アイアンマン
あいあんまん
原義は英語で「鉄人」を意味する"ironman"のカナ表記。
「鉄のように頑強な身体や意思を持つ人物」、またはSFなどに出てくる鉄製のロボットを指す。
- MARVELコミックの登場キャラクター、および彼を主人公とする作品のタイトル。初出は1963年。本項で解説
- 主役ヒーローについては「アイアンマン(キャラクター)」を、同名の実写映画は「アイアンマン(映画)」を、マッドハウス製作のアニメは「日本アニメ版アイアンマン」を、それぞれ参照。
- イギリスのロックバンド「ブラック・サバス」の楽曲。1970年発売のアルバムに収録。邦題は厳密には「アイアン・マン」。MARVELコミックとは特に関係なかったが、実写版で使用されるようになった。
MARVELコミックのキャラクター、および彼が主人公のコミック・アニメ・映画のタイトル。
金属製のパワードスーツを身に着けたスーパーヒーロー。
初登場は1963年3月の『Tales of Suspense #39』。詳しくは後述。
※「演」と「吹替」はMCUでの演者と日本語吹き替え版声優(劇場版・ソフト版 / 日曜洋画劇場版)を指す。
- トニー・スターク(アンソニー・エドワード・スターク)
演:ロバート・ダウニー・Jr.、吹替:藤原啓治 / 池田秀一
世界的な軍事企業「スターク・エンタープライズ」(MCUでは「スターク・インダストリー」。以下どちらも「スターク社」で統一)の社長。
協力者
- ペッパー・ポッツ(ヴァージニア・”ペッパー”・ポッツ)
トニーの秘書。赤毛と顔に残るそばかすがトレードマークで、それを胡椒に見立て、トニーが「ペッパー・ポッツ(コショウ瓶)」と言うあだ名をつけた。
映画(MCU)版ではやり手の美人秘書として描かれており、『2』でトニーの跡を継いで社長となる。
- ハッピー・ホーガン(ハロルド・”ハッピー”・ホーガン)
トニーの運転手係兼ボディガード。元々はボクサーで、ある事故現場に遭遇した際にトニーを助けた縁から、彼との交友が始まった。
ニックネームの由来は「全然ハッピーに見えないから」。後にペッパーと結婚するも、現在は離婚。
MCU版では無印・『2』の監督が自ら演じ、以降も続投している。
- ジェームズ・ルパート・ローズ / ウォーマシン
演:テレンス・ハワード → ドン・チードル、吹替:高木渉 → 目黒光祐 / 山寺宏一
アフリカ系アメリカ人の合衆国軍人。トニーとは軽口で言い合えるような親友であり、かつては海軍に所属していた。
MCU版では、名前がジェームズ・“ローディ”・ローズに、所属組織及び階級が空軍中佐(『3』で大佐に昇進)になっている。
また、役者が無印と、ウォーマシンとして活動を始める『2』以降で異なる。
(『2』で彼が最初に登場する際、トニーが言うセリフはそれを踏まえたものとなっている)
≪青年期≫演:ドミニク・クーパー、吹替:野島裕史
≪老年期≫演:ジョン・スラッテリー、吹替:仲野裕
トニーの父で、スターク社の創設者。
コミック・MCUともにアイアンマンが活動し始めた頃には故人。
演:ジェームズ・ダーシー、吹替:井上倫宏
アベンジャーズの世話係を務める、元スターク家の執事。
MCU版ではハワードに仕えているが、本編には登場しない。
MCUオリジナル。トニーが開発した人工知能。
無印からトニーのアシストをこなしていたが、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』にて意外な変化を遂げることになる。
声:ケリー・コンドン、吹替:安井絵里
MCUオリジナル。
『エイジ・オブ・ウルトロン』終盤以降、J.A.R.V.I.S.に代わってトニーをサポートする。
- リリ・ウィリアムズ / アイアンハート
演:ドミニク・ソーン、吹替:早見沙織
2016年に初登場した2代目。
アイアンマンをモデルにアーマーを自作してヒーロー活動を開始し、脱獄囚を捕まえた事件をきっかけにトニーと知り合い、師弟関係になる。第二次シビル・ウォー以降、トニーからプレゼントされた、彼をモデルにしたAIをアーマーに組み込んだ。
MCUには2022年の『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』で早くも実写デビュー。
ヴィラン
スターク社の乗っ取りを企む事業家。
MCUではスターク社の副社長で、無印のヴィラン。
- ジャスティン・ハマー
ヴィランに兵器を与えている会社の社長。
超音波を使って、アイアンマンのアーマーを誤作動させたこともある。
MCUでは『2』で登場。
スターク社のライバル企業である「ハマー・インダストリーズ」の社長であり、イワン・ヴァンコ / ウィップラッシュと結託してトニーを追い落とそうと目論む。
アイアンマンの模倣スーツの開発は上手く言っていなかったが、マーク2をベースにウォーマシンを開発した時にデータを盗用し、イワンにより無人機である「ドローン」に改修される。
ちなみに、コミックでは老練な策略家であったのに対し、こちらでは自信満々に言ったギャグが受けなかったり、密かに引き取ったイワンに舐められたりするといった、少々情けない面が目立つようになってしまっている。
特殊なムチの使い手。
コミックでは複数の人物が名乗っており、このうち三代目のアントン・ヴァンコは自作したアーマー名から「クリムゾン・ダイナモ」としても知られる。
MCUでは『2』のヴィラン「イワン・ヴァンコ」として登場。
父のアントンがハワードの共同研究者であったが、とある事情でスターク家を逆恨みし、トニーに襲い掛かった。
中国などを支配する犯罪組織の首領で、アイアンマンの宿敵。
古代の宇宙船から発見した10個の指輪「テン・リングス」の力を使って戦う。
MCUではアフガニスタンに隠れ家を持つテロ組織「テン・リングス」の首領で、『3』にヴィランとして登場。
演:ガイ・ピアース、吹替:小原雅人(劇場版)
フューチャーファーム・コーポレーションに所属する科学者で、自社の製作したエクストリミスという薬品をテロリストたちに横流しし、アイアンマンと戦わせることによって、薬の効力を示し、軍から資金を得ようと目論んでいた。
MCUでは『3』に登場。「A.I.M」というシンクタンクの代表で、コミック同様、エクストリミスの研究を行っている。
表面上は爽やかな優男を装ってはいるが、実は異常なまでの執念深さと狡猾さを併せ持った危険人物であり、アメリカ本土を巻き込む大規模な陰謀を画策していた。
※他にも、多数のヴィランが存在する。
MCU
2008年に公開されたシリーズ第1作。
全体の1作目でもあり、批評・興行収入の両方で高い成功を収め、現在までMCUが続くきっかけとなった。
2010年公開。全体では3作目。
残念ながら前作ほどの評価は得られなかったものの、ウォーマシンや『アベンジャーズ』などにも登場するブラック・ウィドウが初登場を果たすなど、重要な要素・人物が多い。
この2作は「フェイズ1」として、『インクレディブル・ハルク』、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』、『マイティ・ソー』と共に、『アベンジャーズ』の前日譚という位置づけになっている。
2013年に公開されたシリーズ完結編。全体では7作目。
監督は前2作のジョン・ファヴローからシェーン・ブラックに交代。
かつては傲慢な性格だったトニーが残した因縁による危機・前2作の黒幕である「テン・リングス」との対決・トニー自身に残っている問題、といったように、シリーズの様々な問題に対して決着をつける内容となっている。
『1』の冒頭と比べれば、トニーがいかに精神的成長を果たしたのか実感するだろう。
ちなみに、タイトルにナンバリング(番号)がついたシリーズは『アイアンマン』だけである(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』もついているが、邦題では変更されている)。
また、日本ではこの実写映画により知名度が上がったこともあって、pixivでもMCU版仕様のアイアンマンが描かれていることが多い。
アニメ
- 1966年版
日本語版CV:不明(日テレ版)⇒玄田哲章(東京12ch版)⇒不明(CS放送版)
タイトルは『The Marvel Super Heroes』。
マーベルのヒーローたちが日替わりで登場するもので、水曜日の担当だった。
詳しくは放送当時の邦題「まんがスーパー大集合」を参照。
アメリカで初の単独アニメシリーズが放送され、日本でも、1996年にNHK衛星放送で放送された。全26話。
BS放送版の主題歌はプリティキャストが歌う「永遠が愛に変わるとき」。
2022年1月には『アベンジャーズ・アッセンブル』の声優を起用した新録版が、ディズニープラスで配信された。翻訳と演出は異なるものの、吹替製作は旧吹き替えから引き続いてHALF・HP・STUDIOが担当。
全12話がアニマックスにて放送された。同じマッドハウス制作のアニメ『ウルヴァリン』『X-MEN』『ブレイド』と世界観を共有しており、キャラクターが相互にゲスト出演している。
トニーとペッパーの声はMCUと同じく藤原啓治、岡寛恵が担当。
掲載誌「テイルズ・オブ・サスペンス」に関して
アイアンマンの初出は、1963年に発刊されたSFコミック誌「テイルズ・オブ・サスペンス」#39である。
マーベルコミックが「アトラス」と呼ばれていた1958年。
SFコミック誌として「テイルズ・オブ・サスペンス(以後TOS)」#1が発売された。
元よりTOSは、「特に主人公を置かないコミック誌」という体裁であり、様々な内容の作品を掲載していた。それも短編の一話完結のものも多く、継続して連載されるものは少なかった(今で言えば、毎回複数の読み切り作を多く掲載した月刊漫画誌のようなもの)。
この体裁のコミックは、当時のアトラス=マーベルでも多く発刊しており、モンスターや怪人などが活躍する作品を集めた、「奇譚集」といった装いだった。
ちなみに、スパイダーマンの初登場した「アメイジング・ファンタジー」も、同様の体裁であった。
のちに、1961年に「ファンタスティックフォー」が単独タイトルで創刊。アトラスはマーベルコミックと改名し、以後に発行するコミックを、ヒーローものメインとし始めた。
「アメイジング・ファンタジー」誌の他、
「ジャーニー・イントゥー・ミステリー(「マイティ・ソー」の初登場誌)」、
「テイルズ・トゥー・アストニッシュ(「アントマン」の初登場誌)」
など、SFコミック誌はヒーローものコミック誌に内容を切り替えるようになっていった。TOSもその例にもれず、'63年に新ヒーローを登場させるように。それが「アイアンマン」である。
アイアンマンはTOS誌で人気を博し、新たなるヒーローとして定着。
そして、1964年11月に発刊したTOS #59から「キャプテンアメリカ」を同時掲載・連載するように。TOSは、二大ヒーローを掲載した誌面となった。
※なお、キャプテンアメリカはこの頃、1964年3月に発刊された「アベンジャーズ」#4にて復活を果たしている。
二大ヒーローの活躍が同時に読めるTOSは、人気を得たものの、次第に作品人気に差が付いてしまう。
1968年4月発売の#100より、TOSのタイトルは「キャプテンアメリカ」に変更し、キャップの個人誌になってしまったのだ。
追い出される形になったアイアンマンは、1969年5月に創刊した個人誌「アイアンマン」に活躍の場を移し、現在に至っている。
つまりキャップとアイアンマンは、掲載誌を巡ってのライバル同士でもあったのだ。
後に、キャプテンアメリカとアイアンマンがクロスオーバーするグラフィック・ノベルが発刊された際。その正式タイトルとして「テイルズ・オブ・サスペンス VOL.2」の名称が付加されている。
アマルガム
DCコミックとマーベルのキャラを合体させる大規模クロスオーバー「アマルガム」では「グリーンランタン」と合体、「アイアンランタン」として登場した。
トニー・スタークは、発明家でプレイボーイの富豪。しかしその正体は、宇宙の守護者であるアイアンランタン……と、当時の2人を混ぜており、特にデザインは双方の特徴を見事に落とし込んだものになっている。
コメント
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