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概要編集

艦載機空母着艦する際に、機体(多くは後部)に装備されたフックに引っ掛けて機体を減速させるためのワイヤー飛行甲板に設けられる。

稀に陸上の滑走路などでも用いられる。(長さの足りない滑走路での緊急着陸や擬似的な短距離着陸をさせて迅速に次の航空機の着陸に備えるために用いられる)


これさえあれば誰でも簡単に着艦できるように思えるが、前脚を引っ掛けないように一定姿勢と高度を維持しなければならないので意外と難しい。特にプロペラ機の多くは前脚が長く、より上向きの姿勢(失速しやすい)をとらなければならない。

着艦の補助というよりはむしろ着艦に必須の装備である。

戦中の空母は着陸滑走路上に先着の機体が駐機されているため、飛行機はフックが掛からなければ駐機列に突っ込むのを避けるため着艦制止装置と呼ばれるワイヤーないしネットに機体を衝突させて無理やり止める他なく、機体、パイロットともに非常にリスクの高い作業だった。

戦後にアングルド・デッキが普及すると駐機列を避けて着陸路を設けられるようになったため、着艦機はワイヤーに引っかからない事態を備えて着艦と同時にエンジン出力を最大にするのが通例となっている。

それでも難易度が高い作業には違いなく、長年艦載機パイロットの訓練に於いて重要な課題となっていたが、自動化技術の向上に伴い米海軍では手動での着艦訓練をパイロットの訓練項目から廃止している。


1本目でかからなかったときのためにワイヤーを何本か渡しておくのが通常。

初期の空母では上述のようにワイヤーに引っかからなければぶつけて止める他なかったため、確実に機体を引っ掛けるために10~18本のロープが張られていたが、それでもたびたび着艦事故が起こった。

しかしながらアングルド・デッキの普及により失敗を恐れる必要がなくなったためワイヤーは4本まで減らされた。更に誘導装置の進化により着艦制度が向上したため、現在米海軍で運用している空母は3本にまで減らされたものもある。


単にワイヤーを張っているだけではフックをちぎってしまうので、ワイヤーの両端はリールで巻かれており、適切な抵抗をかけながらワイヤーを繰り出すことで機体を極力穏やかに停止させるようになっている。

機体や装備によって適切な抵抗力は異なるため、戦前にはブレーキシリンダーと呼ばれる油圧シリンダーを備え、フルードの油圧を制御することで着艦する機体の重量に合わせてワイヤーを送り出す量などが調整できるものが開発され、開戦頃には多くの空母に普及している。

ジェラルド・R・フォード級では電磁ブレーキを使用するものが搭載された。


甲板の短い空母ほどより必要度が高くなる。


上記のように陸上基地の滑走路においても同様の設備が見られるが、着艦練習用の滑走路でない場合は構造が異なり、着艦同様に滑走路に叩きつけるような着陸とはならず、着陸後に滑走しながら引っ掛けた後も減速は緩やかでそれなりの距離を滑走するようになっている。


pixivにおける実際の運用の光景編集

龍驤新グラ

平甲板に二本のアレスティングワイヤーが渡された旧日本海軍の軽空母「龍驤」の図。


当然だが通常は甲板に対して横に渡される

.例の紐大鳳「これが今流行りの紐ね・・・」


一応、空母黎明期には縦索式アレスティングワイヤーというのも存在した。

既に横索式の成功が知られていた中、「絶対うちのが良いんだぁい!!」とティーカップを叩きつけたお国が開発したものだが、艦載機の進入方向と平行に張られたワイヤーにフックをかけて機体の浮き上がりを押さえつつ、甲板に設けた段差ないしは勾配で制動力を補うというものであり、恐らく着艦したパイロットはクラッチ操作を誤った車のように猛烈な縦揺れに見舞われ紅茶を飲むなど不可能に近かったであろうことは想像に難くない。

構造も煩雑で原理も回りくどいこの方式はあっという間に廃れてしまった。

ちなみに当時の弟分であった日本海軍もこれに倣ったが、日本の空母で運用実績があるのは鳳翔だけである。


また、アレスティングワイヤーを引っ掛ける側も、フック部に弾性を求められる。


関連タグ編集

サスペンダー

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