性能
編成 | 4両(2M2T)・5両(2M3T)・10両(4M6Tまたは6M4T)・11両(消滅済・6M5T) |
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営業最高速度 | 120km/h |
設計最高速度 | 120km/h |
起動加速度 |
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減速度 | 4.2km/h/s(常用最大)・4.5km/h/s(非常) |
全長 | 20,000mm |
全幅 | 2,950mm(800番台は2,800mm) |
全高 | 3,980mm |
車体材質 | 軽量ステンレス |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1,500V(架空電車線方式) |
主電動機 | 三相かご形交流誘導電動機(出力95kW) |
駆動装置 | TD平行カルダン駆動 |
歯車比 | 99:14=7.07 |
制御装置 | IGBT素子VVVFインバータ制御(1C4M・2バンク・ベクトル制御) |
台車 | 軸梁式ボルスタレス台車 |
制動方式 |
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保安装置 | ATS-Sn・ATS-P・D-ATC(山手線)・ATC-10(東西線) |
製造メーカー | 東急車輛製造・川崎重工業・新津車両製作所 |
概要
E231系とは、2000年より新製・投入が開始されたJR東日本の首都圏における電車標準形式である。通勤形・近郊形を包括した「一般形電車」として設計されているが、より通勤形に近い形態である(グリーン車と6ドア車を除き4ドア、過半数がロングシート)。
開発当時首都圏には大量の103・113・115系が残されており、その置換に迫られ(実際、開発中には中央・総武緩行線で車両故障が相次ぎ、ニュースで報道される程問題視され、急遽209系500番台が先行投入されることともなった)、209・E217系で培ったノウハウを活かし、さらなる省エネ化・コストダウンを目指したのが本形式である。
本形式コンセプトは関東地区他鉄道事業者にも影響を与え、同一あるいは一部機器を共通化させた新車を大量導入、旧型車一斉置換を実現させた事業者も少なくない。
また、本形式登場がキッカケで日本鉄道車両工業会が新たに「通勤・近郊電車標準仕様ガイドライン」を制定。以降、私鉄・JR問わず一般型電車はこのガイドラインに沿った設計がされて登場する等、影響力の高さは計り知れないものがある。
2001年鉄道友の会ローレル賞受賞。
最大の特徴は「TIMS」採用。
いわゆる車両制御伝送システムであり、従来運転台から機器毎に1本ずつ指令線を引通していたのを4本の基幹伝送ケーブル(通信線)に集約。ネットワーク通信の様にドア開閉・案内表示・空調制御・加速/ブレーキといった指令情報を個別にパケット化してシリアル伝送する仕組みに移行したものである。また、統一的な機器管理が可能であることを活かして、機器毎動作回数記録・編成統括電空協調制御(編成全体で回生・空気ブレーキ負担割合を配分出来る)採用・各種検査(ブレーキ試験等)自動化といった機能も実装された。
209系でもこうした取組みは行っていたが、E231系からは保安ブレーキ指令線を除き、ほぼ全てTIMSからの車両制御に移行、引通し線本数を大幅削減して配線重量・製造/保守コスト低減を実現している。運用面においてもモニタリングした車両情報活用や書換えの容易さ(転属にも容易に対応可能)等、非常にメリットが大きい。
ドアエンジンについては、新たにリニアモーター式も本格採用されている。
近年は電装品半導体が寿命であることもあり、機器更新が進められている。
路線に応じて多数のバリエーションが存在する。
番台別解説
0番台
中央・総武緩行線(三鷹車両センター)用・常磐快速線(松戸車両センター)用及び京葉・武蔵野線(京葉車両センター)用がある。8連を組成する京葉区を除いて、10連組成時は4M6T編成であるのがデフォルトであったが、2020年以降も三鷹区に残存する6編成は500番台に合わせた6M4Tに変更するため、八高・川越線用編成短縮で発生した4ドア車Mユニットを組込む組成変更を行った。余剰となった6ドアT車は廃車解体されている。
京葉区所属ケヨMU40 - MU42編成の3本は元々2006年に中央・総武緩行線増発用として三鷹区に導入されたもので、車内の仕様が当時製造が始まったE233系の仕様を踏襲したものとなっている。
現在の運用範囲
※「むさしの号」
※「むさしの号」・「しもうさ号」(別所信号場 - 与野間)
- 武蔵野線(西浦和支線):武蔵浦和 - 別所信号場間
※「しもうさ号」
※「むさしの号」
※「しもうさ号」・「むさしの号」
過去の運用範囲
- 中央・総武緩行線用
- 中央快速線:三鷹 - 立川間
※早朝・深夜のみ
500番台
山手線(東京総合車両センター)用として登場。後に中央・総武緩行線用に転用された。量産車として初めて編成単位でLCDモニタが装備された。0番台では4M6Tであったが、205系と同一の11連で運行することや山手線過密ダイヤに対応させるべく6M5T(三鷹区転用後は6M4T)の編成となった。最初に登場した3編成はクーラー出力が異なる等微妙な差異がある。
登場当初は6ドア車を2両組込んでいたが、山手線にホームドア新設を行うに当たり、ドア位置を統一する必要があることから、2010 - 11年にかけて代替の4ドア車(こちらも内装はE233系に準じている)に置換えられ、代替製造者に転用される台車等の部品を除いて解体された。また、2014年からE235系0番台導入に伴う三鷹区転用に当たり、10号車に組成されていたサハE231-4600番台を脱車の上で転用し、脱車されたサハはE235系0番台に編入の上で継続使用されている。
山手線時代は緑色の塗装や前面形状から「ガチャピン」の俗称が与えられていた。また、某家電量販店のキャラのモデルも本形式である。
現在の運用範囲
- 中央・総武緩行線:三鷹 - 御茶ノ水 - 千葉間
過去の運用範囲
- 山手線:品川 - 田端 - 品川間
- 中央快速線:三鷹 - 立川間(早朝・深夜のみ)
800番台
東京メトロ東西線直通用。総武・中央緩行線中野 - 御茶ノ水 - 西船橋間及び東葉高速鉄道東葉高速線には乗入れない。こちらも地下鉄線内での運用に適応すべく6M4T編成を組成する。
外観は209系1000番台と類似しているが、台車の間隔などに差異がある。
現在の運用範囲
- 中央緩行線:中野 - 三鷹間
- 総武緩行線:西船橋 - 津田沼間(※平日ラッシュ時のみ)
- 東京メトロ東西線:中野 - 西船橋間
900番台
量産先行車。製造当初は209系950番台を名乗っていた。過去には中央・総武緩行線で運用されていたが、機器更新等をして、武蔵野・京葉線に転属。6扉T車は転用時に廃車となっている。
現在の運用範囲
- 武蔵野・京葉線:府中本町 - 西船橋 - 東京・海浜幕張間
- 武蔵野線(国立支線):新小平 - 国立間
※「むさしの号」
- 武蔵野線(大宮支線):西浦和 - 別所信号場 - 与野間
※「むさしの号」・「しもうさ号」(別所信号場 - 与野間)
- 武蔵野線(西浦和支線):武蔵浦和 - 別所信号場間
※「しもうさ号」
- 中央快速線:国立 - 八王子間
※「むさしの号」
- 東北貨物線:与野 - 大宮間
※「しもうさ号」・「むさしの号」
過去の運用範囲
※早朝・深夜のみ
3000番台
八高・川越線用4連で、0番台転用改造車。抜き取ったM車2両は三鷹に残留する編成に転用、T車は廃車とした上で2M2Tに組成変更。半自動扉スイッチを装備・転用した。
現在の運用範囲
※南古谷→川越間は川越車両センター出庫便のみ。
近郊タイプ
1000番台他。寒冷地対策が施されている他、先頭車衝撃吸収構造強化、セミクロスシート車及びダブルデッカーグリーン車が投入される等の特徴がある。車両構造により番台が多岐に渡っており、中には8500番台というとんでもないインフレナンバーまで存在する。初期車は仕様が固まっていなかったのか、編成や室内設備に見劣りする部分がある。
東海道・東北本線系統列車線で運用。一部はJR東海に直通する。
現在の運用範囲
- 東海道本線:東京 - 品川 - 横浜 - 大船 - 熱海 - 沼津間
- 伊東線:熱海 - 伊東間
- 東北本線(上野東京ライン・宇都宮線):東京 - 上野 - 大宮 - 宇都宮間
- 高崎線:大宮 - 高崎間
- 上越・両毛線:高崎 - 新前橋 - 前橋間
- 湘南新宿ライン:大宮 - 新宿 - 大船間
- 横須賀線:西大井 - 横浜 - 大船 - 逗子間
※湘南新宿ライン系統のみ
過去の運用範囲
関連イラスト
0番台
500番台
800番台(地下鉄直通タイプ)
3000番台
1000番台(近郊タイプ)
当形式をベースとした私鉄車両
関連タグ
209系 E217系 E233系 E331系 E531系 E235系