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概要

小田急電鉄の最後の鋼製車両であり、2024年時点で小田急の通勤形では唯一の存在となってしまった。6両編成と4両編成が共に16本ずつが、1983年から1987年にかけて新製投入された。

側面窓は9000形や5200形(旧5000形の一枚窓車)と同じ一枚窓であるが、腐食防止の為にアルミ合金製の枠を加えている。また、同じく腐食防止の観点から、車体を支える骨組みや屋根などの構造部材はステンレス鋼を用いており、ステンレス車黎明期によく見られた「スキンステンレス車」「セミステンレス車」の真逆ともいえる車体構造になっているのが特徴である。

デビュー当初は界磁チョッパ制御で、6両編成の8266Fと4両編成の8064F~8066Fを除いて寒色系の内装で纏められたが、寒色系にも模様があった。又、冷房は集約分散式で連続式を初採用し、室内もラインフロー式に変わり後に1000形2000形もこの方式を採用した。更に冷房向上の為に広い貫通扉から狭い貫通扉に代わり、引き戸も追加された。前面は9000形に似ているが、ブラックフェイスで近代的な外装に代わった。車体幅は小田急で最後の2900mmの車両であり、地下鉄の規格制限から千代田線には乗り入れない。

長期的な活躍を目論んで設計されており、さらには大幅な更新工事もあって結果的に10000形20000形50000形と後輩車両のデビューから最後までを見守り、これらの車両よりも早く登場し、特に50000形に関しては本形式より車齢20年以上の年下であるにもかかわらずそれ以上に長生きしている。

改造各種

リニューアル工事

2002年から2013年にかけて、リニューアル工事を実施。パンタグラフはシングルアーム化された。

一部車両を除き電気指令式ブレーキへの変更が行われたため、ブレーキ読み替え装置が搭載されていない4両固定編成は、8000形6両固定編成のうちVVVF化されたグループと3000形6両編成しか連結できなくなった。

6両固定編成、8251Fと8255F

2002年リニューアル。種別・行先表示器は3色LED化された。制御方式は界磁チョッパ制御のまま。

2003年から2012年までリニューアル工事を実施した編成

運転席のワンハンドル化と電気指令式ブレーキへの変更、制御方式のVVVFインバータ制御化(IGBT素子使用)が行われた。

当初は3色LED式種別・行先表示器に変更されていたが、2005年度最後に施行された8252Fからは種別・行先表示器はフルカラーLEDに。

2006年まで施行分は3000形に合わせた仕様となっていたが、2007年以降施行分は4000形に合わせた。ブレーキの変更に合わせ、6両固定編成はブレーキ読み替え装置を装備。

2006年度までは6両固定編成に集中して施工が実施されていたが、2007年度から4両固定編成にも施工が始まった。なお、4両固定編成については2008年3月15日ダイヤ改正による分割湯本急行廃止を含む分割併合削減により、併合相手を限定できるようになったため、指令読み替え装置を付けることなく営業運転に復帰している。先述の通り4両編成は復帰後単独運用が存在せず、常に6両編成の後ろに付く形で営業運転に入っている。

4両固定編成、8059Fと8061F

2013年リニューアル。改造内容は2003年以降施行分とほぼ同じだが、VVVFインバータ制御装置がSiCモジュール素子に変わった。これはのちに1000形の改造メニューに反映。

8000形は、現時点で小田急の系列では全編成にリニューアル工事を終えた最後の車両となっている(未リニューアルの1000形に一部廃車がでたほか2000形はリニューアルしない方針であり、3000形も1・2次車は対象外の動きがみられるため)。

クヤ31形連結対応改造

小田急の検測車両、クヤ31形『テクノインスペクター』は自走が出来ないため、1000形のうちの3編成にクヤ31形連結対応改造をし、牽引車として使用してきたが、5000形の大量投入によりこの3編成は除籍。このため2021年に8065F、8066Fの2編成にクヤ31形連結対応改造を行い、同車の新たな牽引車両として使用されている。

通常は他の8000形と同じく営業運転を行う。

廃車除籍ほか

事故廃車

2019年6月19日に発生した踏切事故により、8264Fの先頭車両(クハ8564)が脱線した。

ニュース記事

この事故により同編成は運用を離脱し、後の2020年4月に8000形初の除籍となった(※新宿方に連結されていた8064Fは運用復帰している)。

余剰廃車

5000形の大量投入及び保有車両の削減のため、余剰車として2020年より廃車が順次行われている。

界磁チョッパ車である8251Fと8255Fの2編成が優先的に廃車され、小田急線内から界磁チョッパ車が消滅。2019年11月2日に8251Fを使用した界磁チョッパ車ツアーがさよならイベントとして行われた。

他社への譲渡

西武鉄道では「サステナ車両」と題してVVVFインバータ制御車の中古車の導入を検討しており、その候補車両として8000形の6両固定編成を選定。2024年度より順次、西武国分寺線向けに合計7編成の投入が予定されている。

2024年5月19~20日にかけて、第1号となる小田急8261Fが甲種輸送で小手指車両基地まで運ばれた。

編成表

6両編成(界磁チョッパ車)

  • ←小田原
  • 藤沢
  • 唐木田
  • 新宿→
  • 片瀬江ノ島
車両番号825082008300840085008550備考
MT構成Tc1M1M2M3M4Tc2
号車654321
車両構成CPSIV,PTCON,PTSIV,PTCON,PTCP
第1編成8251820183018401850185512021年廃車
第5編成825582058305840585058555※江、2020年廃車

6両編成(VVVF車)

  • ←小田原
  • 藤沢
  • 唐木田
  • 新宿→
  • 片瀬江ノ島
車両番号825082008300845085008550備考
MT構成Tc1M1M2T1M3Tc2
号車654321
車両構成CPSIVCON,PTSIVCON,PTCP
第2編成825282028302845285028552フルカラーLED
第3編成825382038303845385038553※オ
第4編成825482048304845485048554VVVF化第一号
第6編成8256820683068456850685562023年廃車
第7編成825782078307845785078557※ポ
第8編成825882088308845885088558
第9編成8259820983098459850985592022年廃車
第10編成826082108310846085108560フルカラーLED
第11編成826182118311846185118561フルカラーLED、※雷、※西武
第12編成826282128312846285128562※オ、フルカラーLED
第13編成826382138313846385138563フルカラーLED
第14編成826482148314846485148564
  • フルカラーLED
  • 2020年事故廃車
第15編成826582158315846585158565フルカラーLED
第16編成826682168316846685168566フルカラーLED

4両編成

(全編成、行先表示器はフルカラーLED)

  • ←小田原
  • 藤沢
  • 唐木田
  • 新宿→
  • 片瀬江ノ島
車両番号8050800081008150備考
MT構成Tc1M1M2Tc2
号車10987
車両構成SIV,CPSIVCON,PTCP
第1編成8051800181018151
第2編成8052800281028152※ポ、2023年廃車
第3編成8053800381038153
第4編成8054800481048154※百、※オ、2023年廃車
第5編成80558005810581552022年廃車
第6編成80568006810681562022年廃車
第7編成8057800781078157
第8編成8058800881088158
第9編成8059800981098159SiC採用
第10編成80608010811081602023年廃車
第11編成8061801181118161SiC採用、2023年廃車
第12編成80628012811281622023年廃車
第13編成8063801381138163
第14編成8064801481148164
第15編成8065801581158165クヤ31連結対応
第16編成8066801681168166クヤ31連結対応

※江…江ノ島線開業90周年ラッピング(2019年10月~12月)

※百…小田急百貨店40周年ラッピング(2002年11月)

※オ…蘭・世界大博覧会 オーキッド号(1987年3月)

※ポ…走るギャラリー・ポケット号(1984年~1987年)

※雷…2013年8月12日に落雷被害

※西武…西武鉄道譲渡(西武8000系へ改番)

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