タイトルはギリシャ神話に登場する楽園「エリュシオン」の英語表記に由来する。
世界観
2154年の未来、人類は、宇宙に浮かぶ人工の楽園「エリジウム」に住む富裕層と、環境破壊と人口爆発により荒廃した地球に取り残された貧困層とに分かれていた。
神話におけるエリュシオンは冥府に存在するが、未来に誕生したエリジウムは各家庭にベッド型医療器具が備わり、あらゆる病を癒すことができる、世界でもっとも死から遠い環境である。
それに加え気候は温暖に、風景は美しく保たれ、富裕層たちは優雅で快適な生活を送る。
地球はというと医療設備も充実しておらず、財政面から現場にもあまり余裕がない。
地球に暮らす貧民たちの中には、移住や高度な医療によって難病や障害を治すことを夢見てシャトルで密航を試みる者もいる。
しかしその大半はエリジウムの防衛庁長官ジェシカ・デラコートの冷徹な采配のもと、到達前に撃墜されてしまう。
たどりついた場合は、送還用シャトルで地球に送り返される。病人や障がい者、その家族でない人物も乗っているように見える。
デラコート長官には反対派もおり、エリジウムにたどりつけば移民として受け入れられる可能性もあるのかもしれない。
たとえ送り返されることになっても、地上で予め偽造市民IDを皮膚につけておくことで、エリジウム各家庭の医療装置を使用することが可能である。
地上では出来ない治療を行うことが出来るのは大きな魅力であり、裏の密航斡旋組織には希望者が殺到する。
楽園の平穏を守るため、エリジウム側はCCB(民間協力局)のエージェントも活用している。
本作でも異彩を放つキャラクターであるM・クルーガーもその一人である。
ストーリー
かつてエリジウムに行くことを望む少年だったマックス・ダ・コスタ。
幼い頃から盗みをはたらいて施設のシスターを心配させ、青年時代は車泥棒や強盗までしていた。
しかし刑務所に入ってからはアーマダイン社のドロイド工場で真面目に働いていた。
ある日、軽口を叩いて警官ドロイドにフルボッコにされたマックスは病院で夢を語らった幼馴染フレイに再会する。
彼女とコーヒーを飲みに行く約束をとりつけたマックスであったが、工場で起こった事故により処理室に閉じ込められ致死量の放射線を浴びてしまった。
彼は余命5日を宣告され、薬剤だけ渡されそのまま解雇されてしまう。一縷の望みを託し、マックスはかつてのワル仲間フリオと共に、知り合いの闇商人スパイダーに会う。
スパイダーはエリジウムへの密航を行う組織の長であった。エリジウムに行くことを望むマックスに、行きたいヤツはいくらでもいる、と一度は突っぱねるスパイダーであったが、
余命わずかなマックスのがむしゃらな執念を見せ付けられると、ある計画への参加を持ちかける。
地球にいるエリジウム市民を武装誘拐し、その頭脳からパスワード等カネに繋がるデータを奪う、というものであった。
マックスはターゲットとして、かつての勤務先の社長ジョン・カーライルを挙げた。
計画実行のオマケとして強化外骨格「エクソスーツ」の移植を施されたマックスは弱った体だがドロイドとも格闘できる力を獲得、
仲間の襲撃メンバーとシャトルを襲い、ドロイドの反撃に遭いながらもカーライルからデータを移されたマックスは、データの中にあるプログラムが含まれてたことが原因で陰謀に巻き込まれ命を狙われることになる。
現実世界との関係
製作国であるアメリカ合衆国には既にリアルエリジウムが存在する。
富裕者だけが集まって作り上げた自治体がそれである。ジョージア州に存在するサンディ・スプリングス市が代表例。
自分達以外の人々のために税金が使われるのを嫌う上流階層のみで集まり、行政の民営化と合理化を実行。まれにみる充実した公共サービスを実現している。
しかしその反面、富裕層が抜けた別の自治体では税収が足りず、ゴミの回収・清掃をはじめ、図書館や公立病院でも予算が削減、市民に不便が強いられ、特に貧困層の人々にはもろに負担がいっている。
おまけに刑務所も財政難で閉鎖や囚人の解放がなされる事態となり、治安の悪化も懸念されている。
公式動画
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第9地区(監督の前作)