概要
メーカーの工場や小売店等の倉庫に保管されている在庫のうち、何らかの理由で長期間販売・出荷・使用されずに残ってしまっている品物のこと。デッドストック、滞留在庫とも呼ばれる。
単純に質自体が低い粗悪品で買い手がつかなかったというケースが多いが、物自体は悪くなくても流行遅れや季節外れなどで需要がなくなった、(食品の場合)賞味期限が近いもしくは切れてしまって通常販売できなくなった、過剰生産・過剰仕入れによりさばききれなくなった(余剰在庫)などのケースも多い。
コストをかけて製造又は仕入れを行った製商品が、見込期間内に見込価格で販売ができないと、企業経営上種々の悪影響がある。
具体的には、長期間在庫として保存していることによる色あせや破損などの物理的な価値の劣化や、在庫として販売できないため、投下した資本を現金として回収できないことによる資金繰りの悪化や資本コストの増加、並びに在庫として倉庫などに保管することによる倉庫賃借料等のコストの増加が考えられる。
こうしたことから不良在庫は嫌われており、これを予防することを一つの目的として在庫管理が行われる。発生してしまった不良在庫については、例えば、小売店は投げ売りやワゴンセールをしたり、理由を明らかにしたうえでアウトレット品や訳あり品として安く売り出したりといったことが考えられる。品質に大きな問題がなければ需要が高い新品と抱き合わせにする、福袋に入れるなどおまけ扱いにされることも多い。
書籍ではゾッキ本として正規の流通ルートから外して古書市場に流す場合がある。
売れないからといって人気商品とセットで売る「抱き合わせ(商法)」は違法。(項目参照)
似たもの
なお、似た言葉として「余剰在庫」と「滞留在庫」があるが、余剰在庫は「品質としては問題ないが、その倉庫ではさばききれないほど大量に在庫がある」状態、滞留在庫は「一定期間動きがなく、商品の破損や使用期限が迫っているなどの理由で今後流通する可能性がほぼない」状態を指すようである。もっとも文献やネット上のサイト、企業ごとに微妙に意味合いが違うようで、滞留在庫を「倉庫に長い期間残っている状態」とし、不良在庫を「品質に問題があり出荷販売できない状態」としている場合もある。