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小田急4000形

おだきゅうよんせんがた

ここでは、小田急電鉄で活躍していた初代4000形電車、および現在運用中の2代目4000形電車について解説。
目次 [非表示]

小田急4000形(初代)編集

でんしゃ


1966年に車両の大型化を進めていた小田急が、初の20m車である2600形と同等の車体に、戦前製の旧型車から流用したモーターと、新製した制御器と台車等を組み合わせて大型化を図った型式である。

流用したモーターは、手動加速制御車(HB車)の1200形・1400形から流用のMB146A、自動加速制御車(ABF車)の1600形から流用のMB146CF(いずれも三菱製・93.3kw)であるが、元HB車のMB146Aは弱め界磁を追加するなど、双方共改修の上で使用されている。

車体が大型化されたため、モーター出力の関係から2M1Tの3両編成が組まれた。特筆される点としては、新製された台車に東急車両製のパイオニアⅢ(外側ディスクブレーキ)が採用されている点である。


1970年までに22編成が登場する。


1800形との併結と、5両編成化編集

 1969年より小田急では大型車8両編成での運用を開始したが、まだ8両編成が5000形と、モハ63を改修した1800形しかおらず、組成できる8両編成が限られている状況であった。しかし、1800形は1960年代に既に体質改善が終了、4000形と同じ電磁直通ブレーキに改修されており、理論上1800形と4000形は混結が可能という結論に至る。

 1969年には1800形+4000形の5両、1800形+4000形+4000形の8両編成運転を開始、これで組成できる8両編成を確保した。

 しかし、1973年4/19,5/2に台車の相性による競合脱線事故を連発させたため、1800形との連結を中止している。その際に8両編成が組めなくなるため、一時期はクハを外して5両編成を組成したこともあった。

その後1974年~1976年に、正規に5両編成を組むために中間電動車が13編成分が追加製造されている。

モーターは戦後製の1700形・1900形・2100形、さらに荷物電車からも流用されている。

その際にクハに使われていたパイオニア台車を電装して新車に流用、クハ22両分と不足する電動車4両分は(小田急としては珍しい)東急車両製のペデスタル台車を新調している。

 1985年以降、後述する冷房・高性能改造が進み、1987年夏に5両編成の運用が終了、3両編成も1988年9月に運用を終了した。


冷房化・高性能化編集

 中間車の増備後、5両編成13本(4001~13F)・3両編成9本(4014~22F)が運用され、1977年よ開始されたり大型車10両編成運転では、4000形についても5両編成を2本繋げて運用されていたが、この頃になってくると小田急の冷房車も2600形5000形9000形と普及が進み、非冷房且つ3両固定編成と5両固定編成の4000形は6両と4両が今後主力となり、新性能冷房車も大量にいる中で必然的に扱いづらく、且つ見劣りするようになる。

 また、冷房化をしようにもパイオニア台車が冷房装置の荷重に耐えきれるかどうか不安であり、結局小田急は、旧性能のまま冷房化をすることは困難と判断、2400形から電動機を流用し、台車を新造して新性能化、編成組み換えを含む大規模な工事に踏み切ることとした。

 なお、編成組み換えに関しては

A,3両2本から6両1本

B,5両2本から6両1本と4両1本

C,3両と5両1本ずつを4両2本

といったパターンで実施され、Aで6両4本、Bで6両、4両が6本ずつ、Cd4両が2本生み出され、合計6両編成(10編成)と4両編成(8編成)に組成が変更される、なお、Aパターンでは一部の先頭車を中間車に改造する改造が行われた。改造は1985~88年にかけて東急車輛で施工されている。

なお、制御器が種車から流用されていること、再び流用したモーターの容量の関係で発電ブレーキが無く、電動車の台車に外側ディスクブレーキが採用されているなど、小田急通勤車として特異な面も引き継がれたといえる。

なお、この改造を受けた車両は異形式併結が解禁、引き続き箱根登山線に入れなかったが、それ以外は特に不自由なく営業運転に入った。

 2000年以降6両編成は箱根湯本行急行が倍増されてしまったため、優等運用に入りづらくなったが、4両は様々な車両達と組みながら優等運用につくことも多かった。

 2003年から3000形投入による廃車が始まり、2004年12月に運用を離脱、2005年1月に廃車され、形式消滅した。


その他のエピソード編集

・機器流用車と言うと、車体だけ乗せ換え下回りは殆どいじらないイメージが強いが、小田急4000形の場合、流用したのが電動機など一部電装品で、制御装置と台車など電車の基本的な部分は新造で賄った部分も多く、機器流用車としても極めて異質なものであると言える。

・4000形+新性能車は、4000形の新性能化後は頻繁に見られた併結だったが、新性能化前も制御系の引き通しが統一されていたため、一応ではあるが5000形などの高性能車とも連結運転自体は可能であった。

・旧性能車としての定期運用終了後に緊急的に故障車の代走に起用され、小田急では空前絶後のカルダン車と吊掛車の混成による営業運転が行われたことがある。その際は4000形+4000形+8000形というペアで組まれたという。

・1700形・1900形・2100形は、1800形よりも後に登場した系列となっており、結果的には先輩たちの失敗の煽りを食う形で廃車させられる運命となったが、逆に言えば中型車の淘汰が図らずも進められることになったため、怪我の功名ともいうべきでもあろう。


小田急4000形(2代)編集

小田急4000

メイン画像の車両。2007年運行開始。

東京メトロ千代田線乗り入れ用として使用していた1000形を置き換えて、それを5000形(5200形含む)の置き換え・地上線専用へ玉突き転配のために製造された。設計・性能はJR東日本E233系とほぼ同一で、製造も同社の新津車両製作所(現:総合車両製作所新津事業所)でも行われている。しかし、E233系とは所々異なる性能を持ち、駆動方式はE233系のTD平行カルダンに対し、WN平行カルダンを採用していたり、歯車比はE233系が16:97=1:6.06に対し、4000形は17:96=1:5.65に設定されている。また、全密閉6極かご形三相誘導電動機を採用しているため、独特の走行音を奏でる。


小田急電鉄千代田線常磐緩行線の3社直通運転について、デビュー当初はJR常磐緩行線の乗り入れに対応していなかったが、対応工事を済ませたうえ、2016年3月26日のダイヤ改正よりJR常磐緩行線での営業運転が始まり、取手駅まで乗り入れるようになった。同時に、姉妹車両にあたるE233系2000番台も小田急線での営業運転が始まった。

この結果、小田急の車両では初めて千葉県茨城県を営業運転で走行した車両となった。また前述の対応工事ではJR東日本の大宮工場で行われており、非営業運転ながら埼玉県に入線している。


2024年現在、10両編成16本160両の陣容となっている。最終増備車である4066Fのみ2016年〜2019年まで間地上線限定で運用されていたが、2019年より直通運転運用が解禁されている。


編成表編集

←新宿・片瀬江ノ島・綾瀬・取手  小田原・藤沢・唐木田→


形式4050400041004200430043504450440045004550備考
号車10987654321
MT構成Tc1M1M2M3M4T1T2M5M6Tc2
機器構成(※1)CPVVVF,PTSIVVVVF,PTCPVVVF,PTSIVCP1次車
機器構成(※1)VVVF,PTSIV,CPVVVF,PTCPVVVF,PTSIV,CP2次車以降
第1編成40514001410142014301435144514401450145511次車
第2編成40524002410242024302435244524402450245521次車
第3編成40534003410342034303435344534403450345531次車
第4編成40544004410442044304435444544404450445541次車
第5編成40554005410542054305435544554405450545551次車
第6編成40564006410642064306435644564406450645561次車(※2)
第7編成40574007410742074307435744574407450745571次車
第8編成40584008410842084308435844584408450845582次車
第9編成40594009410942094309435944594409450945592次車
第10編成40604010411042104310436044604410451045602次車
第11編成40614011411142114311436144614411451145612次車
第12編成40624012411242124312436244624412451245623次車
第13編成40634013411342134313436344634413451345633次車
第14編成40644014411442144314436444644414451445643次車
第15編成40654015411542154315436544654415451545654次車
第16編成40664016411642164316436644664416451645665次車
備考※3※3※4

※1 PT=パンタグラフ、VVVF=VVVFインバータ制御装置、SIV=静止形インバータ(補助電源装置)、CP=コンプレッサー

※2 小田急最初の総合車両製作所製車両

※3 検査時の為に簡易運転台が取り付けられるようになっている。

※4 平日朝ラッシュ時は直通先含めて女性専用車になる(小田急は新宿方面のみ)。


関連項目編集

小田急電鉄 4000形 多摩急行

1000形 2000形 3000形 5000形 8000形

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