~大月駅~普門寺信号場間、岡谷駅~みどり湖駅~塩尻駅(本線) |
複々線区間 | 御茶ノ水駅~三鷹駅(但し、運行系統上では快速線と単線で分けられ、事実上の複線) |
電化区間 | 全線直流電化(1500V) |
路線記号 | JC、JB、CO |
開業年月日 | 1889年4月11日 |
中央本線のJR東日本管轄区間である、東京駅〜塩尻駅間(ただし東京〜神田は東北本線、代々木〜新宿駅間は山手線の所属)のこと。都区内は東京支社、吉祥寺〜小淵沢間は八王子支社、信濃境〜塩尻間は長野支社の管轄である。
運行形態
東京駅から高尾駅までは都心の高層ビルや多摩地区の住宅街など都会の景色が広がる。→中央線快速
●青梅線・五日市線への直通列車が多数運転されている(共に立川で分岐)ほか、御茶ノ水~三鷹駅間は総武線各駅停車が並走する複々線区間となる。これに関連して複々線の立川延長計画と杉並三駅(高円寺、阿佐ケ谷、西荻窪)問題がよく話題に上がる。また2020年までは快速用車両を使った各駅停車や総武線直通の立川行きがあり、2022年までは八高線直通列車も存在した。
●「むさしの号」(武蔵野線経由で大宮駅まで直通)、成田エクスプレスも八王子駅まで(富士回遊新設前は河口湖駅まで)乗り入れている。
●高尾駅が中央線快速と中央本線の分岐点となっており、双方殆どの列車が当駅で折り返す。ただし一部の中央本線普通列車は立川駅まで乗り入れている。なお立川駅以東への普通列車の乗り入れは1993年に終了したが、2018年まで夜行快速ムーンライト信州、2022年までは485系改造車や215系を使った臨時快速が新宿駅まで乗り入れていた。
高尾駅を過ぎると車窓には山間の風景が広がり、長閑な雰囲気に包まれてくる。高尾~甲斐大和間は狭い谷あいを縫うように進み、勝沼ぶどう郷~韮崎間は甲府盆地ののびのびとした景色の中を走る。そして新府以遠は南アルプスと八ヶ岳を望む雄大な車窓が広がる。
●大月駅までは中央線快速列車の運用がされており、グリーン車の運用範囲に組み込まれている。特急富士回遊を含む一部列車は富士急行線に乗り入れる。
●大月駅以西は普通列車と特急列車のみとなる。初狩駅からは駅ナンバリングの先頭が「JC」から「CO」に変わる。甲府駅周辺は塩山駅や小淵沢駅を起点とした短距離列車が目立つ。また、東京駅〜甲府駅の保安装置はATOSが使用されている。東京駅から続く駅ナンバリングは山梨県北端の小淵沢駅まで。
●名物運用として441Mがある。当列車は高尾駅から長野駅まで5時間近くかけて走破するもので、JR東日本屈指の長距離列車として知られた。2024年度ダイヤ改正を以て大月始発に短縮されたが、それでもかなり長距離な部類ではある。
長野県に入ると雄大な南アルプスを過ぎ、諏訪盆地のほとりを進む。また中央東線本線唯一の単線区間が普門寺信号場~岡谷駅間にて現れてくる。
●茅野駅や上諏訪駅からは辰野支線経由の飯田線直通列車が1日6本程度運転される。
●塩尻駅から先は中央西線に入るが定期列車は基本的に篠ノ井線松本方面に向かい、中央西線~中央東線を通す列車は存在しない。旧塩尻駅跡に存在する東西直通短絡線は一部の臨時列車が乗り入れたり東海道本線不通時の貨物列車の迂回ルートとして時々使われていたが、新型コロナウイルス感染症流行に伴う不要設備の使用停止に伴い場内信号機が停止されて乗り入れが不可能になった。(出発信号機や進路表示器は生きているので復活の可能性はある。)
駅一覧
★東京駅~大月駅(快速)
⇒詳しくは中央線快速をご覧ください。
★お茶の水駅~三鷹駅(各駅停車)
⇒詳しくは中央・総武緩行線をご覧ください。
★大月〜甲府
●大月
2面3線。大月市の中心部に所在。特急停車駅。ログハウス風の駅舎が特徴。
近郊区間の西端であり、東京駅から発着する快速線の終着となる。富士急行線が分岐しており、「富士回遊」や一部の臨時列車が乗り入れているほか、朝夕には普通列車でも河口湖行きが存在する。
駅北方に聳えるのは戦国時代に小山田氏が拠点とした岩殿山。低山ながらロッククライミングのスポットとも目される急峻な岩肌により圧倒的な威容を誇る。
当駅西部、富士急との分岐点付近は桂川の合流地点となっており、富士急は桂川沿いに南下し、中央線は支流の笹子川に沿って進む。
●初狩
1面2線。笹子峠の入口に所在。
25‰の急勾配上に存在しているため、機関車牽引時代はスイッチバック形式を取っていた。
駅裏手の高川山山麓に甲州採石が立地しており、当地から産出する石材は路盤のバラストとして使用されている。そのため当駅はバラストを運搬するホキ工臨の基地として機能していた。EF64 0番台の最後の活躍の場としてファンから注目を集めていたが、2020年を最後に休止している。
駅南方にリニア実験線と富士山がチラリと見える。
駅周辺は江戸時代、甲州街道の宿場町であった。またこの地域では珍しく田んぼが多いが、後継者不足のためか年々休耕田が増えつつある。
●笹子
1面2線。笹子トンネル南東部の谷あいに所在。
こちらも過去にはスイッチバック形式を取っていた。現在跡地はJR東日本の訓練センターとなっている。乗降客数はかなり少ないものの、駅付近には名物「笹子餅」直売所と日本酒の「笹一酒造」が立地している。
下り列車が当駅を発車してすぐに突入する笹子トンネル(現在は下り線トンネルとして使用)は清水トンネルが開通するまで日本最長の鉄道トンネルであり、開削は国策クラスの大事業であった。ポータル上には伊藤博文と山縣有朋の銘板が掲げられている。
また、笹子トンネルを筆頭として高尾~甲府間には長大なトンネルが多数存在するため、かなり早い時期から電化された。
●甲斐大和
2面3線。笹子トンネルの甲府側出口に所在。特急待避駅。旧称初鹿野。
付近の天目山は武田勝頼が自刃した場所であり、その後徳川家康により菩提寺として景徳院が建立された(掲載イラストは景徳院の山門)。そのため下り線ホームに「武田家終焉の地」という看板が掲げられている。
こちらも笹子駅と並んで乗降客は少ないが、大菩薩嶺の南側からの登山基地でもあるため週末はハイカーで混雑する。
駅の両脇に桜が植樹されており知る人ぞ知る花見スポットだったが、残念ながら2024年初頭に伐採されてしまった。
ちなみに駅のすぐ西側にある諏訪神社は心霊スポットとして一部で知られている。
●勝沼ぶどう郷
1面2線。甲府盆地東端に所在。旧称勝沼。観光シーズンに一部の特急・臨時列車が停車する。
こちらも元スイッチバック方式。現在旧ホームは公園となっている。
ホームの両脇に数百本の桜が植樹されている。当地の桜は「甚六桜」として著名であり、花見シーズンは多くの観光客が訪れる。このほかにも当路線で活躍したEF64 18号機(「ゆるキャン△」でも取材された)や複線化に伴い廃止された旧大日影トンネルの遊歩道があり、当路線の歴史が偲ばれるスポットとなっている。
駅から甲府盆地を一望できるほか、周辺にはぶどう畑が広がっており、ワイナリーも多数。山梨の魅力を詰め込んだロケーションと言える。
●塩山
2面3線。甲州市中心部に所在。特急停車駅。「四季島」が発着する駅でもある。
線路は甲府盆地北東部の当駅を通過するためにわざわざ大きく迂回しているように見える。これは甲州財閥の1人である雨宮敬次郎の尽力…というのは俗説で、実際は甲州街道(現在の国道20号)ルートは明治時代の技術では厳しかったため。
駅北方に温泉街がある他、駅名の由来ともなった低山「塩ノ山」が聳え立つ。
●東山梨
2面2線。甲府盆地北東部に所在。
駅舎どころか屋根すら無く、長い朝礼台のようなホームのみの極めて簡素な構造の駅。周辺には葡萄畑と桃畑が広がる。あまり高い建物が無いので、360度景色を見渡せる。
比較的近年まで国鉄タイプの駅名標が残っていた。
●山梨市
2面3線。甲府盆地北部、山梨市中心部に所在。特急停車駅。
駅舎は近年建て替えられた。駅名に「ぶどう」が入る勝沼に対し、こちらは下り線ホームに桃のモニュメントがある。
「ゆるキャン△」の舞台の一つであるほったらかし温泉は当駅北方に所在。
●春日居町
1面2線。甲府盆地北部に所在。
東山梨と同様、ホームのみの簡素な駅。
●石和温泉
2面3線。甲府盆地北部に所在。特急停車駅。
駅前に足湯がある。当駅南方には石和温泉があり、ビルディングタイプの温泉旅館が軒を連ねる。
当温泉は昭和後期に湧き出した比較的新しい温泉。
●酒折
2面3線。甲府盆地北部に所在。
駅付近に山梨学院大学が立地する。
また当駅の西側より中央線は身延線と並走し、甲府駅までの間に金手駅が存在する。
●甲府
2面5線。甲府盆地北部、甲府市の中心部に所在。特急を含めたすべての列車が停車する駅であり、一部を除く特急「かいじ」の終着駅。更に当駅から身延線が分岐する。
山梨県内では最も大きい駅で、巨大な駅ビルが建つ。駅南方には甲府城址・山梨県庁がある。また大規模な商業地区でもあり、複数の商店街や大型の商業施設が揃う。駅北方には太宰治も通った喜久乃湯温泉のほか武田信玄の墓や武田神社があり、山間部には名勝・昇仙峡がある。
駅の東京寄りに電留線があり以前は工臨などで用いられる高崎支社のEF64が常駐していたが、現在は普通列車の夜間停泊のみ。
★竜王駅〜塩尻駅
●竜王
2面3線。甲府盆地北部に所在。
駅舎は近年建て替えられた。山梨県内唯一の貨物列車の発着駅であり、日中には全国的にも珍しいコンテナ車とタンク車を併結した貨物が見られる。
●塩崎
2面2線。甲府盆地北部に所在。
駅舎は近年建て替えられた。やや和風な待合室が目を引く。
●韮崎
1面2線。甲府盆地北西部に所在。
鳳凰三山を中心とした南アルプスがすぐ近くに迫る。また駅ホームより御坂山地から顔を出す富士山を望むことができる。
●新府
2面2線。塩川と釜無川に挟まれた台地、いわゆる「七里岩」上に所在。
ホームのみの非常に簡素な駅。これより中央線は再び25‰近い勾配区間となり、少しずつ標高を上げていく。いわゆる「高原区間」である。
駅西方にある新府城址は武田勝頼が一時期拠点としていたが、織田氏の侵攻により短期間で放棄された。
駅から南アルプスを望むほか、駅周辺は桃畑が広がっており春には桃の花が咲き乱れる美しい車窓となる。
●穴山
1面2線。新府と同様、七里岩上に所在。
甲斐大和と同様切り通し区間にある。駅ホームの塩尻側から八ヶ岳を望む。
●日野春
1面2線。北杜市南部に所在。特急待避駅。
開業以来のノスタルジックな駅舎とSL時代の遺構が残る、東線きっての歴史スポット。
またホームから甲斐駒ヶ岳を筆頭とした南アルプスの大展望が広がる。
●長坂
2面2線。北杜市中部に所在。
駅構造は簡素だが、付近に高校があるため通学利用者が多い。周辺も宅地化されている。
駅付近に鉄道写真の撮影スポットとして有名な「長坂の大カーブ」が存在する(上イラストは当撮影地をモデルに描かれたもの)。
●小淵沢
2面4線。山梨県では最西端の駅であり、中央東線の駅ナンバリングの終点でもある。小海線が分岐する。特急停車駅。
駅舎は近年建て替えられた。2階にある「丸政」の駅そばは手ごろな価格と豪快に乗った山賊焼きで有名。
東線の駅では随一の展望を誇り、ホームから甲斐駒ほか南アルプスと八ヶ岳、更に駅舎屋上から富士山が望める。
●信濃境
1面2線。下り列車に乗った時、長野県内で最初に来る駅。
駅付近に縄文時代の遺跡である井戸尻遺跡があり、駅構内にも関連した展示がある。
また、TBS系で放映されたドラマ「青い鳥」や「嫌われ松子の一生」のロケ地となった。
●富士見
2面3線。特急停車駅。また一部のイベント列車が発着した実績がある。
ログハウス風の駅舎が特徴。標高は955mと、JR東日本管内の駅では小海線の各駅を除いて最も標高が高い。八ヶ岳と南アルプスに囲まれた清々しい場所。堀辰雄の小説「風立ちぬ」の舞台でもある。
駅西部にかかる旧立場川橋梁は日本では5本しか採用例が無い希少なボルチモアトラス橋(残念ながら老朽化により解体予定)であり、その脇を通る新立場川橋梁は鉄道写真の撮影スポットとして知られている。更にその近辺の乙事地区には宮崎駿氏の別荘があり、もののけ姫に登場する乙事主の名前の由来ともなっている。
新府から続いてきた八ヶ岳と南アルプスを望む雄大な車窓は当駅を以て終わりを告げる。
●すずらんの里
2面2線。国道20号線沿いの谷あいに所在する。
ホームのみの簡素な駅だが、実は駅のすぐ裏手にセイコーエプソンの巨大な工場が立地しており、当工場への通勤用として設置された経緯を持つ。隣の青柳駅と非常に近い(駅間2km未満)。
●青柳
2面3線。国道20号線沿いの谷あいに所在。
簡易駅舎の小ぢんまりとした駅。
●茅野
2面3線。諏訪盆地の南端付近に所在。特急停車駅。
隣の上諏訪と並んで利用客が多い。諏訪大社上社本宮/前宮の最寄りであり(といっても徒歩だと30分近くかかるが)、駅西方の山中には近年知られるようになった観光スポットの御射鹿池がある。
●上諏訪
2面3線。諏訪盆地中部、諏訪湖の近くに所在。特急停車駅。更に飯田線の一部列車が当駅まで乗り入れている。
駅周辺は温泉街で、多数の温泉旅館が立地するだけでなく、駅構内上りホームには無料で入れる足湯がある。
当駅から隣の下諏訪までは諏訪湖のほとりを走るため、車窓から湖面が時折見える。
更に例年8月中旬に開催される諏訪湖上花火大会では多くの見物客が訪れ、駅は大変混雑する。東京方面からも多数の臨時列車が出るため、この辺りでE233系を見られたらラッキー。
●下諏訪
2面3線。諏訪盆地北部に所在。特急停車駅。
諏訪大社下社の最寄り駅で、春宮/秋宮いずれも駅から徒歩15分ほど(東方Projectの守矢神社は同社をモデルとしている)。また両社の間に広がる中山道の下諏訪宿は甲州街道の終着点でもあり、歴史的な景観を残している。
また駅周辺には精密機械の工場が多く立地している。
●岡谷
2面3線。諏訪盆地西端に所在。特急停車駅。
辰野支線が分岐する。また飯田線からの直通列車も当駅より辰野支線を経由して飯田・豊橋を目指す。
駅のすぐ西側が高架となっているので、近代的な印象を受ける。
●みどり湖
1面2線。塩嶺トンネル長野側出口に所在。
高速化のために開通した中央東線の短絡ルート上に存在する新しい駅。トンネル出口がすぐ近くに迫る切通し区間にあり、ホームの雰囲気は武蔵野線の新小平駅に似ている。
●塩尻
中央東線の終着駅。3面6線。松本盆地の最南端に所在。特急停車駅で、篠ノ井線と中央西線が分岐する。また辰野支線が当駅東部で合流する。
東線の実質的な終点だが、特急あずさ・しなの共に終着までの一停車駅でしかなく、更に北の塩尻・長野・南小谷を目指す。普通列車で西進(ないし東進)している場合は当駅でJR東日本⇔JR東海の会社間で乗り換えることになるので、節目の駅という実感が湧くだろう。
上記の通り4方向から線路が結集するので、構内の配線は複雑。また駅周辺ではワインの生産が盛んであり、駅ホーム内にも葡萄畑がある。
★岡谷駅〜塩尻駅(支線)
塩尻・岡谷近辺での車内放送では「辰野線」と案内される。全線単線。
使用車両
非常に歴史が長く、様々な車両が活躍してきた。そのすべてを拾うと膨大な量となるので、ここでは平成から現在まで定期運用を持っていた車両を挙げたい。
なお、入線する車両の条件として勾配に強い設計であるのは勿論、各地に所在する明治期に掘削されたトンネルは断面積が非常に小さいため、パンタグラフが小型であることが挙げられる(過去には自走で廃車回送する際、専用のパンタグラフに換装された例もある)。
通勤型(主に快速線)
1979年に登場。国鉄では初のチョッパ制御車であり、「省エネ電車」を標榜した。外観はオレンジバーミリオン一色の鋼製車体とブラックフェイス、前面に設置された巨大な種別表示機が印象的。
「オレンジ色の中央線」として長年親しまれたが、2010年に惜しまれつつ引退した。現在クハ201-1が豊田車両センターに保存されている。
2006年に登場。209系以来JR東日本が熟成させてきた新系列通勤型車両の一つの到達点。国鉄103系に次ぐ3200両以上の大所帯であり関東一円で活躍しているのはご存知の通り。中央線では一連のシリーズで最も古参の0番台が運行中。
車端部にトイレ、前面にホーム検知装置が設置され、デビュー当初から若干スタイルが変わっている。また2024年10月よりグリーン車を順次組み込み、12両編成で運行している。
209系1000番台
更新工事により一時運用を外れるE233系のピンチヒッターとして常磐緩行線より転属。2019年度ダイヤ改正より運行開始。2編成のみの小所帯で、高尾以西への乗り入れ運用は無かった。
更新工事が完了したこと、またグリーン車投入の対象外であることから2024年10月に運用離脱。
特急型
1972年より運行を開始。485系の弟分となる国鉄型特急用車両。1977年のヒット曲「あずさ2号」で有名か。
1987年より内装のサービスアップを図った「グレードアップあずさ」が運行開始。またJR化後は塗装も変更される。
東線では2002年に定期運用を離脱するがその後も多客期の臨時列車として入線し、豊田車両センターに配置された編成は2018年、長野車両センターのN102編成は2019年まで存続した。
1993年デビュー。JR東日本の特急型としては最初(かつ、今のところ唯一)の振り子式特急車両であり、車両形式名に「E」の接頭辞が付く最初の車両である。基本8連+付属4連(当初は分割運用があった)の12両編成×5本の小世帯だった。
「あずさ」の速達版である「スーパーあずさ」として運行され、新宿~松本間を2時間半で結んだ。
2018年ダイヤ改正でE353系に後を譲り運用を離脱。全車廃車となった。
2001年デビュー。2002年のブルーリボン賞受賞形式でもある。中央線には0番台が投入され、房総地区向けに製造された500番台と共に関東一円で運用。車両数はJR全体の特急型で683系に次ぐ。特徴的な側面のブロック塗装は武田氏の家紋をモチーフとしたもの。基本9連(+一部付属2連)の9ないし11両編成。途中更新工事を受け、スカートが強化版に変更された。
2002年に183系を置き換え、「あずさ」「かいじ」で運行された。2018年7月より一部列車がE353系に置き換わり、2019年度ダイヤ改正を以て運用離脱。その後踊り子用の2000番台と波動用の5000番台へ順次改造され0番台は2021年8月を以て形式消滅。現在も主に5000番台が多客期の臨時列車として入線している。
2015年デビュー。上記2形式の後継車両。振り子式ではなく空気式の車体傾斜装置を装備している。特徴的なデザインはフェラーリ・エンツォやマセラティ・クアトロポルテを手がけた奥山清行氏によるもの。基本9連+付属3連の9ないし12両編成。
2017年末より運行を開始し、2018年にE351系を置き換え。その後2019年にE257系を置き換え、中央東線の定期特急は当形式に統一される事となった(それに伴い「スーパーあずさ」も消滅)。
近年は付属編成が特急信州でも運用されるようになったため、基本編成での運用が多くなっている(朝の下り列車を中心に付属編成による「富士回遊」が「かいじ」/「あずさ」に連結されるが、大月で分割される)。
近郊型
中央本線では1966年より運行開始。国鉄時代にはまだ急行列車だった「かいじ」でも運用されていた。JR化後には長野車両センターに所属する編成は順次長野色に塗り替えられたが、豊田車両センターに配置された車両は最後まで登場当時のスカ色を堅持し、「山スカ」として絶大な人気を誇った。
長年中央東線の普通列車運用を担っていたが、211系に置き換わる形で豊田車両センターの「山スカ」は2014年12月に運用離脱(翌月さよなら運転を行っている)、長野車両センターも2015年10月を以て運用を離脱した(最後まで残ったのはスカ色のリバイバル塗装が為されたC1編成)。こちらも翌月にさよなら運転を行い、半世紀近い歴史に終止符が打たれた。
2014年より運行開始。田町・高崎・千葉の各線区から転属し、翌年までに115系を置き換え。現在、大月/河口湖まで乗り入れる快速線運用を除き、普通列車は全て当形式により運用される。3両、3+3両、6両固定の3種類の編成がある。全車長野車両センター所属。
一部の編成がロングシートになっている事が115系と異なる。乗り鉄的にはイマイチだが、甲府や上野原周辺では朝夕に通学ラッシュが発生するので致し方ないのかもしれない。
2024年現在3両編成を中心に更新工事が行われており、まだ当分活躍すると思われる。
貨物列車
1966年より0番台が運行を開始。以降、1980年に増備された1000番台と共に貨物列車や臨時列車(工臨を含む)の牽引機として活躍した。
JR東日本所属機は客車JTや工臨の牽引機として入線していたが、2015年に38/39号機が廃車。残る37号機も2021年に引退した。1000番台は現在も臨時列車や首都圏の車両の廃車配給の牽引機としてたまに入線している。
JR貨物所属機は0番台が2000年代初頭にブルーサンダーに置き換えられ撤退。1000番台も2012年に山区間から撤退している(なお2014年夏には豪雨により被災した中央西線の迂回貨物の牽引機に抜擢された)。篠ノ井線や西線では今なお現役。
2001年デビュー。通称エコパワー・ブルーサンダー。4520kw/hの定格出力により、EF64の重連運用を単機で牽引できる。
EF64の貨物運用を順次置き換え、現在は定期/臨時問わず全ての貨物運用が当形式で行われる。
その他
近年、臨時列車として時折見られる(見られた)車両。
185系…「はまかいじ」として(2019年まで)。
215系…「ホリデー快速ビューやまなし」として(2020年まで)。
各種ジョイフルトレイン…中でも485系「宴」「華」が多かった。
E655系…多くは臨時列車だが、お召し列車としての入線実績もある。
E257系500番台…臨時「あずさ」、「かいじ」、「富士回遊」として。
E001系…春から秋にかけて中央線を通るコースが設定される。なおE353系と同じく奥山氏がデザインを手がけた。
24系/E26系…臨時列車として。また24系は中央線経由で廃車配給が行われたことも。