概要
JR東日本の交直流一般形電車(中距離電車)。
常磐線と水戸線で運用されている403系・415系鋼製車の老朽化に伴う置き換えおよび競合する首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)への対策としての運転速度向上を目的に、E501系やE231系の使用実績を基に「人に優しい車両システム」をコンセプトとして開発された。
10両編成の基本編成と、5両編成の付属編成で構成される。
2007年(平成19年)3月18日のダイヤ改正より上野発着の403系・415系・E501系の中距離電車運用をすべて置き換え、普通列車(上野~取手は快速)と特別快速の全列車が本系列による運行となり、同時にグリーン車の営業も開始した。以降、常磐線上野口発着の中距離電車の主力として使用されている。
また2015年(平成27年)2月から水戸線と常磐線高萩駅~竜田駅間で付属編成による運用を開始した。
2017年(平成29年)7月からは東北本線黒磯駅のデッドセクション工事に伴い、黒磯~新白河駅間での運用も始まった。この運用に用いられている車両は準耐寒耐雪仕様の5両編成で、3000番台に区分されている。のちに同区間のワンマン運転の開始に伴い、「安全確認カメラ」と「ホーム検知装置」の取り付け改造が行われている。
さらに、2020年にも常磐線全線運転再開に伴う増備が行われている。
本系列で採用された新機軸、制御器の多くは、後のE233系、E259系、E657系にも改良を加えられながら受け継がれている。
分かりやすいところで言えば、先頭部分のヘッドライトや方向幕の配置フォーマットはE531系以降の一般車両ではほぼ共通のものとなっている。
グリーン車の組み込み
E531系の量産で、先述の通り常磐線中距離電車の全列車でグリーン車の営業が開始された。
JR発足後、首都圏での普通グリーン車連結は東海道本線・横須賀線・総武快速線に限定されていたが、2004年10月16日に湘南新宿ライン(宇都宮線/高崎線)に連結列車を拡大したところ、利用客が順調に増加したことを受けて、常磐線への導入決定に至った。
グリーン車はE217系やE231系と同一のダブルデッカー構造で、連結位置もE231系と同じ基本編成の4・5号車である。グリーン車の導入は製造当初の計画にはなかったため、編成の組み替えが行われた。
スペック
上述の通り、2005年に開業したつくばエクスプレスへの競合のために最高速度を130km/hに向上しており、JR東日本の一般車両の中では最も高速で走るものとなっている。
しかし、主な競合区間となるはずの複々線区間では列車密度の関係上そこまで速度を出すことが少なく、取手駅以北にて高速運転を行うことの方が多い。
また、同じくJRで130km/h運転を行うことで知られるJR西日本の新快速よりも加速性能が高い、とされている。(起動加速度が通勤型のE231系も入る複々線区間を考慮して高い、MT比が2:3で223系の1:2よりも高い)
その他
- 付属編成のうちK451編成は、勝田車両センター60周年ラッピング車両として、2021年11月5日より401系をイメージした赤電塗装となっている。当初は2022年末頃まで運行予定だったが、その後延長されて2026年度までこの塗装で運行することに。
- また、2023年には新たに基本編成のうちK423編成が赤電塗装に変更された。同編成も2026年度春頃までこの塗装で運行される予定である。
- K417編成は、2021年3月26日未明に『線路上に放置されていた盗難車と衝突する事故』に遭い、クハE531-17号車が大きく損傷。このクハは2022年2月9日付けで除籍の上で解体され、代わりにK409編成のクハE531-9号車が供出された(その後K409編成は一時期K461編成のクハE531-1011号車を連結していたが、再度営業運転離脱)。
- 2024年2月、(代替新造の扱いで)2代目のクハE531-17号車が竣工、編成が足りないK409編成にそのまま組み込まれた。