概要
ロッキードC-130ハーキュリーズに重火器を搭載した対地攻撃機。
元が輸送機だけに高い積載量と長い航続距離を備えており、必要ならば一晩中支援し続けることも可能。
初期の機体こそM134やM61バルカンといった機関砲を搭載する程度であったが、現在のモデルではボフォース 40mm機関砲やM102 105mm榴弾砲といった本来は陸上または艦上運用する事を前提に設計された重火器を搭載しており、高い火力と長い射程を得ている。
40mmと105mmには自動装填装置がなく、手動で装填される。装填人員は二門で共通になっているので、二門の同時使用は基本的に不可能(40mmはバラ弾ではなく4発を束ねたクリップ給弾かつある程度は装弾トレーに入れておけるのでやろうと思えば可能であるが、105mmと40mmを同時に撃ち込む意味はない)。だが一門ずつの使用では迫力がイマイチなので、フィクションでは全砲門が同時にフル稼働することも。
現行のAC-130Uでは、105mm榴弾砲を後装式120mm迫撃砲に換装し、AGM-114ヘルファイア対戦車ミサイルとハイドラ70ロケット弾の運用能力を付与する計画が持ち上がっていたが、計画自体がキャンセルされてしまった。
近代改修機であるAC-130WスティンガーII及びAC-130Jゴーストライダーでは砲をMk44ブッシュマスターII 30mm機関砲1門に削減する代わりとしてJDAMのような精密誘導爆弾や小型の空対地ミサイルといった精密誘導兵器を主とした改修案が提出されている。
またAC-130Jゴーストライダーでは30mm機関砲と105mm砲に加えて指向性エネルギー兵器、高出力レーザー砲を搭載する事も検討されている。
搭載される兵器がケタ違いの威力を有するため、「空飛ぶトーチカ」あるいは「空飛ぶ砲兵」とでも言うべき機体となっている。
高い火力から「ドラゴン」とも呼ばれ、「パフ・ザ・マジック・ドラゴン(魔法の竜パフ:同名のフォークソングが由来)」なるスラングを頂戴している。
暗闇の空から地上に降り注ぐ曳光弾の軌跡は、まさに「ブレス」なのだ(これはAC-47から続く「伝統」でもある)。
爆弾を投下するのと違い、砲による安価で精密な攻撃が可能なことから対テロ戦において重要な役割を持っている。
左側に座る機長が目標を視認する為に武装は機体左側面に装備され、HUDも座席左側に設置されており、目標を中心に左旋回しながら攻撃する。
E型ペイブ以前は搭載火器の角度調整が出来ないために機長が機体を操縦することで照準し、発射の操作をする必要があった。
H型スペクター以降は火器管制オペレータが搭載火器の操作を行うため機長が火器の操作をする必要はないが、機長の操作による射撃は可能なままとなっている。
初期は同行機に搭載された投光機や地上でのスモーク等による目標指示を元に目視で射撃を行なっていたが、現在では赤外線センサーや高感度TVカメラ、ノイズレーダー等の様々なアビオニクス類が搭載され、火器管制オペレータによる精密な照準を可能としている。
ゲームではフルトンリカバリーシステムが搭載されている場合もあるが、搭載自体は可能でも運用は難しく、実機では搭載されたことはない。
回収作業中は比較的低空を一定の速度を保ちつつ水平に飛び続けなければならず、回避行動も取れないので極めて危険。(高価かつ打たれ弱い)ガンシップを回収機として使うこと自体が間違っている事からこれからも搭載されることは無いだろう。
元が輸送機なので対空砲火には脆弱で、夜間攻撃を主任務とし、チャフ・フレアディスペンサーやIRジャマー、ECM、(比較的低出力ではあるが)レーザー等での自衛を行ってはいるが、限度はあり運用には制空権の確保が欠かせない。湾岸戦争では携行型地対空ミサイルSA14グレムリン(9K36ストレラ3)により1機が撃墜されており、14名の乗員は全員戦死している。
航空優勢を誇るアメリカ独特の装備といえる。
関連イラスト
関連ビデオ
射撃中の機内の様子がわかる珍しいビデオ。
とくに主砲の砲弾ラックや後座から装填手を守る黄色い安全フレーム、地上用と変わらない40mm砲の装弾クリップなどは、中々目にすることはできないだろう。