概要
横浜高速鉄道が運営する路線で、周辺エリアの再開発事業名称が「横浜みなとみらい21」であるように、みなとみらい線の正式名称も”21”を付けた「みなとみらい21線」となっている。
2004年(平成16年)2月1日に横浜駅~元町・中華街駅4.1kmが開業。東急東横線と相互直通運転を行う。
みなとみらい線自体は短い路線であるが、東急東横線を介し東京メトロ副都心線、東武東上線、西武有楽町線・池袋線方面へ直通している。
上述の鉄道会社(東京メトロ除く)ではこれを利用して、直通列車に乗車しみなとみらい線の区間が乗り降り自由になる企画乗車券を販売している。また2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正以降は直通運転をする日中の特急にFライナーという列車愛称が付けられる。
みなとみらい線は横浜高速鉄道が第1種鉄道事業者だが、同社所属の乗務員はおらず東急電鉄の乗務員が東横線から引き続き乗務する。
列車の運行管理は東急の司令所で制御しているが、緊急時にはみなとみらい線のみを切り離して制御することも可能である。
観光路線としての特性もあり、日本離れした壮大な駅デザインになっている。各駅それぞれの特色を生かした、地下鉄の駅として新しいデザインが評価され、2004年度グッドデザイン賞を受賞している。
当初計画
建設当時の仮称駅名は、横浜側から順に「横浜駅(横浜地下駅とも呼ばれた)」「高島駅」「みなとみらい中央駅」「北仲駅」「県庁前駅」「元町駅」だった。また、元々高島駅(現新高島駅)は計画されていなかったが、東横線高島町駅廃止の代償なども考え、後に都市計画が決定したことにより追加された駅である。
かつては東神奈川駅より当時国鉄であった横浜線と直通する計画だったが、国鉄末期の財政的な問題により中止され、その後1987年(昭和62年)に横浜市からの申し入れを東急が受け、同年6月11日に神奈川新聞の一面でスクープされ東急東横線との直通へと計画が変更された。
なお、計画変更はそのまま東横線桜木町駅廃止に直結するため、桜木町・野毛町地区住民からの猛反発を招き、最初の地元説明会は横浜市当局への「糾弾の場」と化してしまったという。現在でも、野毛町周辺には当時作成された「東急廃線、絶対反対!」の看板が残っている。そして、野毛町地区への補償として、桜木町駅と野毛地区を結ぶ地下道「野毛ちかみち」が整備され、また地域振興策として野毛大道芸が生まれた。
前述した神奈川新聞のスクープ記事は1995年(平成7年)の開業を目指すとされ、工事着手当初は1999年(平成11年)に開業すると工事中の看板に書かれていた。しかし、横浜駅地下化工事が難航したため、開業が大幅に遅れることとなる。
2002年(平成14年)頃に一度、横浜地下駅の完成を待たずに、先に工事が進んでいたみなとみらい中央 - 元町(駅名はいずれも仮称)間での暫定部分開業が検討されたほか、新高島駅付近に車両搬入専用の施設(同様の例として都営大江戸線がある)や電車区を設けるとの話が浮上した。しかし、莫大な費用がかかることや有効性が疑問視され、車両の搬入方法や検査設備の確保、独自車両か東急から借用か、などの問題もあり先行開業は見送りとなった。
延伸構想
元町・中華街駅から本牧・根岸駅方面への延長構想があるが、現時点では計画が凍結状態にある。なお、この区間には横浜環状鉄道(横浜市営地下鉄グリーンライン)の延伸も合わせて計画されているがこちらも開業時期は未定である。
なお2017年(平成29年)より元町・中華街駅の先港の見える丘公園の地下に4本留置線を建設する計画があり、2022年(令和4年)3月1日から準備工事が開始された。
歴史
1989年 | 3月 | 横浜高速鉄道株式会社設立 |
1990年 | 4月 | 第一種鉄道事業免許取得 |
1991年 | 11月 | 第一期工区(みなとみらい駅 - 元町・中華街駅)施工認可 |
1992年 | 11月 | 第一期工区起工式 |
1994年 | 10月 | 第二期工区(横浜駅 - みなとみらい駅)施工認可 |
1995年 | 2月 | 第二期工区起工式 |
1997年 | 1月 | 新高島駅新設計画変更認可 |
2002年 | 正式な駅名が決定する。横浜駅から順に新高島駅(高島駅)、みなとみらい駅(みなとみらい中央駅)、馬車道駅(北仲駅)、日本大通り駅(県庁前駅)、元町・中華街駅(元町駅)となる(カッコ内は仮称)。また、日本大通り駅には「県庁・大さん橋」、元町・中華街駅には「山下公園」という副名称がそれぞれ付けられた。 | |
2003年 | 7月9日 | 開業日を2004年(平成16年)2月1日とし、同時に東急東横線との相互直通運転を行うと正式に発表した。また、路線名を「みなとみらい線」という略称で統一することを明らかにした。 |
11月 | 反町駅~元町・中華街駅間で線内先行試運転開始。これに先立ち、Y500系Y516編成と東急9000系9008F編成が長津田車両工場からトレーラーによる陸上輸送で東横線東白楽駅付近まで運ばれ、一時的に設置された地下線への線路を使って搬入された。開業前日の2004年1月31日には、みなとみらい線内を回送扱いにして東横線と通しでの最終訓練を行った。 | |
2004年 | 2月1日 | 開業。同時に東急東横線との相互直通運転を開始。 |
5月 | 臨時列車「横浜みらい号」として東京メトロ日比谷線北千住駅から乗り入れ開始。8月以降、名称を「みなとみらい号」に改称。 | |
12月 | 「みなとみらい号」を埼玉高速鉄道線浦和美園駅および都営三田線高島平駅からも乗り入れ開始。 | |
2005年 | 7月25日 | 平日の特急・通勤特急・急行の8号車が女性専用車となる(後述)。 |
2006年(平成18年) | 4月14日 | 利用者数が累計1億人を達成。 |
7月18日 | 女性専用車の設定内容を変更(後述)。 | |
2009年 | 10月22日 | 利用者数が累計3億人を達成。 |
2013年 | 3月16日 | 東横線経由で東京メトロ副都心線への直通開始。東武や西武から車両が乗り入れるようになる。 |
2017年 | 3月25日 | 西武方面への座席指定列車「S-TRAIN」の運行を開始。土・休日ダイヤ限定。 |
2022年 | 3月1日 | 元町・中華街駅の先に留置線を建設する準備工事が開始。 |
マスコットキャラクター
神繍皇女(かんぬみこ)
横浜高速鉄道の依頼により、さくやついたちが描いた巫女のキャラクター。キャラクターはみなとみらい線の各駅に1人ずつイメージされており、合わせて5人となっている(関連イラストを参照)。2010年(平成12年)12月27日からキャラクターを使用したヘッドマークの掲出とオリジナルグッズの販売を開始し、12月30日にはiPhoneを使用したバーチャル神社が開設された。また、2011年(平成13年)2月11日より台紙付き硬券入場券セットの発売を開始し、翌12日までの2日間にはみなとみらい駅に各駅のキャラクターが集結するイベントも行われた。
駅一覧
全駅にエスカレーターやエレベーターが設置されている。前述の通り地下深い場所を通っているため、「高速エスカレーター」が採用されている。赤外線で利用者を検知し、「高速運転」と「通常運転」の切り替えを行い、高速運転時は通常のエスカレーターの約1.3倍の速さとなる。また、横浜駅を除く全駅のトイレに温水洗浄便座が設置され、多機能トイレはすべてオストメイト対応設備を備えている。全線神奈川県横浜市内に所在。
停車駅 … ●:停車、|:通過
各駅停車は全駅に停車するため省略。
駅番号 | 駅名 | S-TRAIN | 特急・Fライナー特急 | 急行・通勤特急 | 乗り換え路線 |
---|---|---|---|---|---|
MM01 | 横浜 | ● | ● | ● | |
MM02 | 新高島 | | | | | | | |
MM03 | みなとみらい | ● | ● | ● | |
MM04 | 馬車道 | | | | | ● | |
MM05 | 日本大通り | | | | | ● | |
MM06 | 元町・中華街 | ● | ● | ● |
各駅の発車標は、内容が東急仕様のものと同一であるが、サイズが東急仕様と比べ一回り小さい。
横浜駅を除く各駅には発車メロディが採用されており、上りと下りで異なるメロディが流れる。なお、元町・中華街駅はこの組み合わせが逆になっている。
新高島駅 - 日本大通り駅の接近放送は、東横線と同様に上りが女声、下りが男声であるが、元町・中華街駅については到着時の案内放送が男声、接近放送及び発車放送は女声である。
開通後最初に一日駅長に就任したのは、開通2周年記念イベントの一つとして2006年(平成18年)2月4日馬車道駅にてジェリービーンズコンサートを行った「N.U.」。
使用車両
現在の使用車両
10両編成は原則各駅停車の運用には就かない(新高島駅のホーム有効長が8両分のため)。
横浜高速鉄道車(8両編成)
- Y500系:開業時導入。
東急電鉄車(8両・10両混在)
東京メトロ車(10両・8両混在)
- 東京メトロ10000系:2013年より使用。10両編成(8両化可能)。
- 東京メトロ17000系0番台:2021年より使用。10両編成。
- 東京メトロ17000系80番台:2021年より使用。8両編成。
東武鉄道車(10両編成)
- 東武9000系9000型:2013年より使用。ホームドア非対応の9101Fを除く7編成を使用中。今後数年内での置き換えを予定している。
- 東武9000系9050型:2013年より使用。こちらも今後数年内での置き換えを予定している。
- 東武50000系50070型:2013年より使用。
西武鉄道車(10両編成)
- 西武6000系0番台:2013年より使用。ステンレス車区分。当初は6101F・6102Fを除く全編成を使用していたが、現在は6109F~6117Fの9編成のみが直通に対応している。
- 西武40000系0番台:2017年より使用。「S-TRAIN」対応型デュアルシート車区分。
- 西武40000系50番台:2019年より使用。一般列車用のロングシート車区分。
過去の使用車両
東急電鉄車
- 東急8000系:1969年より使用。老朽化のため2008年までに撤退。一部は伊豆急行やKRLジャボタベックへ譲渡されている。
- 東急8590系:1988年より使用。5050系導入により2006年までに東急大井町線・田園都市線へ転属した(廃車済)他、一部は富山地方鉄道に譲渡されている。
- 東急9000系:1986年より使用。副都心線に対応できないため2013年に撤退し、大井町線へ転属した。
東京メトロ車
- 東京メトロ7000系:2013年より使用。老朽化のため2022年に撤退。
西武鉄道車
- 西武6000系0番台6103~6108編成・50番台:2013年より使用。40000系50番台導入拡充に伴い2024年までに撤退し、西武池袋線地上線区運用もしくは西武新宿線へと転用された。
その他
- 相鉄20000系:相鉄線の10両編成。定期運用こそないがみなとみらい線にも対応しており、代走に入ることがある。ただし東武と西武に対応していない関係上代走に入れる運用は制限される。
こぼれ話
みなとみらい線の初乗りは190円(2023年3月18日からは鉄道駅バリアフリー料金10円を加算した200円)なので3回以上乗る場合は一日乗車券を買った方がお得になる。