概要
1960年、藤沢昭和が渋谷区本町3丁目(京王線初台駅近く)に開いた藤沢写真商会をルーツとする。
1967年、新宿区淀橋(現・西新宿)に淀橋写真商会を開業。当時は撮り鉄御用達の店だった。
1974年にヨドバシカメラに商号変更、1975年の新宿西口本店オープンにより大型カメラ店として知られるようになり、「新宿西口駅の前」をキャッチコピーとする。
ポイントカード制度はヨドバシカメラが考案したシステムで、同社ポイントカードにも記されている。
都市の駅前に出店する戦略を取っており、店舗の展開は東日本に偏っている。
これは元々、イトーヨーカドーグループや長崎屋と同じく東京に消費購買層が似ている事を意識して、関東や北日本の出店を重点に置いた為。
1997年の「マルチメディア仙台(初代)」開店以降は「マルチメディア」を冠する大型店業態での出店が続いている。既存店も大半がマルチメディア業態へ改装され、2020年現在「マルチメディア」を冠さない店舗は新宿西口本店、八王子店のみとなっている。
2000年以降になると、それまでの規模を大きく上回る大店舗も出店するようになり、2001年の大阪「ヨドバシ梅田」、2005年東京の「ヨドバシAkiba」などは、地元の電気街・特に家電量販店にかなり大きな影響を与えた。
又、ビックカメラと異なり自社ビルを所有する形態で出店する形態が目立つ他、西日本地域では複合型商業施設形態での出店が多い。
2015年10月29日オープンの「マルチメディア名古屋松坂屋店」では、老舗百貨店の松坂屋とのコラボレーション(南館の4階から6階の全てのフロア貸し切り)という形で東海地方では初出店となる。開店に先立ち、陳列できない商品をインターネット通販で取り扱うためにスピード配達に備え、愛知県小牧市内に物流センターを設置した。本来、2016年に名古屋駅のJRゲートタワーに出店する予定だったが、工期の遅れから2度の延期の末に出店を取りやめた(JRゲートタワーにはビックカメラが出店)。
1998年にはECサイト「ヨドバシ・ドット・コム」を開設。家電だけでなく日用品や書籍、一部食品や医薬品まで取り揃えた800万点以上(サイトの公称)という豊富な商品ラインナップや送料原則無料、大型商品の即日・翌日発送などの特長があり、2022年時点での売上は2,221億4,300万円と、日本ではAmazon(アマゾン・ジャパン)に次いで業界2位の規模を誇る。
テーマソング
店内放送やテレビCM等のテーマソングとして、アメリカ南北戦争時の北軍の行軍曲『リパブリック讃歌』の替え歌が用いられている。
店舗により歌詞に違いがあり、歌詞の順番が入れ替わっていたり、路線名や都市名などが歌い変えられていたりする。
店舗 | 歌い出し |
---|---|
新宿、秋葉原 | まあるい緑の山手線 |
名古屋 | まあるい地下鉄名城線 |
梅田 | 若者集まる梅田には |
札幌 | 若者集まる札幌に |
現在多くの店舗で流れているバージョンは1990年頃から使われているもので、歌っているのは『聖戦士ダンバイン』や『重戦機エルガイム』の主題歌などで知られる歌手のMIQ(旧:MIO)。
それ以前は男性歌手によるコーラスや、男女のデュエット、歌手のポプラによるバージョンなどが存在していた。また、マルチメディアAkibaと新宿西口本店はスケジュールの関係で別の女性歌手が担当している。
小ネタ
- 初期のテレビCMのアニメーションはアメリカの音楽番組「ソウル・トレイン」のOPを思わせるものだった。
- 歌詞の中の「山手線」について、かつては「やまてせん」と歌っていたが、国鉄が呼び方を「やまのてせん」としたため、1991年から「やまのてせん」になっている。
- ドリフターズのコントで使用されたことがある。英語を読むというところで、最初はよくわからないが、いかりや長介が読みだすと、この曲になっていることが分かる。
マスコットキャラクター
それぞれの店舗沿線の電車からデザインされたマスコットキャラクターが店舗内の案内やチラシ等に使われている。
独自のマスコットキャラクターの類は存在しないが、駅前立地をアピールするため設立当初からCMに電車のアニメキャラクターを登場させていた。
また登場車両も時代の車両によって変更され、放映開始から1984年までは101系電車と103系電車、1985年から2005年までは201系電車(中央線快速)と205系電車(山手線)、2005年から2008年まではE231系電車(山手線)と201系電車(中央線快速)であったが、現在はE235系電車(山手線)とE233系電車(中央線快速)になっている。
その流れで2000年代前半より各店舗においては、隣接している駅に乗り入れている鉄道会社の車両をイラストキャラクター化している(横浜店では1985年のCMに京急2000形電車、横浜市営地下鉄、東急8090系電車、相鉄6000系電車、103系電車(京浜東北・根岸線)、113系電車(横須賀・東海道線)がCMの最後に横浜店を告知するCMもあった)。電車の方向幕の部分には愛称(山の手くん、京急ちゃん、東海道くん、つくばちゃんなど)が記され、店内の広告や案内表示にも多用されている。
関東圏以外でも電車のキャラクターが使われている。
マルチメディア梅田には103系電車(大阪環状線)とOsaka Metro 21系電車(御堂筋線)、マルチメディア京都にはJR西日本321系電車をモチーフにした「京都くん」のほか、京都市営バスをモチーフにした「ヨドバスくん」も存在する。
「マルチメディアAkiba」では2009年4月22日から独自のキャラクターを設定している。
従来の電車の先頭車から手足が生えたものではなく、電車をモチーフにした服を来た2.5頭身に鉄道擬人化されたものである。設定当初は山手線のE231系500番台電車をモチーフにした女性キャラクター1種類であったが、その後女性キャラクターにはポイントカラーをピンクにしたものを始め、京浜東北線の水色や日比谷線の灰色、黄色、赤色などカラーバリエーションを増やしたほか、首都圏新都市鉄道TX-2000系電車をモチーフにした男性キャラクターが加わっている。
女性キャラクターには「Akibaちゃん(ヨドちゃん)」、男性キャラクターには「ヨドくん」という名前がつけられている。
店舗がある場所
北海道:札幌
九州:博多
マルチメディア仙台に関して
2012年に初代店舗の近隣地に整備された「ヨドバシ仙台第2ビル」へと移転したため、初代店舗は2014年に解体され更地となった。
第2ビル移転時点の店舗の売場面積は旧店舗の1.5倍なのだが、マルチメディア仙台側としては「現在の店舗(2代目)はあくまでも『仮店舗』としての扱い」だと主張している(このケースではプレハブの様な「仮移転の入居先が安普請な建物」という意味での「仮店舗」ではないとはいえ、通常「新店舗の運用開始までに想定される設営期間」が最短でも半年、長くても2〜3年程度だとすれば、結果論とはいえ既に10年近く営業している実績もあるために、その主張が詭弁と解されても致し方ない面はある)。
というのも、当初の計画では「初代店舗の跡地に『ヨドバシ仙台第1ビル』を整備する」とされており(わざわざ「第2」と付したのはそのため)、暫定措置として「第2ビル」を整備したのだが、移転から10年近く経っても2021年時点でも未だ更地のまま駐車スペースとして運用されていた状態であり、旧店舗の再開発は実質的に破綻した状態になっていたが、同年11月にようやく着工、2023年6月に開業した。
なお、役目を終えた第2ビルは今後段階的に「別館の専門店街」として再整備される見通しである。
池袋への出店?
2022年11月に「西武池袋本店にヨドバシ出店」といった報道がなされた。
しかし当時豊島区長の故・高野之夫氏は臨時会見にて「家電量販店の激化」や「海外ブランド撤退につながる」としてこれに反対した。*
といっても池袋駅にはすでにビックカメラやヤマダ電機が複数店舗存在、東武百貨店内にもノジマの存在があり、区が推している荒川線延伸とグリーン大通り計画に影響することを嫌ったのではないかとの説がある。*
しかし、セブン&アイ・ホールディングスは翌日にフォートレス・インベストメント・グループへそごう・西武を売却し、池袋本店の約半分をヨドバシカメラに改装する事がほぼ確定した。
その他のそごう・西武店舗についてもヨドバシカメラの出店が検討されているとのこと。特にそごう千葉店の別館だったオーロラモールジュンヌと駐車場の棟をヨドバシが取得、千葉店の移転先とした。旧店舗があった「塚本大千葉ビル」も元は千葉そごうの初代店舗(開業当時の本館)で、小規模かつ竣工55年を超えて老朽化が進んでいる。
ちなみにこれ以前に2009年に閉店した西武札幌店の土地をヨドバシカメラが購入した事があるのだが、札幌駅前の一等地にも拘わらず10年以上更地のまま放置というマルチメディア仙台よりひどい有り様(2024年時点でちょうど15年、ちなみに仙台は累計で11年)である。こちらも再開発計画が破綻したかに思われたが、2024年になってようやく進展が見られ、ヨドバシ梅田と同じくホテル併設の高層ビルを建設し、そこの低層部に新店舗を2028年に開業させる計画を明らかにした。
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