概要
猛禽類を意味する「ラプター」の愛称を持つ、第5世代のステルス戦闘機。
Su-27などに対抗しうるF-15の後継機を開発する先進戦術戦闘機計画『ATF(Advanced Tactical Fighter)計画』において、ノースロップ・グラマン社のYF-23とのトライアルに勝利したロッキード・マーチン社のYF-22をベースに開発された機体。
開発コンセプトは「ソ連上空における航空優勢の確保」。空対空ミサイルをステルス性や電波妨害で無効化し、ごまかしの利かない対空砲は超高度飛行と高速巡行でぶっちぎり、奥深くへと侵入してミグやフランカーを叩き落して爆撃機の露払いを務める、というもの。
特徴は「先制発見」「先制攻撃」「先制撃墜」にあるとされ、とにかく相手より早くを大切にしている。
極めて高いステルス性、高性能レーダーの搭載、推力偏向ノズルによる高い運動性能、大推力エンジン搭載、スーパークルーズ(アフターバーナー不使用による超音速巡航)、高高度での高い旋回能力を持ち、もともと空戦能力が高かったF-15をしのぐ空戦能力を獲得した「ぼくのかんがえたさいきょうせんとうき」を地で行く機体。
弱点はその途方もない運用コスト(従来機に比べ機体価格も高いが維持費がべらぼうに高い)と、空対空性能に特化しているために汎用性に乏しい(一応誘導爆弾を搭載して爆撃もできるが)こと、設計に無駄がなさすぎて拡張性に乏しい(このためIRSTやパイロット用のHMDが未だに装備できていない)ことである。ステルス性を高めるべく特殊塗料を使っていたり、キャノピー部分に金を蒸着コーティングしているため、維持費がかかるのは仕方がないのだろう。
本来は750機が配備される予定だったものの、機体定数の削減やアメリカ連邦議会の反対で同盟国向けの輸出もできず、機体単価はどんどん上昇し1機あたり日本円にして約300億円になるとも言われている。あまりの価格高騰により、製造はわずか187機で打ち切られてしまった。
そのため、F-22の天敵は仮想敵国としているロシアのSu-57でも中国のJ-20でもなく、アメリカ合衆国連邦議会とさえいわれている。
ステルス性を維持するべくミサイルや爆弾などの兵器は機体内部のウェポンベイに格納されるが、ステルス性が必要とされない場合は翼下にパイロンを取り付け、増槽やミサイルを携行可能。
平時のフェリー飛行などではレーダーに映らないと逆に危ないので、レーダー用のリフレクタや増槽のようにレーダーに映りやすくする装備を搭載して飛行する。
登場当初の模擬空戦は連戦連勝。F-15、F-16、F/A-18などの米軍主力機をフルボッコにし、数少ない旧式機の勝利は、規則破りで空域に侵入しての不意打ち(EA-18G)や、山のようなハンデを積み重ねたうえでBVR(視界外戦闘)禁止のドッグファイト(T-38、EF2000)など。
仮想敵飛行隊の隊長ですら「対抗する術はない」と言うほど。
あまりに空戦に強過ぎるということで、ロッキード・マーティンは"Air Dominance Fighter"=航空支配戦闘機を自称した。
しかしながら、冷戦下、ソ連に対抗するため最強の制空戦闘機として開発されたはいいものの、出来上がったころには冷戦も終わってゲリラやテロリスト相手の非対称戦の時代となり、性能に見合う相手がいなくなってしまったという、ある意味悲しい運命を背負ってしまった戦闘機でもある。海軍仕様の空母搭載型ラプターも計画されていたようだが、諸事情あって中止、暫定爆撃プラットフォームとして考案されていた戦闘爆撃機型のFB-22も現在は実質開発中止状態となっており、そもそもF-22自体もオバマ政権で生産停止を余儀なくされるなど、扱いは結構不憫。
長らく実戦を経験することはなかったものの、2014年9月、シリアでようやく最初の実戦に投入された。しかし、その任務はF-22の花形である制空戦闘ではなく、誘導爆弾による対地攻撃だった。
そして2023年2月に初の対空戦闘で撃墜を記録するが、それも航空機ではなく偵察用気球だった。
pixivにおいて
pixiv上では、そんなF-22の強さを印象づけることになったゲームソフト、『エースコンバット04』に関連したイラストを多く見ることができる。
同じくグリフィス1やアンタレス、ビショップもこの機体でパッケージを飾るが、pixivであまり見られないのは単機で一個飛行隊に匹敵する作戦遂行能力を持つといったインパクトがないからだろうか。
日本では
航空自衛隊の次期主力戦闘機として最大の候補であったが、先述のアメリカ議会の反対により計画はボツになってしまった。(のちに次期主力戦闘機はF-35に決定)
現在では、普天間基地・嘉手納基地など日本国内の米軍基地にときどき姿を見せることがある。
創作物では
変型までこなすほか、らぷたんという名前で擬人化もされている。
初代『エースコンバット』の白地に赤青のフェニックス塗装の機体は原型機であるYF-22である。また、『エースコンバット3 エレクトロスフィア』では本機をベースにしたF-22C ラプターIIという架空機が登場し、ゼネラルリソースのエースパイロットであるアビサル・ディジョンの専用機まで存在する。
実家であるアメリカでは、ハリウッド映画でアル中社長と空中衝突したり、例の愚か者の子孫にスキャンされたり、未来の世界で本機を差し置いてA-10が生き残ってたり、KAIJUに握り潰される出オチ担当になったり。
関連イラスト
関連動画
USA Military Channel
世界最強のステルス戦闘機”F-22ラプター”プロモーションビデオ(2018年1月)
【空の支配者F-22ラプター】最強ステルス戦闘機の圧倒的な能力&驚異の高機動フライト(2019年5月)
関連タグ
スピード・オブ・ヒート - ジュリー・アン・ジルー作曲の吹奏楽曲。F-22がモチーフとなっている。
P-22ハルピュイア - ゲーム『ラストオリジン』に登場するバイオロイド。実質的なF-22の擬人化。