概要
アメリカ合衆国海軍が運用している電子戦機。F/A-18Fを改良したものである。
同軍の調達予定機数は90機。
アメリカ空軍は現在電子妨害機を保有していないため、海軍に士官を派遣して本機を借用している。
海軍では電子戦機としてEA-6Bを使用していたが、老朽化が顕著となり、また主力戦闘攻撃機となったF/A-18ファミリーとの速度性能の差も大きかったため、F/A-18Fを母体に新たな電子戦機を設計した。
強力な電子妨害装置により、使いようによっては最新鋭のF-22、F-35に対しても優位に立てる。
しかしながら乗員がEA-6Bの4名(パイロット+電子戦要員×3)に対し2名(パイロット+電子戦要員)に減っていることによるオーバーワークが問題になっている。
また電子妨害装置とAESAレーダーの干渉も発生しており、使用する電子線ポッドの信頼性も合わせ、改善点は多い。
名称
型式番号はEA-18G。
MDS命名法による意味は以下の通り。
『E』は任務変更記号で『電子戦』を表す。
『A』は基本任務記号で『攻撃』を表す。
これは原形機のF/A-18Fでは『F/A』つまり『戦闘および攻撃』となっており、EA-18Gでは戦闘任務が外されていることがわかる。
『18』は設計番号。
『G』はシリーズ分類で、F/A-18Fからの続きとなっている。
公式愛称は『グラウラー』(唸る者)であるが、無線においてはEA-6Bの『プラウラー』との聞き間違いを避けるために『グリズリー』が使用される。
機体
EA-6Bプラウラーの後継として、ボーイングF/A-18Fスーパーホーネットをベースに開発された。外形はほとんどそのままだが、主翼形状に若干の変更点がある。
ハードポイントは11か所あったが、主翼端の1番と11番にAN/ALQ-218戦術妨害受信機、翼中央の3番と9番にはAN/ALQ-99戦術妨害ポッドの高バンド用、胴体中心の6番には同低バンド用が搭載されるため、兵装や増槽を装備できるハードポイントは6箇所である。
F/A-18E/Fで搭載されていたM61A1機関砲は電子戦用装備に置き換えられている為、固定兵装はない。
しかしながらF/A-18Fとの共通点は多く、高い対地攻撃能力と自己防衛能力を備えている。
電子装備以外の兵装は任務によって変動するが、AGM-88対レーダーミサイル×2、自衛用のAIM-120空対空ミサイル×2、480ガロン増槽×2という装備が多い。
コックピットは基本的にF/A-18Fと同様だが、後席には電子妨害士官(ECMO)が搭乗する。