概要
都営新宿線の開通に備え1971年に試作車が登場。この時新宿線はまだ完成していなかったため、ほぼ同じ車体規格の三田線で試運転を行っていた。
試作車は日本車両が製造を担当しており、前面が平面的なものとなっている。製造時に地下鉄では珍しかった冷房を搭載していたが、営業開始時に一旦冷房装置を撤去してしまっていた。当初はライトケースが装着されていたが、1989年の冷房再搭載時に撤去され印象が若干異なっている。
1978年になると試作車の走行試験で得られたデータをフィードバックした量産車が投入され、試作車も台車を交換して(軌間が異なるため)三田線から転属。路線延長や車両長編成化、列車増発などで1997年までに合計224両が製造された。
量産車からは東急車輛製造が設計を担当し、シカゴ・Lの2400形にもよく似たFRPによる立体的な前面形状に変更された。
1997年に登場した最終増備車(8次車)は前面形状が大きく変わり、窓が上下方向に拡大され同時期に導入されていた東武30000系に似たものとなった。
初期の編成は6両編成で登場し、のち8両編成化されたが、10-300形1次・2次車投入のため経年廃車になる際に、まだ車齢が若かった編成中の2両を集め、先頭車を新造して10-300R形を8両編成6本仕立て上げた。その後、2013年以降は10-300形の3次車以降の編成を投入、順次車種統及びホームドア全駅設置に伴う一定位置停止装置(TASC)の搭載が出来ない事情から10-000形と10-300R形が編成単位で廃車され、2018年に8次車の1編成を最後に営業運転を終了した。
余談
1997年に製造された8次車(2編成16両)は同年に製造された京都市営地下鉄10系6次車とともに日本最後のチョッパ制御での新製車両となった。これは新宿線のATCがVVVFインバータによる誘導障害を起こすためである。後にATCを更新したことによりVVVF車が入線可能となり、10-300形や京王9000系が活躍するようになった。
2016年10月25日、京王線内で発生した人身事故によるダイヤ乱れの影響で京王線新宿駅に初入線し、10-280編成が急行橋本行きとして営業運転に就いた。