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鉄道車両の形式の一つであるが、旅客用では小田急電鉄の例しかない。


小田急電鉄30000形電車編集

EXCELLENT

1996年に運用開始した小田急電鉄特急形電車ロマンスカー)。

愛称はEXE(EXcellent Express)「エクセ」と読む。

稀に拡張子(.exe)と混同して「エグゼ」と読まれてしまうことがあるが、間違わないように。

(ちなみに拡張子の.exeは『executable』(「実行可能な」)の略で「エクセキュータブル」と読み、濁音を使わない読み方の方が正しい)。


当時の小田急ロマンスカーはバブル崩壊やレジャーの多様化による箱根観光の斜陽化の一方で、観光用途以外での利用客や途中駅からの利用客(主に通勤客)の増加という利用状況の変化に直面しており、編成単位の輸送力増強(当時はまだ複々線化工事は進展しておらず、これ以上の増発やスピードアップは困難な域に達していた)が求められていた。

こうした要望に応えることと老朽化していた3100形(NSE)の置換えを目的として1996年にデビュー。1999年までに6両編成と4両編成が各7編成ずつ製造された。


先述したように観光需要のみならずビジネス需要にも対応した設計となっており、定員増加を目的としてそれまでのロマンスカーで採用されていた連接車体を止めて通常の20mボギー車を編成全体に採用している。また、弾力的な運用を行うべく分割併合運用を前提として6両編成と4両編成をそれぞれ製造し、分割併合に対応して4両・6両、そしてそれらを連結した10両編成として運用することとなった。そのため、10両編成組成時に中間に入る先頭車については、幌を内蔵した貫通形の前面を採用している。その都合上、前面展望席は廃止せざるを得なくなったものの側面窓は大型化されており、全席からの眺望性はむしろ向上した。

塗装も白やオレンジなどを採用した3000形(SE)以降のロマンスカーと打って変わり、先頭車前面にロマンスカーのシンボルであるオレンジのワンポイントラインを配した以外は、メタリック系のパールブロンズという落ち着いた配色となった。これは「10年経っても飽きの来ないデザイン」を企図したものとされる。

この様に通勤輸送を重視した構造もあってロマンスカーの利用者を増やすことに成功した。


しかし、まさに置換え対象であるNSE以来ロマンスカーの伝統となっていた前面展望席の廃止やサービス簡略化が、鉄道ファン層からの否定的評価にさらされることになる。展望席がないのは先代のRSE車も同じではあったが、こちらは展望席がないながらも中間車2両がダブルデッカー、それ以外の車両もハイデッカーであり、特にダブルデッカーはRSE車のみが持つ個性であったため、(もっとも、将来的にそれが早期引退に繋がってしまったが)観光要素が歴代でも特に薄かったのだ。

加えて、本来の趣旨である通勤客対応より箱根方面への優先投入が行われてしまった(10000形(HiSE)の検査時の代走として、箱根行き観光客をターゲットとしていた『スーパーはこね』にも投入されていた)こともこれに拍車をかけることになった。

結果、就役翌年(1997年)の第40回ブルーリボン賞にノミネートされ、得票数では最多であったにもかかわらず「該当車なし票がそれを上回った」ために、同賞が授与されないという小田急ロマンスカー史上初(2021年現在、歴代唯一でもある)の屈辱を味わう羽目になってしまう。


更に当時の小田急の最新型ということもあって小田急の広告等におけるイメージリーダー車両に充てられていたのだが、ロマンスカーの利用者自体は増加していたものの、それは通勤や買い物などの日常利用者のことであり、箱根特急としての利用者数減少(1987年時点で550万人だったのが2003年には300万人となっていた)の一つの原因が観光色の薄いEXEにあったことが判明した結果(箱根の観光客数そのものも減少していたのだが、全体では15%程度の減少に留まっていた一方、箱根特急の利用者数は45%減少していた)2002年以降はHiSEにその座を奪われてしまうこととなる。「来た車両がこれで子供がこんなのロマンスカーじゃないと泣いた」といったエピソードもあり、子どもたちやファンからの人気も低く、人気投票でも毎回最下位である。加えて車両の本数も多く、適当に切符を買うとこの列車に当たる確率が高いことも拍車をかけている。


その後、次世代のロマンスカーである50000形(VSE)は前面展望席復活、連接車構造採用と伝統回帰することになり、7000形(LSE)の後継として製造された70000形(GSE)も通勤需要にも対応しつつ前面展望席を存続させている(なお60000形(MSE)については、地下鉄路線への乗り入れを前提としたために前面展望席は廃されている)。


設計自体は本来の投入目的に見合ったものであり、内装もデビュー15年を過ぎても陳腐化していない(新製当時の1996年には通商産業省(現:経済産業省)からはグッドデザイン賞を、日本デザイン振興会からは2007年にロングライフデザイン賞をそれぞれ受けている)等、「小田急ロマンスカーでさえなければ十分に人気を集め得た車両であった」という声も存在する。


また、LSEから130名以上の定員増加に成功しており、目的の一つである編成単位の輸送力増強の面では充分な成功を収め、ロマンスカーの輸送力増強に貢献することとなった。現在では観光輸送からビジネス輸送まで多岐に渡って運用されるオールラウンダーとなっており、後述するリニューアル工事を受けつつ小田急ロマンスカーの主力車両として活躍している。

さらに内装の評価は高く、全体的に座席が固いと言われることの多い小田急車両の中では座席が柔らかいこともあって「乗り心地は一番」という声も多い。この点では、当初は観光に特化したために座席が固くなったVSE車とは対照的である。


室内編集

2号車、5号車、8号車にはトイレが設置されており、その内、5号車と8号車には車椅子スペースが設置されている。

自販機とカウンターブースは3号車と9号車に設置されている。


リニューアル編集

【HD小田急14-1】もう地味なんて言わせない【30000形】短時間挑戦 3163

2016年より登場から20年が経過したために30000形をリニューアルする旨の発表が小田急から出された。

内装・外観のリニューアルはもちろんだが、インバウンドへの対応策として座席下に荷物スペースを設置し、さらに従来和式だったトイレも洋式に変更するなど、大改造が実施されることとなった。


このリニューアルデザインに関しては、50000形(VSE)、60000形(MSE)を手掛けた岡部憲明氏が新たに担当することとなり、「プラスアルファの要素が加わる」として「EXEα(エクセアルファ)」という愛称名に変更。塗装もシルバーを基調に、他のロマンスカーとイメージを合わせるためバーミリオンオレンジの帯が入れられた。

2016年11月、その第1陣の改造が完了し、改造元の日車豊川工場から小田急へ甲種輸送され、試運転ののち2017年3月に営業運転を開始。第2編成からは窓側席にコンセントも設置され、より便利になった。


また、同車より後に登場したVSEがアルミ車体構造や部品の調達困難を理由にリニューアルせず引退、結果的に「ロマンスカーと相応しくないと言われた車両が、ロマンスカーのイメージリーダーとして生まれた車両より長生きする」という皮肉な結果となった。

以前からVSEの代走を務めることも多かった「スーパーはこね」に関してはメイン車両だったVSEの引退後は本形式とGSE車が引き継いでおり、新宿駅の電光掲示板もVSE引退後は本形式の未更新車が引き継いでいる。


編成表編集

太字は「EXEα」編成

CP=コンプレッサー、CON=VVVF制御装置、PT=パンタグラフ搭載、SIV=補助電源装置


←小田原・藤沢/新宿・片瀬江ノ島→

6両編成

形式クハ30550デハ30500サハ30450サハ30350デハ30200クハ30250
リニューアル後クハ30550デハ30500デハ30400サハ30350デハ30200クハ30250
号車1号車2号車3号車4号車5号車6号車
MT構成Tc2M2T2→M3T1M1'Tc1'
機器構成CPCON,PTSIV,PTSIVCON,PTCP
第1編成305513050130401303513020130251
第2編成305523050230402303523020230252
第3編成305533050330403303533020330253
第4編成305543050430404303543020430254
第5編成305553050530455303553020530255
第6編成305563050630406303563020630256
第7編成305573050730457303573020730257

4両編成

形式クハ30150デハ30100デハ30000クハ30050
号車7号車8号車9号車10号車
MT構成Tc2'M2'M1Tc1
機器構成SIV,CPCON,PTSIV,PTCP
第1編成30151301013000130051
第2編成30152301023000230052
第3編成30153301033000330053
第4編成30154301043000430054
第5編成30155301053000530055
第6編成30156301063000630056
第7編成30157301073000730057

エピソード編集

  • 第1編成はリニューアル工事の際直前で塗装デザインが変更となったため、帯の張り付けが間に合わず中途半端な姿で輸送された。また、ロゴマークを「EXcellent Express」ではなく、「SUPER EXPRESS・30000」にしてしまうミスがあり、営業運転までに正しいものに張り替えられた。
  • 2022年より始まったホームドア設置計画に伴い、ホームドアに支障する関係で現在4号車・7号車のドアの開閉は行われていない。
  • 先述した「EXEα」へのリニューアル工事は5編成が施行されたが、残る2編成については小規模な延命工事のみで済ませている。この理由としては、70000形の新造投入と30000形のリニューアル工事の「同時並行」の結果、ロマンスカーの新車開発と代替スケジュールに長いブランクが発生するのを防ぐ目的が考えられる。2編成の代替目的となる新車投入は2029年を目処にしている

関連タグ編集

小田急電鉄 ロマンスカー はこね さがみ えのしま 30000系 鉄道車両の形式の一覧

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