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原子力空母

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げんしりょくくうぼ

原子力空母とは、空母の分類の一つ。原子炉を主機関に採用した空母を指す。

概要

原子力空母とは、原子炉を主たる動力源とする空母のことを指す。歴史はそこまで古くはなく、1961年に就役したエンタープライズが世界初の原子力空母である。なお、アメリカではCVN(Carrier Vessel Nuclear-powered)という艦種記号で分類される。

特徴

原子炉の搭載には、以下のようなメリットがある。

  • 煙突の排除:原子炉には吸排気が不要であり、煙突やそれに関連する設備が不要である。艦橋の小型化や、飛行甲板上の気流の改善、電子機器への煙の影響をなくすことができるなどの効果がある。
  • 艦内スペースの活用:艦の燃料タンクが不要になるので、従来はタンクに使われていた空間を別の目的へ転用できる。主に弾薬や航空燃料の搭載量を増加させ、継戦能力を高める。
  • 航行性能:原子炉はかなり長い間燃料を補給せずに航行できるので、航続距離がほぼ無制限である。また、巡航速度が速いので、機動力が高く、潜水艦の襲撃に対して脆弱性を低減できるとされる。
  • 航空運用能力:特に蒸気カタパルトを搭載する場合、原子炉の生み出す大量の蒸気により、艦の速度を落とすことなく全力での運用が可能になるとされる。
  • 電力:原子炉の存在により発電量が大きくなるため、電力を消費する装備を充実させることができる。

しかし、その一方でデメリットも存在する。

  • 船体の大型化:原子炉は大きく重いため、ある程度の大きさがなければ、空母としての能力を落としてしまうことになりかねず、必然的に軽空母には搭載されない。
  • コスト:船体の大型化と、原子炉の取得・維持管理にかかる費用が非常に大きく、並みの国では運用ができない。
  • 原子炉の影響:原子炉の重量容積は、艦の強度・重心設計にも大きな影響を与える。また、放射線漏れ、沈没の際の汚染が問題となると言われる。

以上のようなメリット・デメリットを踏まえ、原子力空母は運用されている。

各国の原子力空母

2018年現在、アメリカフランスの2か国のみが原子力空母を運用しており、その総数は12隻となる。また、中国ロシアも保有を検討している段階にある。インドも盛んに空母の整備を進めており、将来、場合によっては整備計画を立てる可能性がある。

アメリカ

2018年1月現在、11隻の原子力空母を保有しており、世界一の空母大国となっている。

1975年~2009年就役。ベトナム戦争の戦訓を取り入れた量産型原子力空母。

ニミッツ級を基に新機軸を導入した新型空母。既に1番艦が就役しており、現在5番艦までが計画中。

(退役済み)

世界初の原子力空母。既に退役、除籍されている。

フランス

1隻の原子力空母を保有。本来2隻の原子力空母を保有する予定だったが、イギリスとの共同建造に失敗し、残りの1隻は計画が中止された。

フランス独自の原子力空母。ステルス設計を本格的に取り入れたが、中途半端な大きさで、正規空母として運用するには難点がある。

(計画のみ)

  • PA2(La Porte-Anions 2)

シャルル・ド・ゴールの欠陥を受け、大型の原子力空母として計画されたが、紆余曲折を経て通常動力とされた挙げ句、計画は中止に。

中国

  • 004型(仮称)

検討中の次期大型空母。統合電機推進とスーパーキャリアー級の巨艦となった003型航空母艦「福建」からさらに発展し、原子力推進化が検討されている。

ロシア

  • シュトールム(Шторм)

重航空巡洋艦の計画名。23000E計画艦とも言われる。詳細は不明だが、採用された場合には原子力化される可能性がある。将来空母として他の案も存在する。

(建造・計画中止)

重航空巡洋艦。ロシア初の原子力空母として計画されたが、計画は中止され、建造途中の一番艦は解体された。1143.7型とも言われ、アドミラル・クズネツォフ型の改良型でもあった。

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