概要
JR東日本が保有する常磐線のうち、東京都・千葉県北部・茨城県南部にまたがる複々線区間における快速線。上野駅~取手駅間。
停車駅は上野~北千住間の各駅と松戸、柏、我孫子、天王台、取手で、藤代以北に乗り入れる中距離電車(普通/中電)も同じ区間を走行し、特急「ひたち」・「ときわ」、貨物列車もこの路線を使用する。また、一部列車が成田線(西線)経由で成田駅まで運行される。
2015年3月14日の上野東京ライン開業に伴い、一部列車が品川駅まで運行されることとなり、沿線住民の悲願であった「東京駅まで乗り換えなしで行く」が叶うこととなった。品川発着の電車は品川駅は別ホーム、新橋と東京で東海道線と同一ホームに発着する。これにより、東海道・横須賀両線他多くの路線と直接乗り換えが可能となった。
2022年3月12日ダイヤ改正で品川発着の電車が毎時3本の運行となることが発表されている。
イベント会場等
23区内を走行するJR線としては東京除く首都圏開催の全国規模イベントが頻繁に開かれる会場が沿線の周囲に特にない。(東海道線・横須賀線→パシフィコ横浜など、東北本線・埼京線→さいたまスーパーアリーナ・大宮ソニックシティ、総武本線・京葉線→東京ディズニーリゾート・舞浜アンフィシアター・幕張メッセなど、中央本線→西武ドーム・富士急ハイランド)
このため関東のオタク層への需要が最も薄い路線であるが、幸いガールズ&パンツァーの聖地である大洗町を通る鹿島臨海鉄道起点の水戸駅があるため、貴重なオタクの常磐線への客寄せに一役買っている。
ちなみに会場と呼ぶほどではないが、一応かつて松戸駅付近にグッドスマイルカフェやバンダイミュージアムがあった(前者は秋葉原、後者は栃木県の壬生町に移転)。
酒盛り電車
この電車は中距離列車を中心に酒盛り電車及び宴会電車といわれる事がある。
中でも茨城方面に向かう交直流電車の車両でその傾向が顕著となり、酒の匂いが充満する。
理由は諸説あるが、他の沿線に比べて新興ニュータウンが多く、沿線の居酒屋等が早く閉店するためにこのような現象が起こるとされている。
なので、時間帯によっては宴会状態となり、車内に酒に臭いが充満する事があり、酒の臭いで不快にな思いをする可能性もある。
それ故に、酒の臭い等が嫌な場合はグリーン車(交直流電車のみ)を利用するか、特急列車を利用して避ける、並行するつくばエクスプレスを利用する等を推奨する。
又、この酒盛り電車が原因でつくばエクスプレス開業~上野東京ライン開業までの間は利用者を減らし続けていた(つくばエクスプレスに利用者が流出していた)。
但し、北千住駅や柏駅に関しては利用者が増加していた。
国鉄時代の例外
国鉄時代の複々線化事業(所謂通勤5方面作戦)は、車両の性能が大きく系統異なる(103系と113系・115系及び特急・急行形車両)を分離する"系統分離・種別配線"であった。これは車両性能が揃うためダイヤの組成が楽になるのと、車両の効率的な折り返し運用ができるという利点があったが、半面、大手私鉄が採用した"緩急分離・方向別配線"に比べて、緩急接続が同一ホームでできず不便であり悪評の方が高かった。
しかしそれでも、多線区(中央線快速と中央・総武緩行線、東海道線・宇都宮線と京浜東北線)では登記上の路線は同一でも利用者には系統別の路線と認識させることである程度うまくいったのだが、常磐線ではそれができなかった。
土地収用の関係で北千住~取手間を複々線化し、1複線分は綾瀬駅から千代田線に直通することで転嫁させようとしたものの、種別配線にしてしまったため弾力的なダイヤ組成ができず、乗り換えの煩わしさだけが特にクローズアップされることになってしまった。→常磐緩行線も参照。
同様に浅草駅の収容限界を超えた分を日比谷線と半蔵門線に振った東武伊勢崎線と対照な上(この当時の東武の列車種別に対する考え方は国鉄に近い守旧的なものだったが、複々線化にあっては方向別配線を採用した)、この両者が北千住で離合するためなおさら国鉄の不手際振りが批難されることに。
緩行線の問題はそちらの記事を参照されたいとして、快速線にもむろん問題があった。
そもそも、定格上の組成では走行性能も扉数も全く異なる103系と401・403・415系を並行ダイヤで走らせること自体が不条理極まりないものであった為、利用者の不興を買っただけでなく、電車の経済性にも問題がある(103系は弱メ界磁多用でフラッシュオーバーが多発し、415系列は想定外の急加減速の為車体にひずみが入りしょっちゅう雨漏りした)という散々な結果になった。
そこで国鉄時代、415系列のMT54と主電動機特性が同じMT46(というか、そもそもMT54はMT46の純粋な増強型)で定格速度が比較的高い101系を、南武線・鶴見線など、運転速度は高くないが玉突き配点の関係でたまたま吹き溜っていた101系を常磐線に集結させる案もあったという。しかし、労使闘争の激化や配転のやりくりなどで結局折り合いがつかず流案になった。
現在はほぼ同性能のE231系とE531系で揃えられたことで扉配置の問題と運行上の経済性の悪さは解消されたが、利用者視線からは劇的な改善があったとは捉えられていない。
(とゆーか、諦めているので誰も文句を言わない)
のちにJR西日本が大阪環状線の103系・201系老朽取替にあたって、3扉車323系での統一が妥当かどうか、国鉄本社が列車線の空き時間を寄越さないのに腹を立てて電車線に特急より早い快速を走らせた破天荒な旧大鉄局管内にしては珍しく慎重に検討・調査したのも、これと無関係ではないかもしれない。
打倒・常磐緩行線?
経営こそJR東日本の路線でありながら、同じ会社経営の常磐緩行線とはJR東がライバル心をむき出しにするレベルの敵対関係にある。端から見れば共食いにしか見えない意味不明な状況だが、これは直通先の千代田線・小田急線の影響で北千住~東京・大手町~小田原(小田原線)or藤沢(江ノ島線)間が競合路線関係にあるため。さらに小田急は直通しない新宿駅からの区間でも湘南新宿ラインと競合関係にある。
緩行線に劣勢になっている原因には直通運転にはほぼ必須の直流運転や新幹線開通にも支障をきたす石岡市の地磁気観測所の存在が無視できない。
直通運転する緩行線は北方最遠でも直流運転が可能な取手止まりであるが、取手以北の交流運転区間を行くのが主流の快速線は交流運転が足かせとなり品川までしか行くことが出来ない。
これでも利便性は上がった方であり、2015年の上野東京ライン開通までは上野までしか行く事ができなかったため、藤沢や小田原に向かう東海道線が東京駅を起点とすることから、北千住→上野→東京→藤沢と二度にわたる乗換のタイムラグの解消が課題となっていた。
そのためJR東は日中の時間帯は比較的千代田線乗換口が近い有楽町駅(日比谷駅)と西日暮里駅を東北本線(京浜東北線・宇都宮線・高崎線)を全通させることで対抗していた。
埼玉南部~茨城方面を利用する客にとってはとばっちりであり、緩行・快速や他社運賃を度外視した場合東北本線と常磐線の乗換区間が三か所(上野、日暮里、西日暮里)もあるにもかかわらず日中は最も南にある上野まで遠回りしないと乗換が出来ないという不便極まりない路線図となっていた。南浦和→新松戸ルートもあるが、こちらは異様に本数が少なく乗換先が優等列車が通過する武蔵野線乗換になるため、どちらにしろ不便なことに変わりはなかった。最も無難なのは東武野田線の柏~大宮ルートか。
品川駅まで順延した現状でも、乗換によるタイムラグの完全解消には至っていない。
また、常磐線を横浜方面まで直通させてしまうと、今度は日暮里に停車することから神奈川方面から成田空港に成田エクスプレスで向かう客をスカイライナーに奪われかねないという別の問題が生じるため現在の状況は良いとも悪いとも言える複雑な関係にある。
競合路線
常磐線は上記の千代田線~小田急線とは別につくばエクスプレスと京成本線とは競合関係にある。
つくばエクスプレスとは土浦以南でほぼ全線で競合しており、北千住駅以南は上野東京ライン開業で利用者を持ち直しつつあるが、以北はつくばエクスプレスに奪われている状況である。
この競合の影響でJRはE531系を導入し、線内130km/h運転も行うなどの対策が練られている。
つくばエクスプレスの他に品川駅~日暮里駅~成田駅間は総武本線及び京成線系統等と競合している。
品川駅~成田駅~成田空港駅は総武線輸送が基本的にメインだが、京成線系統は空港のみならず、成田駅方面の輸送があり、ラッシュ時を中心に品川駅~成田駅の区間列車も導入されている。
こちらは横須賀線系統と異なり我孫子支線の交換待ちなどで問題があるが、品川駅で確実に着席できる上、東京、品川、新橋の各駅で楽に乗り降りできるので、横須賀線より楽に成田駅に向かいたい場合はおススメ。
特に日暮里駅~成田駅の利用の場合はこちらの方が速い他、東武野田線柏駅~六実駅間を利用する際には北総より安く済む。
この他、北千住駅~東京駅(大手町駅)間は東武伊勢崎線&半蔵門線と千代田線が競合している。
駅一覧
●:停車 |:通過
駅名 | 駅番号 | 特別快速 | 乗り換え路線 | 備考 |
---|---|---|---|---|
品川 | JT03 | ● | 東海道線と常磐線直通電車は別ホーム | |
新橋 | JT02 | ● | 東海道線とのホーム共用はここまで | |
東京 | JT01 | ● | 常磐線有料特急と東海道線が同一ホーム接続 | |
上野 | JJ01 | ● | ||
日暮里 | JJ02 | ● |
| 特定都市制度の山手線内の駅はここまで |
三河島 | JJ03 | | | ||
南千住 | JJ04 | | |
| |
北千住 | JJ05 | ● |
| |
松戸 | JJ06 | ● |
| |
柏 | JJ07 | ● |
| |
我孫子 | JJ08 | | | 常磐緩行線/成田線(一部直通) | |
天王台 | JJ09 | | | 常磐緩行線(平日朝夕のみ) | |
取手 | JJ10 | ● |
関連タグ
JR東日本 常磐線 常磐緩行線
成田線 総武快速線 武蔵野線 南武線 埼京線 湘南新宿ライン 上野東京ライン
E231系 E531系 E657系