概要
山梨県甲府市にある、JR東日本中央本線およびJR東海身延線の駅。
中央本線はかいじ・あずさの停車駅で、身延線はふじかわの始発駅でもある。
駅構造
南側から単式1面1線、島式1面2線の複合2面5線の駅。1番乗り場の東側には切り欠き式の4・5番乗り場がある。1~3番乗り場をJR東日本、4・5番乗り場をJR東海が使用する。1番線と2番線の間に待避線があり、下り貨物列車はここで待機を行なう。
ちなみに貨物列車や当駅で客扱いを行なわない臨時・団体列車を含めすべての列車が停止する通過禁止駅である。理由としては以下の諸説がある。
- 信号が通過に対応していない(昔甲府駅以西が非電化だった時代に機関車の付け替えを行っていた名残)
- 甲府駅で乗務員交代を行なうことが多く、平時は行なわない列車も緊急時は行えるようにしている。
- 1966年に運転を開始したあずさの下り1番列車が甲府駅を出発したすぐ近くの踏切で耕耘機と激突し、以降安全面で一度停止することになった。
甲府駅の問題
甲府駅では様々な問題を抱えている(または抱えていた)ため、ここで記述する。
改札問題
改札は2004年よりsuica対応の自動改札機を導入しているが、身延線はTOICAエリア外(当然suicaも非対応)かつ無人駅が多く、ワンマン列車も甲府駅では運賃授受を行なわずに改札精算となる。そのため定期券を持っていない身延線利用者は1箇所しかない有人改札口に殺到し、特に朝ラッシュ時は長蛇の列を作っている。この件に対してJR東海の怠慢と言われることがあるが、駅管理がJR東日本である以上JR東海は設備面で口出しできないのが実態である(実際この問題で東労組(JR東日本の労働組合)がJR東日本に中間改札の設置など要望を出しており、JR東海はノータッチ)。但し2025年秋に身延線も鰍沢口駅までTOICA対応エリアになる(鰍沢口駅以南は非対応)ことから、完全ではないがこの問題は改善される見込みである(但し熱海駅同様乗り換えの場合は一度甲府駅の改札を通らなければならず、運賃が割高になる場合がある)。
バリアフリー問題
現駅舎は1985年に橋上化されたが、当初は北口に車椅子用のスロープがあるぐらい(しかも急坂のため人に押してもらう必要がある)で、利用者の多い南口にいたっては階段しかない状況であった(一応駅ビルにエレベーターがありそれを利用すれば改札まで行けるが、駅ビルの営業時間外は利用できない)。さらに改札からホームへ行く場合も階段しかなく、高齢化著しい山梨県の玄関口でありながらバリアフリーの概念がまったくない状況であった。
こうなったのは駅ビル建設時は南口にペデストリアンデッキを設置(そのうえでエレベーターを整備する)予定であったが景観を理由にした反対運動や予算の都合で取りやめになってしまったことや、バリアフリーの負担については本来甲府市も負担する案件であったが、甲府市は市役所のバリアフリー問題すら放置するほど無頓着であったことが要因とされている(当時の甲府市の財政状況は最悪で、市民の要望に対しても「お金がない」の一点張りで遅々として進まなかった)。そのためJR東日本は持ち運び式の階段昇降機で対応していたが、電動車椅子は非対応のため駅員4人が抱えて運ぶありさまであった。
このような状況が長く続いていたが、バリアフリー法の制定により国の補助が出たことや市長が代わったことなどで2009年よりようやくバリアフリー対応工事に着手。北口や南口、さらに改札からホームまでの経路にエスカレーターやエレベーターを設置。特に南口は駅設備としては珍しい斜行エレベーター(他で設置されているのはJRでは中津駅と佐賀駅、JR以外の鉄道事業者を含めても東京メトロの赤坂見附駅と永田町駅、名古屋市営地下鉄の栄駅ぐらいである)となっている。これらの工事は2018年に完了し、バリアフリー問題は改善されている。
駅弁問題
甲府駅では永らく甲陽軒という地元駅弁業者が駅弁を提供していたが、1998年にNRE(現:JR東日本クロスステーション)傘下の日食甲陽軒となり、さらに2002年に吸収されて業者が消滅、同時にNREが合理化を理由に甲府駅の駅弁を廃止してしまった。NREからすれば「県庁所在地でビジネス客が多いだろうから駅弁でなくともNEWDAYSでコンビニ弁当を買えばいい」という判断であったが、実際は観光客の利用も多かったことから苦情が殺到。NREは翌2003年に駅弁の販売を再開したが日食甲陽軒の調子施設を閉鎖してしまったことから、東北本線尾久駅近くにある工場からトラックと電車で甲府駅まで運搬するという非合理的なことを行なっており、当然数も少なく観光シーズンになるとすぐ売り切れを起こしていた。一方小淵沢駅で営業をしている丸政も甲府駅へ出品していたがNREへの委託という形であったためこちらも数が少なかった。
2016年にNREが甲府駅の駅弁事業から撤退し再び駅弁の取扱がなくなると思われたが、丸政が甲府駅に本格進出し改札内すぐの場所で営業を行なっている(但しJTBの時刻表には駅弁表記なし)。
その他
「JRE MALLふるさと納税」にて甲府市に一定額を寄付すると以下のふるさと納税の返礼を得ることができる。
- 30万円を寄付すると甲府駅の1日駅長および甲府電留線への乗車・作業体験をすることができる。高額であるが実際寄付をして体験する者が多く、2022年3月には鉄道系YouTuberのスーツも体験を行なっている。
- 5万円を寄付すると甲府駅に隣接する甲府総合事務所にある乗務員訓練用シミュレーターを使っての運転体験を行なえる。
南口に武田信玄像があるのは有名であるが、2018年になって新しく北口に父の武田信虎像が建てられた。一説には信玄が父の信虎を国外追放して当主になった経緯から、父子喧嘩をしないように駅の反対側に信虎像を建てたと言われている。ちなみに信玄の子(四男)の武田勝頼像は終焉の地の最寄り駅である甲斐大和駅にある。
利用状況
- 2015年度の乗車人員は、14,683人である。
首都圏の駅としては少ないが、同規模の県庁所在地かつ特急街道の駅である佐賀駅や福井駅と比較すると多いほうである。
利用状況比較表
年度 | 乗車人員 | 乗降人員 |
---|---|---|
2008年度 | 14,239人 | 28,478人 |
2009年度 | 13,897人 | 27,794人 |
2010年度 | 13,869人 | 27,738人 |
2011年度 | 13,608人 | 27,216人 |
2012年度 | 14,277人 | 28,554人 |
2013年度 | 14,556人 | 29,112人 |
2014年度 | 14,355人 | 28,710人 |
2015年度 | 14,683人 | 29,366人 |