人類よ、立ち上がれ。この巨兵と共に!
人類最後の望みは、この巨兵。
概要
巨大怪獣 VS 人間が搭乗する巨大ロボット
アニメや特撮でお馴染みのシチュエーションをハリウッドが本気で映画化。
3D/2D同時公開、制作はレジェンダリー・ピクチャーズ。
続編は『パシフィック・リム:アップライジング』
監督は日本のサブカルチャーに幼少期から親しんできたというギレルモ・デル・トロ。エンドクレジットでは特撮映画の父と呼ばれるレイ・ハリーハウゼンと昭和の東宝怪獣映画を監督した本多猪四郎への敬意が述べられている。
怪獣映画へのオマージュは勿論、多数のロボットものの影響も見られるが、今回もっとも参考にしたロボットアニメは『機動警察パトレイバー』とのことで、リアルな描写も数多い。
たとえば「怪獣はなぜ海からやってくるのか」、「怪獣はなぜ大都会/人間を襲うのか」、「怪獣はなぜ様々な種類がいるのか」、「怪獣はなぜ定期的に現れるのか」、「なぜ巨大ロボットで戦わなければならないのか」など、こういったジャンルのお約束全てに理由付けがなされている。
タイトルのPacific Rimとは、環太平洋地域、すなわち太平洋の周辺に位置する国や地域を意味する。物語の主な舞台となっているのは香港。当初は大阪の予定だったが、地震の影響で変更されたとのこと。
設定に合わせてキャストも国際色豊かであり、日本からは菊地凛子と芦田愛菜がヒロインのマコ・モリ(森マコ)を演じる。また、日本語の吹き替え版では日本のロボットアニメで主要人物を演じた声優が数多く起用されており、ファンを思わずニヤリとさせるキャスティングとなっている。
こういったこだわりに反して、北米では子供の心をいまいち掴めず、週刊興行収入ランキングでは初登場3位、最終的な興行収入も1億ドルに届かないなど、2億ドルという制作費を考えると悲惨な結果となったが、クリムゾン・タイフーンなどが観客の心を掴んだ中国でメガヒットを飛ばし、無事に制作費回収に成功。
間もなく前述の続編を制作することがめでたく決定し、それと同時にアニメ化も決定している。
あらすじ
2013年、人類の天敵が太平洋海底の裂け目から現れた。《怪獣(KAIJU)》と呼ばれるその巨大生物たちは圧倒的な力で世界中の大都市を襲撃する。
人類はこれまでの確執を忘れ、一丸となってPPDC(環太平洋防衛軍)を結成し、二人乗りの巨大ロボット《イェーガー》を開発して戦いを挑んだ。
初めこそ人類が優位に立ったかと思われたが、ジプシー・デンジャーのパイロットだったヤンシー・ベケットが殉職したあたりから旗色が悪くなる。
怪獣は戦いを重ねるたびに強大化していき、また次の怪獣が出現するまでの間隔も短くなっていく。人類は疲弊し、2025年にはイェーガーもわずか4体を残すばかりとなった。
各国首脳はイェーガー計画の凍結を決定。《命の壁》という巨大防壁の建造を始めたが焼け石に水だった。PPDC司令官のスタッカー・ペントコストは、残された猶予期間に怪獣と決着をつけるべく、最終作戦を始動するが、それにはジプシー・デンジャーの再起動が必要だった。
かつてのヤンシーの相方だった弟のローリー・ベケットは、目の前で兄を失ったトラウマから一線を退いていたが、ペントコストから軍に復帰するよう命じられる。
新たなパートナーは訓練生のマコ・モリ。彼女もまた怪獣に両親を殺され、心に傷を抱えていた。
二人のパイロットは少しずつ心を通わせ、残されたイェーガーと共に人類の命運を懸けた決戦に挑む。
登場人物・キャスト
主要キャラクター
ローリー・ベケット 演:チャーリー・ハナム - 吹き替え:杉田智和
本作の主人公。
イェーガーのパイロットだったが、過去の戦いでタッグを組んでいた兄ヤンシーを亡くし、共有された死の恐怖と苦痛、喪失感から立ち直れず除隊。
その後《命の壁》工事現場で労働者として働いていたところを、ペントコストの要請で軍に復帰。かつて乗っていたイェーガー、「ジプシー・デンジャー」と再起する。
マコ・モリ (森マコ) 演:菊地凛子 / 芦田愛菜(幼少期) - 吹き替え:林原めぐみ
元々はジプシー・デンジャー復活プロジェクトを主導する技術者だったが、パイロットになってローリーとタッグを組む。
幼少のころ怪獣に両親を殺されるも「コヨーテ・タンゴ」に救われ、それからはペントコストを先生と慕う。
スタッカー・ペントコスト 演:イドリス・エルバ - 吹き替え:玄田哲章
PPDC司令官。第一世代機「コヨーテ・タンゴ」に乗って長きに渡って第一線で戦ってきたベテラン。
落ちぶれたローリーをもう一度スカウトする。幼い頃のマコを怪獣から救った恩人でもある。
イェーガーパイロット
ハーク・ハンセン 演:マックス・マルティーニ - 吹き替え:池田秀一
「ストライカー・エウレカ」に親子で搭乗するオーストラリア人のパイロット。
怪獣戦争に初期から参加しており、同期のペントコストが指揮官になった後も前線で戦い続け、今ではパイロットとしてのキャリアは最長を誇るが、年齢による体力の限界も感じており、息子チャックの行く末を心配している。
チャック・ハンセン 演:ロバート・カジンスキー - 吹き替え:浪川大輔
「ストライカー・エウレカ」に搭乗するオーストラリア人のパイロット。
父のハークとともにイェーガーを駆る実力者。エリート意識の塊で競争心が強く、彼にとっては父ですら競争相手でしかない。ペントコスト曰く「父親とも張り合おうとする独りよがりのクズ」。一度は軍を退いたローリーや新米パイロットのマコに対しても嫌悪感や蔑視感情を露わにするが、それは自他ともに厳しい性格の表れでもある。
サーシャ・カイダノフスキー演:ロバート・マイエ - 吹き替え:木村雅史
アレクシス・カイダノフスキー演:ヘザー・ドークセン - 吹き替え:愛河里花子
「チェルノ・アルファ」に夫婦で搭乗するロシア人のパイロット。
メインの指示は妻が出す。6年間も第一世代機で怪獣を撃退し続けてきた猛者。
この夫妻は出典により名前が交互するが、ここではエンドロールでの記述を元に記載している。
タン兄弟(チャン&ジン&フー) 演:ルー兄弟(チャールズ&ランス&マーク) - 吹き替え:三宅貴大
「クリムゾン・タイフーン」に兄弟で搭乗する中国人のパイロット。一卵性の三つ子(演じる俳優も本物の三つ子)。
優れた格闘技術とコンビネーションを誇る中国の英雄であり、戦闘スキルもさることながら、イェーガーに関しても造詣が深い。
その他
ニュートン・ガイズラー 演:チャーリー・デイ - 吹き替え:古谷徹
怪獣の生態を専門に研究する学者。全身に怪獣のタトゥーを彫るほどの怪獣オタク。
ハーマン・ゴットリーブ 演:バーン・ゴーマン - 吹き替え:三ツ矢雄二
天才的な数学学者。怪獣の出現頻度を予測する。偏屈な性格で、ニュートンとは犬猿の仲。
テンドー・チョイ 演:クリフトン・コリンズ・Jr - 吹き替え:千葉繁
PPDCオペレーター。司令室からイェーガーをサポートする。ローリーとは旧知の中。パチューコ(1940年代頃にメキシコ系の間で流行ったファッションスタイル)を愛する洒落者。
ハンニバル・チャウ 演:ロン・パールマン - 吹き替え:ケンドーコバヤシ
怪獣の臓器をブラックマーケットで売りさばく闇商人で、PPDCに資金援助をしている。
ヤンシー・ベケット 演:ディエゴ・クラテンホフ - 吹き替え:土田大
ローリーの兄。ローリーと共に「ジプシー・デンジャー」に乗っていたが、5年前の戦いで戦死。
設定
イェーガー
怪獣の脅威を打ち破るため、人類の英知を結集して作られた、80mを超える巨大ロボット(当初は100~120mを超える予定だったので、数値が下がると知ったファンは落胆したらしい)。名前はドイツ語で「狩人」の意。ある科学者が、ロボットと怪獣のおもちゃで遊んでいる息子の姿を見て発想した。
PPDCのシャッター・ドームで管理されている。
イェーガーとパイロットの体を連結し、パイロットが全身を使って操縦する。一人で操縦するには脳神経に強い負担がかかり、パイロットを死に至らしめる場合もあるため、現存するイェーガーは二人以上の人間が《ドリフト》という神経接続を行い、右脳と左脳を分担する仕様となっているが、過去の記憶からリアルタイムの感情まで共有しなければならないため、パイロットは親密な家族同士でタッグを組むのが望ましいとされている。
後述される怪獣ブルーの影響を最低限に防ぐため、内傷を与える格闘装備や、熱で傷口を焼き塞ぐプラズマ兵器や凍らせる冷凍兵器、貫通して痺れさす電撃兵器などを中心に装備しているが、装備は音声認識なので技の名前を叫ぶ必要がある。
- 現存機
最盛期には30機を数えたが、本編となる2025年で稼動しているのは4機のみ。
エース機はストライカー・エウレカ。ジプシー・デンジャーは2020年に大破した後、5年ぶりに蘇った。
名称 | 等級 | 国籍 |
---|---|---|
ジプシー・デンジャー | 第三世代 | アメリカ合衆国 |
ストライカー・エウレカ | 第五世代 | オーストラリア |
クリムゾン・タイフーン | 第四世代 | 中国 |
チェルノ・アルファ | 第一世代 | ロシア |
- 旧機
過去のシーンに登場。宣伝ではコヨーテが上記4体に肩を並べている画像もあるが、いわゆる「夢の構図」である。
怪獣(KAIJU)
西暦2013年に太平洋深海のプレートに発生した時空の裂け目から現れたとてもデカくて強い生物。
鎧のように強固な皮膚、怪獣ブルーと呼ばれている酸性の体液、絶大的な身体能力と、まさに戦うためだけに生まれたような存在。目的は人類の殲滅であり、裂け目からやってきたKAIJUは、とにかく人が多い場所を目指して進む。
多種多様な形状を持つが全個体のDNAは同一、すなわちクローンであり、更に意識を相互にリンクしているため、一個体が撃破されても、もう一個体がその個体の戦闘経験を吸収し、より厄介な存在となる。
詳しい情報はKAIJUの記事へ。
スタッフ
監督 - ギレルモ・デル・トロ
脚本 - トラヴィス・ビーチャム
製作 - ジョン・ジャッシニ / メアリー・ペアレント / トーマス・タル
製作総指揮 - カラム・グリーン
音楽 - ラミン・ジャヴァディ
撮影 - ギレルモ・ナヴァロ
編集 - ピーター・アムンドソン
イラスト - 寺田克也
製作会社 - レジェンダリー・ピクチャーズ
配給 - ワーナーブラザーズ
データ
公開予定 - 2013年7月12日(アメリカ) / 2013年8月9日(日本)
製作国 - アメリカ合衆国
言語 - 英語
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関連タグ
映画 / 洋画 / アメリカ映画 / SF映画 / 怪獣映画 / 映画の一覧
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