概要
元々は航空機での郵便回収用に考案されていたものが米海軍により洋上での人員救助用に応用し完成したもの。スカイフックとも呼ばれた。(ハリアーのスカイフックとは無関係)
気球は航空機に引っ張り上げてもらうためのものであり、それ自体に人を浮かべる力はない。
回収対象側は先立って投下された回収キット内のハーネス付のスーツを身に付け、気球を膨らませてハーネスに繋ぎ、風下に向いて座った姿勢で回収姿勢をとる。
航空機側は機首のV字型フックで気球に繋がるワイヤーを捕らえ、そのまま引っ張る形で引き上げる。その後、ワイヤーへ後部ランプからフックを引っ掛けて引き込み、設置されたウインチで機内に回収者を完全に引き上げる。
主翼先端と機首の間にはワイヤーが張られており、機首のフックに引っ掛けることが失敗した際に回収用ワイヤーがプロペラに巻き込まれることを防いでいる。
気球やワイヤーには発光信号が取り付けられており、夜間でも回収を行なうことができた。
発光信号のない初期のものでは投下される回収キットの中にライトが含まれており、回収対象者が風下に向いてライトで照らすことで気球の位置を示すようになっていた。
比較的低速とはいえ180km/h以上の速度の航空機に引っ張り上げられるため、回収対象者への衝撃が問題となるが、回収対象者の保護のためにワイヤーケーブルの張力で衝撃を吸収するようになっており、正しい姿勢をとっていれば回収対象者には一瞬の衝撃として感じられる程度になっていた。
安全なシステムのように思えるが、1982年にこの一度のみとはいえ首の骨を折る死亡事故を起こしている。
着陸こそ必要は無いが、周囲が開けた場所である必要がある上に、130m程度の長さのワイヤーで繋がった気球を捕らえるために低高度と一定の速度を保つという敵地では一番危険な飛行を行なう必要があるなど幾つかの欠点を抱えている上、ヘリの空中給油が可能になる等によりこのシステムの有用性が失われたために1996年に使用廃止された。
余談ながらフルトン回収システムを考案したフルトンJr.氏は蒸気船を発明したロバート・フルトン氏の子孫で、フルトンアーモリー社ではSOCOM Mark 14 Mod O EBRを製造もしている。
創作においては、007 サンダーボール作戦、グリーンベレー、the Unit、DARK NIGHT、MGSシリーズ、Ace Combat Assault Horizon等の多くの作品に登場している。
MGSシリーズのもの
「MGSPW」や「MGSVTPP」では回収用の装備として導入されている。
本来のシステムとは異なり、気球で対象を浮かせた後に空中でヘリが回収する仕組みになっている(メイン画像)。
特に人員回収では空に向かってものすごい勢いで飛んでゆき、上空の視界範囲外に消える。
固定翼機ではなくヘリで回収を行なっている理由は、PWでは機体が安いからとなっている。TPPでもヘリで回収を行うが、詳しい理由は不明。ちなみにTPPのヘリは機首部のアームがV字型に開くような見た目となっている。
更に開発していくと、室内でも回収可能なワームホール発生タイプのフルトンが開発可能となり、気球で浮かべるとすぐにワームホールが開き、転送されてゆく。サヴァイヴではワームホールフルトンが標準となる。
まさかの復活?
前述したように、現在は使用されていないフルトン回収だが、2019年に後継者ともとれるシステムが登場した。
こちらは輸送機ではなく、戦闘機から吊り下げたワイヤーを地上に固定、それをパイロットが繋いだら引っ張り上げてもらうというものである。
果たして実用化されるのだろうか?