10-300R形
いちまんさんびゃくあーるがた
10-000形の置き換え用に投入された10-300形の派生種。2005年運行開始。
10-000形の中には6両→8両への増結用に1986~89年に投入された経年の比較的浅い中間車が36両あり、それを有効活用させるため不足分の先頭車12両を新規製造し、8両編成6本を組成した。また、ATCシステムが旧型のままで、誘導障害の関係からVVVF制御車の運用が出来なかったことも背景にあった(デジタルATC導入後に純粋な10-300形編成が運行開始)。
基本的な車体構造は10-300形と同じだが、メカニズムが10-000形7次車・8次車に揃えられている。
デジタルATCに改造する必要がある置き換え対象車を極力減らす目的もあり、導入当初は既存編成のうち6編成の先頭車のみをそのまま置き換えた。
そのため、置き換え対象になる2段窓の初期車、当面継続して使用されるオールステンレス車を含む3種類もの車体が8両編成内に存在する凸凹編成が組まれることになった。特に10-310編成は10-000形試作車の中間ユニットが含まれていたため、2両づつ4種類の車体が含まれていた。
10-300形が営業開始、そして投入が進行すると、京王線の若葉台検車区で整備(京王重機出張工事)の完了した中間車3ユニットが出揃うタイミングで順次正規の編成に再度組み替えられていった。
その間は置き換え対象編成を若葉台に回送の上、10-300Rの中間車になるユニットを編成から抜き取り、さらに廃車搬出のため大島に回送する必要から、10-000形の6両編成や10両編成の廃車回送列車が数回運転されている。
その後、中間車の老朽取り換え時期が迫り、
- 先頭車は10-300形と互換性がないこと(転用には改造が必要で、編成を丸ごと新造するよりも多額の費用がかかるため先頭車をわざわざ活かす意義は薄い)
- 電車の税制上の耐用年数は13年とされていること
- その後に増備された編成とも仕様が異なること(2次車までは東急5000系基準の「東急顔」、3次車以降は常磐緩行線用E233系2000番台基準の「JR顔」)
そんなもあって、2015年に編成単位での廃車が始まり、2017年に運行終了となった。
経年20年以上の中間車はもちろん、経年10年の先頭車も廃車になった。
…もっとも、10-370編成~10-440編成も10両化にあたって17年で廃車されているので、初期の10-300形が廃車になるのは宿命なのかもしれない。