ドラケンのデンマーク向け輸出型"F-35"はJ35ドラケンを参照。
概要
アメリカ合衆国の大手航空宇宙企業、ロッキード・マーティン社(旧ロッキード社)を中心にイギリスのBAEシステムズ社などが共同開発した第5世代ジェット戦闘機。愛称は『ライトニングⅡ』。2015年にアメリカ海兵隊に納入されたB型を皮切りに空軍・海軍に納入された機体がそれぞれ「初期作戦能力」を獲得し、実戦投入可能な状態となった。
空軍・海軍・海兵隊の3軍が使用するJSF(Joint Strike Fighter:ジョイントストライクファイター『統合打撃戦闘機計画』)として、ボーイング社のX-32との競合試作の結果採用された。
「高いステルス性を有しつつ、F-16をはじめA-10、F/A-18、AV-8B、ホーカーシドレーハリアー、CF-18など、特性が異なる多くの機種を代替する機体を」という結構な無茶ぶりのもと開発された。
一方で価格を抑えるために単発機とし、国際共同開発(開発国である米国を頂点として、開発にある程度発言できる英国、意見は出せないが配備が優先される資金提供国)で資金を調達、F-16の後継として多数の西側諸国の空軍での採用を見込んで大量生産することでコスト削減を狙っている。
の3つのバリエーションがある。
基本的な素体に各仕様のための独自部品を追加する形式になっており、独自設計割合はA形で19.8%、B形で32.6%、C形で43.1%となっている。
また、従来の戦闘機には存在した複座練習機型は存在せず、パイロット訓練には専用のフライトシミュレーターを使用する。
搭載するエンジンはF-35用に開発された『プラット・アンド・ホイットニー F135』。ドライ出力でも128kN、アフターバーナー使用時には191kNにも達する。この強力なエンジンの搭載により、F-35は形式を問わずおよそ150マイル(241km)をマッハ1.2で飛行可能な超音速巡航能力を有しているとされている。
アビオニクス
コックピットコンソールは一つの大型タッチパネル液晶(2枚のパネルで構成されている)に統合され、HUDを廃止してHMDによる表示を行う。
機体各所に装備された光学センサーAN/AAQ-37 DASの画像を統合し、HMDで表示することで死角のない全方位視界を得ることができる。さらにレーダー解析と画像認識により多数の機体を識別、同時追尾し、真後ろの敵にもミサイルが撃てる。
……ただこの「真後ろにミサイルが撃てる」機能は、実際のところ実用性はあまりない。真後ろに向けて発射すると、ロケットモーターの燃料をUターンで無駄遣いしてしまうし、測距ができないDASでは機体からの指令精度も低下するので効率的な軌道を算出できず更に射程が落ちる。
例え後ろが見えるとしても、ミサイルは結局前に撃つべきものなのであり、DASの主目的は索敵と警戒でロックオンはおまけである。
(ちなみに一部のロシア機も後方レーダーを搭載しているので真後ろの敵が狙える)
画像認識、赤外線探知、レーダー波の逆探知、さらにはAWACS(早期警戒管制機)や僚機との目標情報共有により、自らは一切電波を発さないままでも敵を攻撃可能。このことによりステルス性をさらに高めることができる。それらとは逆に、強力な電波を照射することで敵のレーダーをマヒさせる電子攻撃能力も有している。
戦術データリンクのMADLはF-22のIFDLやユーロファイターのMIDS-LVT(1)等とは直接リンクできず、F-15等のリンク16(TADIL J)とは限定的で互いに活かせなかったが、他の機体側のシステムを交換する事でF-22やB-2、U-2といった様々な機体とリンクし、様々な情報の共有だけでなく中継、規格が異なるシステムとの相互接続を可能とするゲートウェイ化といったことも可能となる予定。
戦闘以外でも「ALIS(Autonomic Logistics Information System)」と呼ばれる自己診断システムを搭載しており、端末を接続すれば機体の損傷、故障位置を報告し、必要な対処とそのための部品を提示するだけでなく、世界中の在庫状況にアクセスして調達までしてくれる。
このシステムによりF-35の維持管理は大幅に効率化され、ライフサイクルコストも旧来機より削減できる……はずだった。
武装
ウェポンベイは内側扉にAIM-120用ステーションが1つずつ、天井に汎用ステーションが1つずつある。翼下には対空ミサイル専用のパイロンを1つずつ、汎用パイロンを2つずつ装着可能。AIM-9サイドワインダーは現状機内搭載はできない。
機銃はGAU-22/A「イコライザー」25mmガトリング砲を採用している。これは「A-10の後継でもあるJSFではM61『バルカン』20mmガトリング砲では威力不足」ということで採用されたもので、AV-8Bなどで使用されているGAU-12「イコライザー」25mmガトリング砲をベースに5砲身から4砲身に減らすなどの改設計を行うことで軽量化したものである。
なお、これを固定装備しているのはF-35Aのみ。ただし、現状で発射精度の問題や発射時の機体への損傷が確認されており、発射が躊躇われる状態である。
残りのF-35BとF-35Cは機銃を固定整備せず、必要に応じて先述のイコライザーを内蔵したガンポッドを胴体下に搭載する。一応このガンポッドはステルス性を考慮した形状ではあるが、外装式なので装備するとステルス性は多少損なう。とはいえこちらについては設計自由度が大きいためか問題なく運用できている模様。
F-35も近年の戦闘機の例にもれず、機体よりも戦闘用ソフトウェアの構築に時間をとられるため、最低限の武装しか使用できない訓練用のブロック1、武装のレパートリーが増えある程度の戦闘力を持つブロック2、ハードウェアを一新し完全な戦闘力を持つブロック3の3段階に分けて開発が行われた。
ブロック2以前の機体はハードウェアが古いため多額の費用がかかるブロック3への改修は躊躇われているが、アメリカ空軍ではアグレッサー部隊の機体として再利用する計画である。
アメリカ海兵隊のF-35Bの初戦では、ステルス機として運用する際にはAIM-120×2とJDAM×2、これに加えて機外にガンポッドを装備した状態で運用された。
機外装備を行った場合ステルス性がいくらか損なわれてしまうが、米海兵隊では自衛能力を重視したようである。
対空脅威の殲滅後にはステルス性が不要なので、上記の装備に加えて、ステルスを捨ててミサイルや爆弾を機外に武装を満載した状態での運用もされており、この状態は「ビーストモード」と通称される。
左右の主翼に2箇所ずつ、計4か所のハードポイントが設けられており、ウェポンベイと合わせて約8トンまでの武装を搭載できる。
1~2日目にステルス性を利用して敵の防空網を破壊し、3日目からは制空権を獲得した上で攻撃をするため「戦争3日目の姿」とも称される。
機内兵装の搭載数を増やすため、汎用ステーションの改造やウエポンベイハッチ側への搭載も研究されており、現在開発中のブロック4(ブロック5の当初予定から繰り上げ)では内部にAIM-120を6発搭載可能になる予定である。
一方AIM-9を機内搭載する具体的な計画は今のところなく、パイロンやミサイルの改良でステルス性を改善する提案がされているのみである。
戦闘行動半径
戦闘行動半径とは、基地から離陸して任務達成後に同じ基地に帰還できる距離のことで、目安としては航続距離の1/3程度となる。
F-35Aは機内に燃料を8.3tも搭載可能であり(Bでは6.1t、Cでは9.0tとなっている)、このため増槽無しで戦闘行動半径1,300kmを達成している、
F-22は8.2t(推定値)の機内燃料のみでは1000ポンド爆弾二発搭載で1,092kmほど、F/A-18Eは機内燃料6.8tに加えて480ガロン増槽を3つ、1000ポンド爆弾を4発搭載してやっと1,230km、F-16Cは機内燃料3.2tに加え2つの600ガロン増槽と2発の2000ポンド爆弾を搭載してようやく1,296kmとなっており、この航続能力は特筆すべきものといえる。
(すべて高高度飛行で進出、高高度で戦闘、高高度で帰還するHi-Hi-Hi飛行)
兵装やミッション、飛行の仕方によってはこれ以下の距離になることや逆に伸びることもあり、F/A-18E/Fを例に挙げると、対艦ミッションで480ガロン増槽を3つ、AGM-84(対艦ミサイル)、AIM-120、AIM-9をそれぞれ2発ずつ積んだ場合は1,467km、制空ミッションでAIM-120を4発、AIM-9を2発、480ガロン増槽を3つ積んだ場合は1,475km(Hi-Hi-Hi飛行)、対地ミッションで480ガロンタンクを2つ、1000lb爆弾を4発、AIM-9を2発、FLIRを2つ搭載し、Hi-Lo-Hi飛行(高高度飛行で進出、低高度で戦闘、高高度で帰還する)した場合は722kmとなっている。
ちなみに、F-35B(機内燃料6.1t)で1000ポンド爆弾を2発携行し、Hi-Lo-Lo-Hi飛行した場合は876kmとなっている。
価格
当初はF-16などの第4世代機と同等の価格で提供できる比較的安価なステルス戦闘機とすることを目指していたものの、新技術の投入や開発の遅れにより、ほかの第5世代機の例にもれずコストは高騰、本機もお約束どおりに高級機の仲間入りを果たしてしまった。
メンテナンス性は最初から考慮されているので、維持費は並の第4世代機より安いとの触れ込みであったが、あれこれあって依然高い水準にとどまっている。それでも空海軍+海兵隊に3タイプ合計2,400機以上を逐次導入していく見込みであるのだから、やはりアメリカという国は大したものである。
とはいえ、調達コストの高さは米国でも問題視されており、政府の値下げ交渉などの甲斐あって、2019年に結ばれた契約分からようやく価格が8.8%引き下げられ、第4.5世代機並みになる見通しが立った。ただ、依然として維持費は高いままで、特にエンジンは想定よりも早くオーバーホールが必要なものが続出して整備費増大の要因のひとつになっているうえ、整備拠点の処理が追い付かず機体の稼働率にも影響を与えている。
開発史
始まりは米国四軍と英国海軍で共通して使用でき、なおかつ手ごろな価格で生産できる機体の開発を目指した「共通低価格軽量戦闘機計画(CALF)」である。この時点でハリアーファミリーとF-16というあまりに性質の異なる機体をまとめて代替することが求められていた。
このうえ、1994年の海軍機開発計画合流により「統合打撃戦闘機(JSF)」開発計画がスタートし、米英両国以外にイタリア、オランダ、ノルウェー、オーストラリア、カナダ、デンマーク、トルコが開発・生産に参加。かくしてJSFは、上述のとおり6機種を1機種で代替というとんでもないビッグプロジェクトに膨れ上がることになる。
X-32、X-35の開発競争が行われた結果、X-35がF-35として制式に採用されることとなったが、「国際開発」「多目的」と炎上フラグをこれでもかと積載したF-35は遅延に継ぐ遅延を重ね、コスト増加が相次ぐことになる。しかしながら、あまりに多くの国、そして目的が積み重なった結果、もはやプログラムはどれだけ破綻してようが中止できないところにまで進んでしまっていた。
プログラム費用は当初計画の2倍にまで膨れ上がり、「まったく別々に3機種を設計したほうが安く済んだのではないか」という試算すら出る始末。B型が無くなりかけたり、カナダが計画から脱退しようとしたこともあった。なにしろ、同一機種からまったく性能の異なる派生型を3つ生み出さなければならないわけで、どれかひとつにトラブルが生じると対応のためにほかの2つまで影響を受ける。どうにか解決したと思ったら今度は別の型でトラブルが生じて…という悪循環がなかなか止まらない。
お世辞にもスムーズとは言えない研究開発の果てに、海兵隊のF-35Bは2015年7月31日に、米空軍のF-35Aもその翌年である2016年8月2日に初期作戦能力を獲得し、海軍のF-35Cはやや遅れて2019年2月となった。これは”おおむね”実戦で使用可能というお墨付きを得たことを意味し、限定的ながらも任務を遂行できる状態である。開発飛行試験がすべて完了したと発表されたのは2018年4月13日のこと。
しかしながらその後もトラブルは続発、特にALISは誤警報が相次いでろくに使い物にならず、2022年までに別のシステムに置き換えられる予定である。
上述したエンジンの整備費増大も、端的に言えばエンジンの電力供給量が機体に追いついておらず無理に運転させていた反動(どの航空機もそうだが、機体の電力はエンジンが吸い込んだ空気の一部を抽出して賄うため、機体の電力消費が増えるとその分エンジンパワーが奪われてしまい、元の性能を維持しようとすれば必然的に無理な運転を強いる事になる)とでも言えるもので、なんでこうなったのかというとエンジン自体X-35時代のスペックに合わせて設計されており、実用化にあたって機体規模が拡大する事を想定していなかったかららしい。現在開発が進められているブロック4では遂に必要な電力供給量がエンジンの設計限界を超える事が判明し、エンジンの改良か新型エンジンの採用かの選択を迫られている。
ブロック4は他にもさまざまな問題から開発が遅延しており、十分な試験を待たず見切り発車的に一部機能を実装したがために新造機の納入が拒否される事態にまで発展。完全な実用化は2030年代になる見込みとなっている。
派生型
F-35A
通常離陸型。空軍での運用を前提とした形式。余計な付属物がないため9Gの負荷に耐えることが可能であり、もっとも機動性が高い。
派生型のなかで唯一GAU-22ガトリング砲を固定装備としている。
空中給油は本型のみフライングブーム方式が標準だが、要望があればプローブ&ドローグへの変更も可能らしい。
機銃の銃口、給油口ともに普段はカバーに覆われており、必要に応じて露出する。
F-35B
STOVL(短距離離陸・垂直着陸)型。胴体内にリフトファン、翼内にスラストノズルを持ち、排気ノズルは真下まで推力を向けられる偏向ノズルになっている。これらにより短距離での離陸と垂直着陸が可能で、強襲揚陸艦や軽空母での運用を想定している。
リフトファンのスペースの分ウェポンベイや燃料タンクが小さくなっており、航続距離が若干短くなり、2000ポンド爆弾を機内搭載することができない。荷重制限も7Gと派生型のなかで最低。
複雑な構造により多くのトラブルに見舞われたが、海兵隊機の老朽化が切迫していたこともあり、初期作戦能力の獲得はいちばん早かった。
F-35C
空母での発着艦に対応した型。着艦時の操作性を確保するために翼面積が大きくなっており、付随して搭載量、航続距離も増している。主翼外側は折り畳むことが可能。
着艦の衝撃に耐えるために着陸脚をはじめとした機体構造が強化されており、このため独自設計が三派生型の中でもっとも多い。独自設計の多さと老朽化問題に悩んでいない米海軍のやる気のなさにより、もっとも開発が難航している。
英国海軍が導入する予定があったがB型に切り替えられてしまい、現状米軍が唯一の購入者である。
F-35I
A型を基礎としたイスラエル仕様。独自の電子戦装備やミサイルに対応する改修を受けたほか、コンフォーマル・フューエル・タンク(翼下ではなく胴体に張り付ける増槽)の開発も予定されている。
また、イスラエルからは複座型の提案が行われているが、ステルス性を保ったまま複座化するのは困難であり実現するかどうかは不透明。
輸出
F-35は海外へ輸出可能な最初の第5世代ジェット戦闘機となり、上述したように最初から世界各国での採用を見込んだ多国籍プロジェクトとなった。
第4世代ジェット戦闘機のベストセラーであるF-16の後継として、開発・生産に参加したほとんどの国で導入が決定しているほか、近年はロシアの脅威などもあり、各国が相次いで次期新型戦闘機に本機を選定し、維持費の問題はあるものの、当初の目論見通り21世紀のベストセラー戦闘機になることは確実な情勢になっている。最終的な製造数は5,000機以上にのぼることも予測されている。
とはいえ、機体そのものが機密の塊なステルス機なので、機密漏洩の恐れがある国には輸出されないことがある。例えば、開発・生産参加国のひとつであったトルコは納入直前になってロシア製のS-400長距離ミサイル防衛システムを導入したことでF-35の販売を凍結され、事前に訓練を受けていたパイロットも国外退去となった上に多国間生産体制からも排除された。
これは、S-400が捉えたF-35のレーダー反射特性(要するにどうすればレーダーに映るか)がロシアに漏れることを懸念したためである。しかもS-400は中国も採用しているため、万が一流出すれば中国にも渡ってしまう可能性さえあった。トルコは「完全なオフラインで使うから平気平気(要約)」と主張したものの、受け入れられなかったのは言うまでもない。
また、米国と友好的ながらロシアや中国とも親しい関係にある国(インドやイスラエル以外の中東諸国、モロッコなど)にもF-35を欲しがる国はあるのだが、機密保護的な問題でそのような国へのF-35の販売は躊躇われている。特にトルコでの一件以来、ロシアや中国の影響がそれなりにあるイスラム圏への輸出には慎重になっているという(実際、UAEには輸出が一度決まったものの、いろいろあって宙に浮いてしまった)。
航空自衛隊での採用
航空自衛隊は退役するF-4の後継機として当機を正式に指名しており、三菱重工などの国内企業による部分的ライセンス生産により42機の調達が予定されている。
もともと日本は国際共同開発には参加しておらず、導入しようとしたとしても序列的には最後尾となるために配備に時間がかかるとして、F-Xの候補には挙がっていたもののそれほど有力な候補ではなかった。当時は開発が遅滞していた時期でもあり、F-4の退役まで間に合わないのではないかという見方も強かった。
当初、日本はF-XとしてF-22を有望し、ロッキード(当時)やボーイングも乗り気ではあったからというのもある。しかし、当時配備されたばかりの最新鋭ステルス戦闘機であるF-22の対外輸出に対して米連邦議会の了承を得ることはできなかったため、F-22はF-X候補から脱落してしまう。
そののち、実績のあるF/A-18系(F/A-18Cの発展型であるF/A-18E)やライセンス生産ができるタイフーン(トランシェ3B相当)、そして最新機種である本機が最終候補となり、最終的には導入序列を無視して優先的に導入させることや四割のライセンス生産を認めると言う優遇措置もあり、2011年12月にF-35がF-Xとして内定を得た。そののち、機体の最終組み立てと検査(FACO)の設置、F135エンジンの共同開発が決まった。航空自衛隊向けのF-35Aの単価は140億円であり、整備費用を含めれば190億円である。
ちなみに、当初のF-X有力候補であったF-22はコスト高が嵩じて生産停止に追い込まれてしまうという憂き目に遭っている。
その後の2018年にすでに導入が決定している上記A型42機に加え、A型63機、B型42機(計105機)を追加導入することとなった。これはF-4に続いて退役予定のF-15J初期型の後継、およびいずも型護衛艦を改修しての離島防衛力強化に加え各地の小規模空港での運用を見越しているといわれている。
F-35の戦術データリンクはMADLはF-2に搭載された日本独自規格のJDCS(F)はリンクできず、日本の場合はF35(MADL)、F-2(JDCS(F))、F15J(リンク16)が同一空域に飛行している場合、互いに情報共有ができない、できても限定的という問題がある。
その他
模擬戦での結果から機動性はF-16より劣るという評価がされることもあるが、これはあくまで開発途上でまだ機動性を充分に発揮できないときのものであり、実際の機動性は充分高く、近年の航空ショーではこれまでの戦闘機と同様のきびきびした機動を披露している。
一説には、F/A-18E/FのAOA(機首向け能力)と、F-16の高速時の持続的な旋回能力の両方を併せ持っているとされており、これが事実ならば非常に高い格闘戦能力を有することになる。
また、F-35はウェポンベイ内部に武装を満載し、さらに燃料を満タンに積んだ状態でも9G(B型は7G。C型は7.5G)旋回が可能という特性や、外部に武装を搭載しない状態では空気抵抗の増加が起こらないことから、武装状態での運動性では4世代~4.5世代の機種をさらに引き離す。
B型は、X-35時代は垂直離着陸時に開くリフトファンのカバーが、左右観音開きだったことで、正面から見るとあたかも猫耳のように見えていたりもしたが、現在では改良されたたため猫耳ではなく便座のふたのようになっていたりすることで、残念がるファンが一部にいたりもする。(もちろん理由のない変更ではなく、カバーがエアブレーキを兼ねるための形状変更)
形状がF-22に似通っていることや、F-22に比べて小型であることから、愛称の『ライトニングⅡ』が決まる前から、戦闘機ファンなどからはF-22の萌え愛称である『ラプたん』になぞらえて『こらぷたん(小ラプたん、子ラプたんなど表記はさまざま)』の愛称で呼ばれており、正式な愛称が決まった現在でも、『こらぷたん』と呼ばれることがある。
ただ、時々勘違いされるが決してF-22の劣化版というわけではない。上述したようにアビオニクスはF-22よりも進んだものを装備しているし、空対空戦闘能力こそF-22に一歩譲るものの空対地戦闘能力ではF-35の方が優れており、むしろマルチロール機としての器用さは空中戦一辺倒のF-22より上である。
映画『ダイハード4.0』では、主人公のマクレーンを支援するべく味方のFBI高官の手配でF-35Bが出撃するが、敵側の策略によって誤った情報をつかまされ、トラックで走るマクレーンの前に立ちはだかる。
STOVL機能をフルに使い、ハイウェイのジャンクションでマクレーンの乗る大型トラックをジャンクションごと機銃(ブリティッシュハリアーのような胴体下の2連装。ちなみに実際のF-35Bには固定機銃はなく、胴体下中央に単装のガンパックを搭載する)でぼろぼろにしたが、落下するジャンクションの破片を避ける為にトラックの下に回りこんだ際、トラック内から落下してきた瓦礫がリフトファンの吸入口に入って故障し墜落(パイロットは脱出に成功)という情けない最期を迎えた(小説版では機上に転がり落ちたマクレーンによりリフトファンに機材を放り込まれて墜落)。
安定性を失った機体の上からマクレーンが決死のダイブを決行するシーンは、本作を象徴するシーンである。
スーパークルーズ(長時間の超音速飛行)はできない、とされてきたが、先日ロッキード・マーティン社からウェポンベイ内に武装フル搭載の状態でマッハ1.2でのスーパークルーズがごく短時間ではあるが可能であることが発表された。
しかも、ミサイルや増槽を機外搭載するため性能が落ちやすい旧世代機とは違い、単発で双発機であるF/A-18やユーロファイター・タイフーンに匹敵する大推力を誇るF135エンジンの力をダイレクトに発揮できるのである。
(なんでいまさらとお思いだろうが、音速を超えるのに一苦労だったF-102デルタダガー、作ってみたら爆撃機だったF-111アードバーグのように、飛行機作りには「作ってみなきゃわからない」一面がある)
関連イラスト
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