「広義」の東急9000系
8090系・8590系に続いて1986年に登場した東京急行電鉄(現・東急電鉄)の通勤形車両。東急初の量産型VVVF制御車両として1993年まで製造された。
なお、9000系を「狭義」で分類すると以下の通りになる。
- 9000系:1986年~1991年に合計117両を製造。
- 9020系:1992年・1993年に「2000系」として合計30両を製造、うち15両が改番・編入。⇒東急2000系
(※参考文献:イカロス出版発行「私鉄車両年鑑2019」の巻末についている東急公式の車両編成表資料より。9000系は2019年4月現在5両編成18本・計90両在籍とカウントされている)
「狭義」の東急9000系
登場当初
1986年に登場したグループ。
1980年代はチョッパ制御の車両が主流で、当時の東急では8000系や8500系が在籍。東急はチョッパ制御よりもさらに省エネなVVVF制御車両を本格的に導入するため、まず6000系(初代)の一部編成をVVVF制御に改造して試験、そのうえでVVVF制御の量産型車両、9000系を製造した。
8両編成14本、5両編成1本が製造され、8両編成は東横線に、5両編成(9007編成)は大井町線に配属された。
8090系、8590系に引き続き軽量ステンレス車体とし、地下線への乗り入れを考慮して非常扉を前面に装備した。また、車端部には珍しくクロスシート(ボックスシート)を設置した。
大井町線集結
東横線では東京メトロ副都心線への乗り入れに際し、副都心線内の勾配に9000系が対応不可能と判断され9000系を改造対象から外すことになった。このため2009年から2013年にかけて東横線所属だった8両編成14本をすべて5両編成に編成短縮させ、大井町線ヘ転属することになった。こうして9000系は15本すべてが大井町線に集結した。
余った中間車は廃車となったが、廃車体を武蔵小杉東急スクエアの展望デッキの壁面に活用したり、台車の一部を伊賀鉄道200系に転用したりしている。
他社への移籍
9000系・9020系共にサステナ車両として西武鉄道へ譲渡し、改造の上で2025年度より運用開始が予定されている。
多摩川線・多摩湖線・西武秩父線・狭山線に導入され、既存の西武新101系・西武4000系などを置き換えるものと思われる。サステナ車両で西武が求めた条件「ステンレスorアルミ車体、VVVF制御」にしっかりマッチしている上、耐久性に定評のある東急車ということで長く活躍できるものと思われる。
余談となるが、西武秩父線の運用に関しては山岳路線故に改造しない限りパワー不足となるのでは、という心配が一部ファンの間で挙がっている。これについてはみなとみらい線開業以降の東白楽〜反町間のように高架⇔地下の勾配はあったものの、路線全体に急勾配がちらほらあるタイプは未経験であること、実際にこのタイプである副都心線に対応できなかった過去を持つことが根拠として存在する。
なお、サステナ車両の同期となる小田急8000形(→西武8000系)は2008年頃まで日常的に箱根登山鉄道に乗り入れており、20〜40‰の勾配の連続を経験していることから、こちらに選手交代となる説もちらほら挙がっているが、西武8000系の導入先として予定されている国分寺線には6両編成が必要であり、現在5両編成の9000系で6両編成を組成するとサステナ車両全体の編成数が不足するため、実際に選手交代となる可能性は極めて低いだろう。
運用路線
現在の運用路線
過去の運用路線
- 東横線:渋谷〜桜木町
- 横浜高速鉄道みなとみらい線:横浜〜元町・中華街
- 田園都市線:鷺沼〜中央林間(大井町線直通のみ)
- こどもの国線:長津田〜こどもの国(1996年に9007Fが3日間だけ3両編成化されて運用に就いた)