概要
JR東日本が所有・運行しているクルーズトレイン。2013年6月4日に初期イメージが、其れから一年後の2014年6月3日に奥山清行がプロデュースを担当した車体の第2次デザインを公表。その後公式サイトや模型の公開にしたがってデザインの修正が行われた。試運転ののち2017年5月1日に運行開始。
運行ルート
運行コースは春季~秋季は3泊4日と1泊2日、冬季は2泊3日のものが設定される。運行区間はJR東日本管内の東北エリアであるが、3泊4日コースについては青函トンネルも通ってJR北海道管内へも顔を出している。
3泊4日コース/春~秋
1日目 : 上野駅‐日光駅‐車内泊
2日目 : 函館駅‐伊達紋別駅‐登別駅
3日目 : 東室蘭駅‐洞爺駅‐新函館北斗駅‐青森駅‐弘前駅‐列車泊
4日目 : 鶴岡駅‐あつみ温泉‐新津駅‐東三条駅‐上野駅
1泊2日コース/春~秋
1日目 : 上野駅‐塩山駅‐姨捨駅‐列車泊
2日目 : 会津若松‐上野駅
2泊3日コース/冬
1日目 : 上野駅‐白石駅‐松島駅‐列車泊
2日目 : 青森駅‐弘前駅‐青森駅‐一ノ関駅‐列車泊
3日目 : 鳴子温泉駅‐上野駅
E001形車両
10両編成で構成され、その内訳は、1両あたり3室のスイートルームが5両、1両あたり2室のデラックススイートルームが1両、展望車(両側先頭車が該当)が2両、ラウンジとダイニングが各1両となる。
E001形車両は、通常の電車用のモーター・パンタグラフに加えて気動車(ディーゼルカー)用のディーゼル発電機を装備しており、電化区間ではパンタグラフ集電で、非電化区間ではエンジンとモーターによるハイブリッド動力で電化区間、非電化区間どちらでも効率の高い運転ができるようになっている。
なお、前述の通り四季島は北海道新幹線の一部となった青函トンネルを通って北海道への乗り入れるため、交流20kVおよび25kVに対応する複電圧設備や新幹線用の保安装置を備える。但し東海道本線のJR東日本とJR東海の社境となる伊東線・来宮駅付近(伊東線のみホームあり)以遠はJR東海の入線禁止令により入線不可。北陸本線・第三セクター移管区間も通過出来ない。
展望車(1、10号車)
屋根部分まで大型の窓を備えた展望車で車両前部は床面を嵩上げし高床としたハイデッカー構造、運転台設備は前面展望に支障がないようにするため1階に設置され、前照灯は縦に配置さている。そして残りの後方部分にはハイブリッドシステムや車内のサービス電源に使うディーゼル発電機を搭載した機械室がある。この車両には乗客用の乗降口がないため、乗客の外ヘの出入りは隣の車両から行う。編成両端(運転台寄り側)の連結器は密着自動連結器を装備している。
当初のイメージでは機械室用のルーバーが大きく描かれていたが、模型ではルーバーが廃され、代わりに窓が一つある仕様に変更された。
名称は1号車を「VIEW TERRACE(ヴューテラス)きざし」、10号車を「VIEW TERRACE(ヴューテラス)いぶき」とした。
展望室も当初は座席とテーブルが中央に設置されていたが、後にデザインが変更された。
スイート寝台車(2、3、4、8、9号車)
スイート個室が1両に3室ずつ設置されている。2、3、8、9号車にはパンタグラフが搭載され、電化区間走行時には直接パンタグラフ集電で走行できる。車端部は通常の床高さだが、そこからスロープを通して床高さが2階相当の位置まで上がる構造となっている。全室にシャワーとトイレが付き、このうち8号車の一室はバリアフリー対応である。
デラックススイート寝台車(7号車)
デラックススイート個室車であり、ダブルデッキ構造のメゾネット型とフラット型が1室ずつ、計2室設置される。この車両には乗降口がなく、乗客の外への出入りは隣の車両から行う。
ダイニングカー(6号車)
ダイニングカー(食堂車)で、「DININIG しきしま」という名称がついている。イメージ図では内装は和式調であり、フロアを2段にして調理室をデラックススイート車側に備えている。この車両は2階建て車であり、1階部分は食材を保管する冷蔵・冷凍庫になっている。
ラウンジカー(5号車)
「LOUNGE こもれび」という名称がついており、ダブルデッカーに準ずる構造を採用し、室内高を高くして開放感が出るようになっている。
室内には電子ピアノやバーカウンターが設置されている。また中央の黒色部分には、プラグ式両扉があり、上野駅ではここから乗降するようになっている。
編成内各種装置
主発電機
上記にもある通り1・10号車に定格出力1,800kWのディーゼル発電機が機械室内に設置してある。また、ディーゼル発電機同様騒音源となる空気圧縮機も1・10号車に装備してある。
ブレーキ装置
回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキを採用しているが、回生失効時やエンジンモード走行時は電制に発電ブレーキを使用する様になっている。ブレーキ関連機器は編成両端の先頭車は2台、中間車は1台装備している。
補助電源装置
1・10号車に容量130kVAのSIVが1基、4号車に130kVA×2群のSIVが2基あり、交-交セクション通過時の無停電化と冗長化のため計6基を並列に同期運転させている。
保安装置
ATS-Ps、ATS-P、ATS-DN(※)とDS-ATC、RS-ATC(※2)に対応しており、ATSについては統合形ATS車上装置に集約されている。
集電装置
上記にもあるように2、3、8、9号車に設置してあり、電圧が低い直流電化区間(1,500V)では2、3、8、9号車のパンタグラフを上げて走行し、架線電圧の高い交流電化区間(20,000V 50Hz/60Hz、25,000V 50Hz)では主変圧器のある2、9号車のパンタグラフのみ上げて走行する。非電化区間では当然のことながら架線がないため全パンタグラフを畳んでディーゼル発電機からの電力で走行する。
構体
1~4号車と8~10号車がダブルスキン構造のアルミニウム合金製構体、のこる5~7号車は上下方向に大きく空間をとるべくステンレス製構体となっている。
運転台
主幹制御器はJR東日本の新車ではもう既におなじみの左手操作型ワンハンドルマスコンを採用している。計器類については圧力計と速度計はアナログ式となっており、その右側にはDS-ATC用液晶表示機があり、更に右側にはモニタ装置の液晶表示機(と思われる)が2つある。
台車
E233系やE531系で使用されている台車を基として動揺対策を施したものとなっており、左右方向には空気圧式のフルアクティブサスペンションを、上下方向には減衰力可変式のセミアクティブダンパーを装備している。ヨーダンパーについては1号車と10号車のみ装備しておらず、残りの2~9号車は装備している。また、軸箱下側には万が一の脱線時に被害を最小限に食いとどめるための逸脱防止ガイドが取り付けられている。
MT比
1~3号車と8~10号車が動力車でのこる4~7号車が付随車の6M4Tとなっている。
補足
※・・・ATS-Sxとの機能互換性を持たせつつ、車上データベースを基に速度照査パターン生成機能を付加したもので、線路条件に応じた速度照査パターンや速度制限機能を発生させることもできる。ATS-Sxの上位互換のため装置故障時はATS-Sxとして動作する。
※2・・・デジタル列車無線の空きチャンネルを使用したATC。現時点ではDS-ATC使用不能時の代用システムのため速度は110km/hまで、列車密度は1駅間に1列車のみという大きな制限がかかる。
外部リンク
関連動画
案内動画・2022年版
※ナレーションはかつて「ミスター有馬記念」と呼ばれた堺正幸氏
3泊4日コース
※新型コロナウイルスのパンデミック前に、鈴川絢子夫妻が乗車。偶然にもスーツと乗り合わせた。
1泊2日・首都圏周遊コース
※西園寺君がZAKI君を引き連れてトリッキーな運行ルートを堪能してみた。
関連タグ
JR東日本 クルーズトレイン 寝台列車 カシオペア(列車) E001形 電車 気動車
ななつ星in九州・トワイライトエクスプレス瑞風:同じクルーズトレイン。
四季島・TRAINSUITE四季島:表記揺れ。
その他
JR他社や民鉄他社でも行っているため特段珍しいことではないのだが、本形式はE655系の設計変更車として計画・製造した列車となっている。