蒸気船とは、蒸気を用いた動力(=蒸気機関)を内蔵し、自力で航行する能力を持つ船のこと。汽船とも。
概要
蒸気を生ずるボイラーと蒸気を推進力に変えるレシプロ機関やタービン、外輪やスクリューがある船であれば全て『蒸気船』と呼ぶことができる(極端な話原子力空母もこれに含まれる)が、実際には『蒸気船』の語は特に古典的な石炭炊きレシプロ機関を搭載した船舶に対してして使われることが多い。
歴史的には専ら純粋な帆船に対する対義語として登場した単語で、帆船に蒸気機関を積んだ機帆船(汽帆船)や帆を廃して完全に蒸気動力となった船など、どちらかと言えば機関の種類ではなく「動力源(蒸気機関)を積んだ船」という意味合いで用いられていたため、機械力のみで駆動する艦船が主流となると使用されなくなった。代わりにディーゼル船や(蒸気)タービン船、ガスタービン船や原子力船といった具合にそれぞれの機関の名前で呼ばれるか、或いは民間船舶であれば俗称として十把一絡げに汽船とされることが殆どとなった。
結果的に蒸気船という言葉は、実用船舶としての帆船が消滅する以前の時代に活躍したものか、もしくは当時使用されていたものに準ずる設計の船舶をこう呼ぶことが殆どとなっている。