概要
吾野駅と西武秩父駅を結ぶ、西武鉄道の路線。正式な路線名称に西武が含まれる。
各駅の路線図などでも「西武」が省略されることはなく、「西武秩父線」と表記されている。実質池袋線の延長区間として扱われており、特急「ちちぶ」の案内などでは秩父線も含めて池袋線として案内されている他、駅番号でも池袋線の番号から延長して振られている。また全列車が池袋線の系統が分離される飯能駅まで乗り入れており、飯能以北が実質秩父線のように扱われることがある(もしくはそう誤解されていることも多い)。
元々は武甲山より産出される石灰石を原料とするセメント輸送や沿線の観光開発を目的に建設された山岳路線。当時終点だった吾野駅から延伸する形で開業したため、吾野駅が起点となっている。正丸-芦ヶ久保間にある正丸トンネルは私鉄のトンネルの中で3番目の長さを誇る。なお1996年に貨物輸送は廃止となっている。開業当初は池袋までの直通列車もそれなりにあったが、現在は飯能駅で系統分離が行われている。
特急が乗り入れることから路線自体の利用者は多いが、途中駅の利用者が西武全体で見てもぶっちぎりで少なく、路線としては赤字である。西武ホールディングス筆頭株主のサーベラスは、本路線を含む赤字路線を廃止するように西武側に迫ったが、埼玉県知事や沿線自治体の首長から存続を要請され、西武側も廃止を突っぱねた。特に秩父地域にとってはこの路線がないと鉄道路線で秩父以外の地域に出るのが非常に困難であり、文字通り生活の足となっている。
2023年現在、種別は平日は特急と各停だけであるが、休日はみなとみらい線の元町・中華街から直通するS-TRAINが乗り入れる。現在、西武秩父線に営業運転で乗り入れる唯一の10両編成で、ホーム長の関係から飯能~西武秩父間はノンストップである。2022年3月までは、休日夕方に1日1本だけ池袋線直通の快速急行があった。
2022年3月のダイヤ改正で減便が行われ、平日の各停は終日4両化(=終日ワンマン)が行われ、一部時間帯では1時間に2本ペースでの運行となった。休日は一部時間帯で8両編成(うち2本が30000系などのオールロングシート車)となり、秩父鉄道直通列車も引き続きこれに含まれる。
2023年3月のダイヤ改正のプレスリリースでは休日の秩父鉄道直通列車が1日1本になることが出ているほか、新たに平日6時台に特急が増発されることになった。(ソース)
使用車両
駅一覧
※運行系統の都合上、池袋線飯能~吾野間を含む
●…停車 |…通過 ※…季節停車駅。
駅番号 | 駅名 | 特急 | S-TRAIN | 乗り換え路線 | 備考 |
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SI26 | 飯能 | ● | ● | 池袋線所沢・池袋方面(一部直通) | スイッチバック駅。 |
SI27 | 東飯能 | | | | | JR八高線 | 当駅~高麗駅間に武蔵丘車両基地がある。 |
SI28 | 高麗 | | | | | ||
SI29 | 武蔵横手 | | | | | ||
SI30 | 東吾野 | | | | | ||
SI31 | 吾野 | | | | | 当駅が池袋線終着・西武秩父線起点駅で、0kmポストが設置されている。 | |
↑池袋線・↓西武秩父線 | |||||
SI32 | 西吾野 | | | | | ||
SI33 | 正丸 | | | | | 正丸峠沿いにあり、当駅~芦ヶ久保駅間に私鉄第3位の長さがある正丸トンネルがある。 | |
正丸トンネル信号場 | 単線区間のため、行き違い設備が必要で設置された。 | ||||
SI34 | 芦ヶ久保 | ※ | | | 道の駅あしがくぼ果樹公園村と隣接。シーズン時には特急の臨時停車も行われる。 | |
(東横瀬駅) | 貨物駅。1996年廃止。 | ||||
SI35 | 横瀬 | ● | | | 横瀬車両基地隣接。秩父鉄道直通長瀞方面は当駅から秩父鉄道線に入る。 | |
↓秩父鉄道長瀞まで直通 | |||||
SI36 | 西武秩父 | ● | ● | 秩父鉄道御花畑駅 | 秩父鉄道直通三峰口方面はスイッチバックで秩父鉄道線に入る。 |
↓秩父鉄道三峰口まで直通 |
先述の通り、1996年までは芦ヶ久保~横瀬間にセメント輸送のため東横瀬駅があったが、現在は廃止。ポイント関連含めすべて撤去されたが、一部にその面影が残っている。
また、西吾野には廃止された側線のポイントの一部が存置されていたり、吾野には一部使用されていない線路があった(現在、保線基地建設により一部撤去されてしまっている)。