概要
日本のロボットアニメのような作品を実写で制作するというコンセプトで制作された映画。
デイヴィット監修の天然光の元アレンストップモーションやゴー・モーションを多用して巨大ロボット同士の戦闘をリアルに再現している。
制作会社の倒産などで制作が難航し、公開が危ぶまれたが何とか無事に公開することが出来た。日本ではウエストケープコーポレーション配給で公開され、1990年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭に出品された。吹替え版は無い。
あらすじ
核戦争によって人類の大半は滅亡した。
生き残った人類は「共和国(コモン・マーケット)」と「連邦(コンフェデレーション)」の二つに分かれ、激しい対立を続けていた。だが戦争は禁止されており、領土問題等の問題は全て巨大ロボット同士を使った戦いによって解決されていた。そしてそれらのロボットを操縦するパイロットは「ジョックス」と呼ばれ最高の栄誉と地位を与えられていた。
アラスカ領有権をかけて戦う共和国側のジョックス「アキレス」は、対戦相手の放った制御不能になった禁止技ロケットパンチから観客を守ろうとしたが機体が観客席に激突し、多くの死傷者を出して試合は中断してしまった。
傷心のアキレスは再試合を辞退して一旦故郷に戻ったが、思いを寄せていた女性ジョックスの「アシーナ」が自分の代役として出場することになると聞いて、観客を入れない事を条件にして再試合を受け入れる。
不満を感じたアシーナはアキレスになりすまして試合に出ようとする一方で、マツモト博士はロボットの情報を敵国に流しているスパイの正体に気付いていた・・・
メカニック
日系人マツモト博士が開発し、主人公アキレスが搭乗する共和国の主役ロボ。操縦はジンキやモビルファイター、ジャンボーグAなどのように、特殊パイロットスーツを着用した操縦者が、操縦席にて直立状態のまま、全身を動かして操縦桿を操る(いわゆる、マスタースレイブ方式)。
ロケット弾、レーザー砲、ワイヤーカッター、対レーザー反射ミラー等の武器を装備。
再試合では秘密兵器、マグネシウム光線(閃光目潰し)が装備された。
飛行形態と戦車形態へ変形する事も出来る。
コクピットの操作パネルには目印として、マツモト博士手製の折り紙作品が貼り付けてある(折り鶴の隣にあるスイッチで飛行形態に変形、等)。
紅白のカラーリングが実に日本風!
冒頭では、過去の戦いとしてマツモト13号が登場。ボバレフスキーにより破壊され、背骨を折られ動けないジョックスごと踏みつぶされていた。また、劇中でも過去ののマツモトシリーズが、コンピューターの画面上にて登場する。
ライバルのアレキサンダーが搭乗する連邦の敵ロボ。カラーリングは黒。スパイを通じて共和国側から情報を入手していた。ロケット弾、赤色レーザー砲、ロケットパンチ、股間から展開する巨大チェーンソー、等の武器を装備している。
ウォーカーマシンの様な外観で、再試合では四脚形態にパワーアップしてきた。特に変形せず飛行出来る。
冒頭では、前の戦いに勝利したボバレフスキーが登場。この時の機体には、片方の手首がトゲ付き鉄球と換装されていた。
設定
- 「共和国(コモン・マーケット)」
アメリカなどの西側諸国が母体と思われる、本作の二大勢力の片方。日系人もこちらに含まれているようである。
マツモト博士の製造する巨大ロボを試合に用いているが、ここ最近はスパイによる情報漏洩・技術盗難により、負けが込んでいる。
- 「連邦(コンフェデレーション)」
ロシアなど東側諸国が母体と思しき、二大勢力の片方。スパイによって奪い取った技術で、陣営の巨大ロボ、ボバレフスキーを強化し、勝利し続けている。
- ロボット同士の試合
審判が、フライングプラットフォームで試合内容を確認しつつ行われる。
場所は、巨大な試合場(死の谷とも、劇中では言われている)。
互いの陣地にロボット用のドックが存在し、ロボットにジョックスが乗り込み、ドックが地面にせり上がり、試合場で対峙。試合開始となる。
最初は遠距離で、この距離では互いにミサイルやレーザー、機関砲のような実体弾など、飛び道具を用いての攻撃が許可される。
やがて至近距離まで接近すると、その時点で飛び道具の使用は禁じられ、格闘戦となる。
その際には、ジョックスたち自身の接近戦や格闘戦の技術力が勝敗のカギとなる。また、この時点で飛び道具を使用すると、反則となる。
周囲には観客席が存在し、観客たちがロボット同士の試合を観戦することができる。この観客席にはバリアが備え付けられており、飛んできたミサイルやレーザーなどは弾き返す事ができ、観客の安全を守っている。
ただし、ボバレフスキーのロケットパンチや、ロボットそのものが倒れ込む事までは防ぎきれない。
キャスト
アキレス-ゲイリー・グレアム
アシーナ-アン=マリー・ジョンソン
アレキサンダー-ポール・コスロ
コンウェイ-マイケル・オールドウェッジ
ジェイムスン-ロバート・サンプソン
マツモト博士-ダニー・カメコナ
ラプラス教授-ヒラリー・メイソン
スタッフ
監督・原案-スチュアート・ゴードン
制作総指揮-チャールズ・バンド
脚本-ジョー・ホールドマン
撮影-マック・アールバーグ
特撮-デヴィット・アレン
編集-ロリ・ボール/テッド・ニコラウ
ロボットデザイン-ロン・コップ
プロダクションデザイン-ジョバンニ・ナタルッチ
音楽-フレデリック・タルゴーン
特殊効果スーパーバイザー-デイブ・アレン
特殊効果-ユルゲン・ヘイマン
アニマトロニクス-マークラパポート
制作-アルバート・バンド
配給-ウェストケープ/バンダイ
余談
過去に日本では、特撮雑誌「宇宙船」、「B-club」などで特集が組まれた事もあった。
資料集など書籍関係は一切出ていないが、これら雑誌記事で本作の紹介が行われていた。
雑誌記事の一部の記載では、ボバレフスキーのロケットパンチは「メタルグリップ」、股間に内蔵した大型チェーンソーは「スクラッシャー」といった名称が付けられていた。
関連動画
MMDによる二次創作。
関連項目
機動武闘伝Gガンダム:「戦争が禁止された未来世界で、国家間の対立をロボット同士の試合で決める」という設定にヒントを受けた可能性がある。
機神大戦ギガンティック・フォーミュラ:Gガンダム同様に、国家間の対立を、国の代表たる巨大ロボット同士の試合で決定する、という内容が共通。
地球最終戦争ロボット・ウォーズ:本作のスタッフによる、実写巨大ロボ映画。続編として公開されたという記載も散見されるが、無関係の映画である。巨大ロボは劇中で登場するが、ストーリーも内容も世界観も、完全に異なる。
ジャンクウォーズ2035:チャールズ・バンドが監督した、巨大ロボが登場する作品。こちらも、ヨーロッパで「ロボジョックスの二作目」という触れ込みで公開されたらしいが、実際は全くの無関係。ストーリー、内容、世界観など、完全に別物である。登場する巨大ロボの出番は終盤のほんの数分であり、しかも起動してすぐに自壊し動けなくなる。戦闘シーンすらない。
なお、この映画の原題「Crash and Burn」は、「ロボジョックス」劇中にて。アキレスやコモンマーケットのロボット整備スタッフたちが、サムズアップとともに用いる合言葉としても登場する(字幕での翻訳は「粉砕せよ!」)。
バトルフィールド(映画):同じく、本作のスチュアート・ゴードンがキャラ造形を行った、実写巨大ロボ映画。これも世界観が異なる無関係の作品。
元々、「ロボジョックス」劇中でマツモト14号がフライトモードで宇宙に赴いたのは、ゴードン監督が「続編では異星人と宇宙空間でロボットバトルする『マクロス』みたいなのをやりかった」という伏線だった(DVDコメンタリーより)。その流れで作られたのが、こちらの作品である。
パシフィック・リム:実写巨大ロボ映画繋がり。両作品とも、主役ロボが起動する際「拳を掌に打ち付ける」という動作を行っている。
ガンヘッド:同じく実写巨大ロボ映画繋がり。日本で本作がビデオリリースしたのと同時期に、こちらも劇場公開された。