概要
1960年代からオールステンレス車両を導入してきた東京急行電鉄だが、1970年代以降になると車両冷房や保安装置の搭載による重量増もあり、更なる軽量化を図った車両が必要となった。
そこで8000系の中間車として軽量車体試作車デハ8400形を新造し試験運用を行い、この実績に基づき登場した。
コンピュータによる有限要素法を用いた設計を行って強度・剛性を保ち従来より8%の車体重量軽減を実現し、日本初となる量産軽量ステンレス車体を採用した車両である。
前面形状は非貫通で、当初海外の地下鉄を思わせる丸いデザインや立体的な額縁を付けた2枚窓などが東急車輛から提案されたが、例によって正面は切妻しかダメという電鉄側の意向で3面折妻となり、東急では初となる角形の前照尾灯を採用した。
ちなみに、没になったデザインのひとつ(額縁の2枚窓)は伊豆箱根鉄道で近いものが採用されている。
東横線等で運用されていたが、みなとみらい線直通を見据え正面貫通扉を装備し、出力を向上させるため先頭電動車の8590系を製造。それによる組成変更により5両編成で大井町線に転属した。
2007年頃から前面方向幕はLED化され、帯については他形式と同じくグラデーション化された。20年以上に渡り大井町線の主力車として活躍したが、東横線の5050系増備による9000系の玉突き転属により廃車が始まり、2013年5月をもって全車8090系で組成された編成については全編成が引退した。
この時点で営業運転を行なっているのは田園都市線で活躍する8694編成、8695編成の中間車16両のみとなったが、この編成は2020系増備による代替が行われて2019年2月に営業運転を終了した。
移籍車両
以下の車両のほか、中間車1両(デハ8181)が部品取り車として8590系の先頭車4両とともに富山地方鉄道に譲渡された。
秩父鉄道7500系
もと東急8500系の秩父鉄道7000系に続いて2009~12年度までに3両編成7本を導入。先頭車が「クハ」であったため、三峰口方先頭車(東急時代はクハ8090奇数)については電動車化が行われた。中間車についてもパンタグラフの増設を実施。
秩父鉄道7800系
2両編成運用が必要になったため、7500系化で余った中間車を有効活用。先頭車化改造と羽生方先頭車(東急時代はデハ8490)の電装解除を行った。2012~13年度にかけて2両編成4本を導入。