概要
主に百貨店、スーパーマーケット、各種量販店で行われる安売り方法の一つであり、そのままでは売れないと判断された商品が、目に付くようにワゴンや別ブースに移動させて行う事から付けられた俗称である。
売られ方の一例
食料品、日用雑貨
食品の場合、生鮮食品や、賞味期限・消費(使用)期限が近づいていて早く売り切らなければならない商品を売り切ってしまうため、通常より(大幅に)値下げした上で特別コーナーに陳列しているケースが多い。
また、通常より多く仕入れてしまい捌ききれない商品や、パッケージや仕様の変更がされる前の商品(いわゆる旧品)、食用や使用には問題ないものの箱などに傷みがあるような商品が、新商品や売上の多い商品の棚の確保のためワゴン行きとなることもしばしばある。
(2020年辺りになってくると、色々な事情もあってワゴンセールの割合は増えている)
「見切り品」と言われることもあるが、店側ではイメージが悪いためかあまり使われず「おつとめ品」や「訳あり品」といった表現がなされる。
他の商品と違い、店側には食品ロスを防ぐというメリットが、客側には実用的なものを安く手に入れられるというメリットが大きいため、決して悪い意味ばかりで使われる訳ではない。
なお、「おまけつきのお菓子」という扱いになる食玩も、賞味期限や仕様変更、代替わりなどの理由からワゴンセールの対象になりやすい。
セブンイレブンやローソンなどのコンビニエンスストアでは、値引き販売は縁がないように見えるが、コラボ食玩などが半額で並べられているようなケースが地方によっては存在するため、「コンビニだとあまり割引の印象がない」とスルーしがちな人でも気になる場合にはチェックをすることを推奨する。
玩具やゲーム
食品と同様に、過剰に仕入れてしまった、新シリーズの発表やパッケージ・仕様変更により型落ちになったなどの理由が大半であるが、食品や一部日用品と違い使用期限などとはあまり関係ないため、場合によってはかなり前に発売されたものが長いことワゴンに並んでいることもある。
また、アニメや特撮などの関連グッズ、タイアップ商品の場合、元となる作品そのものの人気が芳しくなかった、販売から間も無く元作品が終了した、他の店では売れていたがその店の周辺では放送地域や時間などの関係で知名度が低かった、などの理由で売れ残ったものが、棚を開けるためにワゴン行きになるケースも多い。
特に『スーパー戦隊シリーズ』『プリキュアシリーズ』などのように、(よほどのことが無い限り)来年「別の番組」をやることが既に分かり切っているような作品の場合、4クール目に入る(=次の番組の制作が始まる)と即座にワゴンセールが始まることもしばしば見受けられる。
ワゴン以外にも福袋やブラックフライデー等のバーゲンでの詰め合わせ、他の商品との抱き合わせとして回される事もあるようで、専門的にホビーのみを扱っていないスーパーマーケットやディスカウントストアなどで何年も前のタイアップ商品が90%オフなどのとんでもない値段で売られていることもある。
ゲームに関しては、(タイアップで)流行が既に過ぎてしまったものや、新シリーズが発売されたときに残っていた旧作が、さまざまな事情(※新ハードへの移植やバージョンアップ版が発売された、パッケージ版のみ、海外版のみだったのがDL版や日本語版が出たなど)で新品をわざわざ買うような人が減った時にワゴンになりがちである。
稀に新品同様のソフトが信じられないような価格で投げ売りされているのはこのため。
すでに店舗でハードそのものを取り扱っていないような古いソフトも対象になりやすい。
(一方で、昨今のレトロゲームブームなどで最新機種より1個前や2個前の新品ソフトのワゴンセールは比較的に激戦区となりやすいため、警戒するに越したことはないだろう。それ以外にもさらに古い本体の新品ソフトが稀に並ぶことも……)
基本的に新品について使われるが、中古店でも同様である。中古市場の場合、傷・汚れ・欠品等があるアウトレットであったり、本来新品ならセットのはずの商品がバラになっていたりといったことも度々ある。ごく稀に未開封未使用の新古品がワゴンに並ぶ場合もあるが、ほぼ不人気や仕入れ数が多いなどの理由で希少価値の低いものである。
なお、ごく稀に「ワゴンには並んでいるがセールではない」ということがある。またあまりにも棚に長く残っている場合、棚の守護神という不名誉なあだ名で呼ばれることとなる。
書籍
本来、新刊の本や雑誌を書店側で自由に値段を決めて安売りすることは法律で禁止されているのだが、古本に関してはこの限りではなく、ブックオフなどの一部古書店においては、新刊どころかその店舗の相場の半額以下で販売されていることもある。
また、まとめ売りなどで一冊当たりの単価がとんでもないことになる漫画(例:『ドラゴンボール』42巻セットや『NARUTO』72巻セットなど。何十巻も纏めて売るためかさばるし一冊ずつならそれなりに値は張る)や、店のカラーと異なる旧い専門書など、他の店なら高額で取引されるような書籍がワゴン状態になっていることも少なくない。
もちろん、一般人がその場で中古相場を調べて転売する「せどり」対策も兼ねて人気作や希少本に高値をつけて管理している店舗も多く、特に大手は本社側での値段設定に用いて店舗側で自由に値段を設定できないということもある。
また、発売開始から一定期間過ぎても売れ残った…場合によっては出版社から出荷もされなかった新刊については、規定に従って書店側が自由に値段を決めることができるため(※全ての書籍が対象ではない)、新品同様のまま安く売られていることがある。これらはゾッキ本やバーゲンブックなどと呼ばれる。
パソコン、スマートフォン等
主に春シーズンにリリースされた物は、次の夏シーズンになると安くなるというパターンが多い。
パソコン関係のワゴンセールで対象になりやすいのは、周辺機器やアクセサリー等が多い(パソコン本体は取扱いの関係上ワゴンセールよりもバーゲンセール等が適切だが、稀に福袋で入れられる事もある)。
スマートフォンも本体がワゴンセールの対象となることはないが、周辺機器・アクセサリはワゴン行きとなることが多い。
パソコン、スマートフォンは機種の代替わりやメーカー側の仕様変更、複数メーカーの競合による新商品発売が比較的早いスパンで起こるため、「性能的には今でも十分使えるが最新のものより劣る」「現在流通している最新機種では使えない旧機種専用仕様」「非純正やメーカーの保証切れ」といった理由でワゴン行きになりやすい。