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アイアン・スカイ

あいあんすかい

『アイアン・スカイ』とは、2012年に公開されたティモ・ブオレンソラ監督のSFコメディ映画。
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あらすじ編集

第二次世界大戦ドイツは敗れ、ナチスが野望は潰えたのはご周知の通り。

しかし、ナチスは滅んではいなかった

の裏側へ逃げ延び、巨大な秘密基地を作り上げ、子孫を繁栄させて教育を施し、再び世界に宣戦布告せんと軍備を整えていたのだ。


時に2018年。アメリカ大統領の人気取りのために月面飛行士に抜擢された黒人モデル、ジェームズ・ワシントンは、月の裏側でナチスに遭遇。仲間を殺された上、連行されてしまう。

世界大戦時代から価値観の変わっていないナチスは、"劣等種"の黒人が宇宙飛行士になっている事実に愕然とし、ジェームズを勝手に薬物白人にしてしまう。

さらにワシントンの持っていたスマートフォンの性能に衝撃を受けると、それを長年に渡って建造していた宇宙戦艦神々の黄昏」号の中枢に使おうと考えた。だがバッテリーが切れたため起動は失敗。

大量のスマホを確保するため、クラウス・アドラー准将はUFOアメリカ合衆国に飛ぶ。確認のためワシントンと、アドラーの婚約者レナーテ・リヒターも同行した。そして彼らは大統領に接触するが、事態は意外な方向に……。


概要編集

「月からナチスがやってくる」という、おまえは何を言っているんだという内容はUFOに関する都市伝説をベースに、監督脚本家の友人とサウナで交わした会話から着想を得たもの。

インディペンデント映画ながらフィンランドドイツオーストラリアから予算をかき集め、さらにインターネットを通じて一般の映画ファンにカンパを募るという画期的な方法から一億円(全体の一割)を確保した。これらのリターンとして、制作者側はグッズを販売。さらにファンと意見を交わし、プロットの案を採用するなど、観客参加型の映画制作が展開した。

これで話題性も手に入れたが、今作はそういった出オチに頼らない、風刺としての完成度の高さが魅力であり、世界的にヒットを記録した。

これを受けて前日譚と続編の企画が動いているが、ブオレンソラ監督に別の仕事が舞い込んでいるため、まだ先になると語っている。


登場人物・キャスト編集

レナーテ・リヒター - ユリア・ディーツェ (日本語吹き替え:甲斐田裕子)

月で生まれ、ナチスに育てられた月面青年団伍長。

普段はナチスの思想を子供たちに教えており、それを純粋に妄信するアホの子

地球からやってきたワシントンに興味津々。

アドラーの婚約者として"優等種"の子孫を残すことを運命付けられている。


クラウス・アドラー - ゲッツ・オットー (吹き替え:楠大典)

リヒター同様、月生まれのナチス将校。月面親衛隊准将。

リヒターと結婚して子孫を残すことにこだわっているが、かなり短気で強引。

実は野心家であり、独自の意図でアメリカ大統領に接触する。


ジェームズ・ワシントン - クリストファー・カービー (吹き替え:高木渉)

宇宙飛行士だが、本業は黒人のモデル。

月面でナチスの捕虜になった後、リヒター博士の粋な計らいで白人にされてしまう。


ウォルフガング・コーツフライシュ総統 - ウド・キア (吹き替え:後藤哲夫)

月面ナチスの現・総統。

他のナチス同様やはりズレているが、作戦行動の手回しは早い。


リヒター博士 - ティロ・プリュックナー (吹き替え:岩崎ひろし)

レナーテ・リヒターの父親で、科学者

かのナチス将校ヨーゼフ・メンゲレと同じ研究をするマッドサイエンティスト


ヴィヴィアン・ワグナー - ペーター・サージェント (吹き替え:朴璐美)

大統領の女性広報。

大統領にはその腕を買われているが、責任まですべて押し付けられる難儀な人。

【備考】ヒトラー~最期の12日間~のパロディをやって話題になった。


アメリカ合衆国大統領 - ステファニー・ポール (吹き替え:塩田朋子)

何代目かはわからない女性大統領。

直情的で、言動にはだいぶ問題がある。



登場兵器(第四帝国)編集

Hauneb III (ハウニブ ドライ)

海外版の広告やアートワークにて登場。言わずと知れたあのハウニブ兄弟(I~IV)の3男である。劇中では登場しておらず、広告にて敗戦の1945年に、南極の秘密基地から月に向かうシーンで登場。地球上で建造された最後のハウニブシリーズらしい。(メディア露出は無いものの、この世界線のナチスはハウニブIとIIの製造に成功してしまっている。)

第二次世界大戦の終わりに、試作型が19回のテスト飛行を行ったらしい。直径は70mで、最大32名が搭乗でき、速度はマッハ10(時速約4万キロ)に達する。エンジンは電気重力発動機(?)という物で作られていた。史実(?)と比較して、姿を見る限り武装は類似しているものの、速度性能(史実は時速7千キロ)はだいぶ躍進を果たしている。


Hauneb IV (ハウニブ フィア)

劇中未登場、アートワークにて登場。III型を元に生産された次世代型の宇宙船である。地球侵攻作戦にて兵員輸送の役目を担うとされた。直径80mで内装が改良されており、地球攻撃のために最大70名の兵員輸送と支援戦闘を行うことが可能。

史実(?)では直径120m程の戦略爆撃型である。

・仕様

乗員:6名(操縦士、副操縦士、砲手)※ボールマウントの砲塔が複数あるため、砲手が重複している

速度: 12,000 km/h以上

武装:

88mm機関砲4基

ロケットポッド。

兵員収容力:一般歩兵70名。


Walkyr (ワルキール)

第四帝国の主力航宙戦闘機、というか劇中の殆どのナチ機体はこいつである。ワルキールはハインツ・グデーリアン(!?)の電撃戦理論を究極に体現したもので、航空・地上戦力をこの1機体に纏め上げたものらしい。1980年代初頭に第四帝国の科学者によって設計されたらしく、アメリカへの報復を狙った流星電撃作戦の実行にあたって、新生月面機甲部隊の中核を成す予定だったらしい。

大気圏突入の為の熱シールドは勿論標準装備。制空戦闘機と対地攻撃機(と言うよりガンシップ)の要素を合わせて設計され、アメリカに対する最初の空襲(中盤で自由の女神を破壊するシーンから)で優れた性能を発揮した。真空管などの古い技術(Mig-25かよ…)をベースにしながらも、作中では、F-22やA-10といった名だたるアメリカの戦闘機・攻撃機に空戦を展開。武装そのものは2次大戦で止まっているものの、超音速目標を追尾・射撃するのに十分な射撃統制装置を備えているらしく、作中ではガンキルでF-22を1機撃墜する描写がある。しかし機体構造的に機動性は劣悪なため、現代戦闘機の機動に追従はできない。(故にF-22によってミサイルキルされる描写もある。)この機体のエンジンはホバリングはさることながら、機体後方に宇宙航行用と思わしきのエンジンノズルがある。

名前の由来は、もちろんワーグナーの「ワルキューレ」である。

・仕様

乗組員:5名(操縦手、車長、装填手、砲手、通信士)

武装:

主武装:150mmレールガン(ヴォルフギャング)1基、150mm対空ロケット弾。

副武装:50mm機関砲×2。


Rheingold (ラインゴルドゥ)

劇中にてアドラー、リヒター、ワシントンが地球への任務の為に、そして地球侵攻作戦に先立って、コーツフライシュ総統が3人を追跡するために使用。月で設計・製造された機体で、専ら偵察用らしい。されど大気圏突破に十分な装甲と攻撃用武装(アートワークの限りだと、下方に砲塔が1基存在している。)を備えていた。高度な thule triebwerk エンジンのおかげで、この船は高速で機動性があるらしい。

名前の由来は、ワーグナーのオペラ「ラインの黄金」(Das Rheingold)である。


大型航宙戦艦

劇中にてコーツフライシュ総統の命令に従い、総勢9隻(描写上では)の艦隊を成し地球軌道上に進出。正式名称は不明。(3隻だけ点呼で名前が明かされており、旗艦ジークフリート、ハインリッヒ、ビテロルフである。)見た目はツェッペリン飛行船のそれであり、モデルは不明だが旗艦ジークフリートの側面が写るシーンに艦籍番号があり、それによるならQ級飛行船(1次大戦のもの)がモデルではないかと思われる。劇中のセリフで搭載機数は200だと明かされており、内訳は全てワルキールだと思われる。流星電撃作戦開始に伴い搭載機全機発艦させ、艦隊も後方より牽引していた隕石を地球に落下させるなど甚大な被害を与える。この戦艦自身も無数の対空砲や艦砲、ロケット・ミサイル発射管を艦底に備えているが、反撃に出た国連の宇宙艦隊には為す術がなく全艦戦没した。


スタッフ編集

監督 - ティモ・ブオレンソラ

製作 - テロ・カウコマー/オリヴァー・ダミアン/キャシー・エヴェレット/マーク・エヴェレット/サムリ・トルソンエン

脚本 - マイケル・カレスニコ/ティモ・ブオレンソーラ

ストーリー:ヨハンナ・シニサロ/ヤルモ・プスカラ(原案)

撮影 - ミカ・オラスマー

編集 - スレーシュ・エイアー

音楽 - ライバッハ

製作国 - フィンランド/ドイツ/オーストラリア

言語 - 英語/ドイツ語

日本語字幕 - 高橋ヨシキ / 監修 - 町山智浩

製作会社:Energia Productions


小説版編集

2012年9月19日、本作の字幕を担当した高橋ヨシキによる小説版が竹書房文庫から発売された。コーツフライシュやアドラーの過去など、映画には存在しないシーンがいくつか追加されているほか、登場人物の性格や設定も一部変更されている。また、映画ではアメリカ大統領の名が登場しないが、小説ではサラ・ペイリンとされている。


公開日と配給編集

ドイツ2012年2月11日第62回ベルリン国際映画祭
フィンランド2012年4月4日ウォルト・ディズニー・スタジオ
アメリカ合衆国2012年7月25日ポリバンド
日本2012年9月28日プレシディオ(R-12指定)

関連動画編集


関連タグ編集

映画 / 洋画 / SF映画 / 映画の一覧

風刺 / ブラックジョーク / 架空戦記 / 都市伝説 / 宇宙戦争

ナチス /

独裁者 (チャップリン)

博士の異常な愛情

総統閣下シリーズ


外部リンク編集

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