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概要編集

所属国アメリカ合衆国(米国)
設置1789年3月4日
初代ジョージ・ワシントン
任期1期4年(最大2期8年まで)
選出大統領選挙での選出・副大統領からの昇格
給与年間40万ドル
現職ジョー・バイデン…2021年1月20日~2025年1月20日(予定)

アメリカ合衆国大統領(アメリカがっしゅうこくだいとうりょう、英語:President of the United States of America、略称:POTUS)は、アメリカ合衆国(米国)国家元首にして行政府の長たる官職。米国は世界のリーダー格にして最も強大な経済力を有する国で、大統領が誰になるかは世界・経済情勢に大きな影響を受けるため、4年に1度実施される大統領選は世界中の注目を集める。


大統領に立候補するには35歳以上・14年以上米国内に在留している・出生による米国市民権保持者であることが条件で、選出方法は国民が選挙人団に投票し、選挙人が誓約した正副大統領候補のペアに投票して当選者を決定する間接選挙となっている。連邦共和国である米国は962万9091㎢という広大な国土を有しており、選挙に掛かる期間はかなり長い。

更に後で記述するような「実は、ほんの数個(<10個)の州の結果だけで誰が大統領になるかが事実上決まる」という特殊な事情も有って「当選者が確定した翌週や翌々週になっても、まだ、票の集計が終っていない州も有る」などという事もザラである。

早い話が日本で「○○氏がアメリカ大統領に当選しました」という報道が有った時点では、日本国内の選挙の報道で言うなら「○○氏当選確定」(開票結果の集計は、まだ完了していないが、統計的に見て、現在集計が終っているものから○○氏が当選すると判断しても、その結果が覆る可能性は、ほぼ0)のようなものだと考えて概ね間違いない。


なお、アメリカ大統領選挙は、

  • ネブラスカ州メーン州のみ、一般投票での得票数に比例する形で選挙人票が決まる。
  • 他の州およびワシントンD.C.では、例え、どれだけの僅差であっても得票数1位の大統領候補が選挙人票を総取りする。
    • ちなみに、ワシントンD.C.の住民は1961年までアメリカ国籍者であってもアメリカ大統領選挙への投票権が無かった
  • 準州と呼ばれるアメリカ連邦政府直轄地の住民はアメリカ国籍者であってもアメリカ大統領選挙への投票権は無い。

という他国の人間からすると判りにくいものとなっている。

これは、アメリカが、多くの日本人がイメージする「国」よりも、国連欧州連合のような「独立国の連合体」として誕生した事によるもの(言わば世界初の民主制連邦国家)であり、言うなれば「連邦に属する各国の国民が直接、連邦全体の政治指導者を選ぶのではなく、連邦(≒複数の国家から構成されるメタ国家)に属する各国の国民が、まず、自分達の代理人を選んで、各国から選出された代理人達が連邦全体の政治指導者を選ぶ」と考えると判り易い。(準州の住民に投票権が無いのは、例えば、何かの理由で国連やEUが直接統治しなければならない地域が発生した場合、その地域は国連のやEUの構成単位である「国」とは見做し難いようなものと言えるだろう)

ただし、この(他国の人間からすると、ややこしい選挙制度の)結果、選挙速報などではアメリカの大半が「赤(共和党のシンボルカラー)」または「青(民主党のシンボルカラー)」に染まっているように見えても、実際の得票率は僅差に近かったり、何なら得票率が少ない方が大統領に選ばれてしまう事も十分に有り得る(この為に、選挙報道だけを見た限りでは大勝利したように見える大統領でも、就任直後は国民の支持・不支持がほぼ半々、という足下が危うい政権としてスタートするケースも十分に考えられる)。

また、大統領選挙前の事前調査の(各地域ごとの細かい集計ではない)アメリカ全土での候補の支持・不支持の割合と大統領選挙結果が乖離する(少なくとも、そう見える)ような事態も同じく十分に起こり得る(日本で喩えるなら、国政選挙の小選挙区における各政党の当選者数と、選挙直前での各政党の支持率を各選挙区ごとではなく日本全国で集計した値との間に乖離が起き得るようなものである)。


更に言えば、アメリカの多くの州では「大統領選挙で、どの党の候補が勝つか?」は、ほぼ毎回同じであり、激戦州と呼ばれる例外的な「民主党・共和党どちらの候補が勝つかは開票まで判らない」10個未満の州の開票結果が、どの候補が勝利するかを決める事になる。

言わば、1桁個の州がアメリカ全体、引いては全世界を運命を握っているのである


就任までの流れ編集

4年に1度実施されている選挙から就任までの流れは以下の通り。以下の流れを経て大統領に選出されると、「ホワイトハウス」と呼ばれる大統領官邸に入居して執務を行う。

  1. 共和党民主党の両党内で予備選挙が実施され、過半数の代議員を獲得する。
  2. 予備選挙を勝ち抜いて正式指名を得た各党の正副大統領候補が、11月第1月曜の翌日に実施される本選挙に挑戦する。
  3. 本選挙で270人以上の選挙人を獲得した正副大統領候補が当る。
  4. 当選した後は本選挙が実施された年の翌年1月20日に就任式が執行される。

権限編集

行政編集

  • 各省長官から意見を求める。
  • 刑の執行延期・恩赦を行う(弾劾の場合を除く)。
  • 条約を締結する(ただし、上院の3分の2以上の賛成による承認が必要)。
  • 判事(裁判官)・外国駐在大使・各省長官を始めとする全ての連邦公務員(憲法・連邦法が特に規定したものを除く)を指名・罷免する(ただし上院の承認が必要である)。
  • 上院の休会中に生じた欠員に対し、次回の上院の会期が満了する日を任期として休会を任命する。
  • 連邦議会を停会し、非常時には臨時招集する。
  • 米国内に駐在する各国大使・その他の外交使節を接受する。
  • 独立命令である大統領令を発令する。

立法編集

  • 法律を制定し、その他の適切と考える施策を連邦議会に勧告する。

なお、連邦議会において法案を提出出来る権限を持つのは、あくまで連邦議員のみであり、大統領が勧告した法案は連邦議会の議員の誰かにより提出される事になる。(あくまで仮定の話だが、最悪の場合、アメリカの連邦議会に議席を持つ与野党どちらからも支持されていないアメリカ大統領が仮に居たならば、その大統領は望む法案を制定出来ないどころか、連邦議会での審議というスタートラインにすら立てない可能性もある)

これは大統領には(参考人や証人として呼ばれない限りは)連邦議会の法案・予算案の審議での発言権どころか、連邦議会の許可または命令が無ければ審議に同席すら出来ない為である。

要は日本などの議員内閣制の国のように、政府が法案を国会に提出したり、行政府の長(日本なら首相、アメリカなら大統領)が国会で何らかの法案に関して議員からの質問に答える事は、アメリカではかなりの異例な事態なのである。

余談だが、この制限の為に、アメリカの法律は(現実・フィクションのどちらの場合でも)「○○法」(○○=法案を提出した議員の名前)という別名が付く場合が多い。

  • 連邦議会で可決された法案を拒否する。

米国では議会で可決された法案は国家元首である大統領に送付され、その法案に大統領が署名すれば法律として成立するが、逆に拒否する場合は理由を明記した文書を添えて議会に差し戻す。


その他編集

  • を指揮する。

大統領は軍(陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊・宇宙軍)最高司令官である。他にも核兵器を使用する権限を保持しており、命令を出すことで初めて核兵器使用が許可される。


歴代大統領編集

代数氏名所属政党特記事項
初代ジョージ・ワシントン無党派独立戦争総指揮官で建国の父。ラシュモア山に彫られた1人。
第2代ジョン・アダムズ連邦党ホワイトハウスで政務を執行した最初の大統領。米海軍を創設した。
第3代トーマス・ジェファーソン民主共和党独立宣言の筆者で、米国独立の理論的指導者。ラシュモア山に彫られた1人。
第4代ジェームズ・マディソン民主共和党米英戦争(1812年戦争)が発生した当時の大統領で憲法制定の中心人物。
第5代ジェームズ・モンロー民主共和党モンロー主義を発表した。
第6代ジョン・クインシー・アダムズ民主共和党ジョン・アダムズの息子。親子で大統領となった最初の例である。
第7代アンドリュー・ジャクソン民主党民主党からの選出且つ初のWASPではない大統領。インディアンに対する過酷な弾圧等で知られ、「米国史上最も狂った大統領」とも呼ばれる。
第8代マーティン・ヴァン・ビューレン民主党独立宣言後に出生した初の大統領。
第9代ウィリアム・ハリソンホイッグ党ホイッグ党から選出された最初の大統領。初めて在職中に死去した大統領となった。
第10代ジョン・タイラーホイッグ党史上初めて副大統領から大統領に昇格した。
第11代ジェームズ・ポーク民主党テキサス共和国合併などの領土拡張を実施。
第12代サガリー・テイラーホイッグ党軍人の身としては初の大統領。
第13代ミラード・フィルモアホイッグ党ホイッグ党から選出された最後の大統領。日本に国書を送った。
第14代フランクリン・ピアーズ民主党時代変化に対応出来ず使い捨てとされた傀儡。
第15代ジェームズ・ブキャナン民主党練達の外交官であったが、彼をもってしても南北戦争は防げなかった。
第16代エイブラハム・リンカーン共和党共和党から選出された最初の大統領にして南北戦争が発生した当時の大統領で、1865年4月に現職大統領として初めて暗殺された。ラシュモア山に彫られた1人で、黒人解放者にしてインディアン弾圧者である。
第17代アンドリュー・ジョンソン民主党リンカーン政権の副大統領を務め、1865年4月に先代が暗殺されたのを受けて就任した。
第18代ユリシーズ・グラント共和党南北戦争の英雄で、大統領としては最低という評価がある。岩倉使節団と会見した。
第19代ラザフォード・ヘイズ共和党
第20代ジェームズ・ガーフィールド共和党暗殺された2人目の大統領。
第21代チェスター・アーサー共和党ガーフィールド政権で副大統領を務め、1881年7月(同年9月に死亡)に前大統領が暗殺されたことで昇格した。
第22代グロバー・クリーブランド民主党自由の女神が完成した当時の大統領。後に史上初めて1期4年程置いて再選した人物。
第23代ベンジャミン・ハリソン共和党ウィリアム・ヘンリー・ハリソンの孫。祖父と孫で大統領となった唯一の例。
第24代グロバー・クリーブランド民主党22代と同人物。再選。
第25代ウィリアム・マッキンリー共和党暗殺された3人目の大統領。
第26代セオドア・ルーズベルト共和党米国大統領として初めてノーベル賞を受賞し、独占禁止法を制定するなどの改革を進めた。ラシュモア山に彫られた1人で、テディベアの語源になった。ウィリアム・マッキンリー政権で副大統領を務め、1901年9月に前大統領が暗殺されたことで昇格。
第27代ウィリアム・タフト共和党大阪名物であるビリケン人形の語源となった。
第28代ウッドロー・ウィルソン民主党第一次世界大戦が発生した当時の大統領で、ノーベル賞受賞者である。
第29代ウォーレン・ハーディング共和党
第30代カルビン・クーリッジ共和党ウォーレン・ハーディング政権で副大統領を務めたが、1923年8月にハーディング大統領が脳梗塞で死去して大統領に昇格した。
第31代ハーバート・フーバー共和党大恐慌に翻弄された不運な人物で、1931年3月に「星条旗」を国歌として正式に採用する。
第32代フランクリン・ルーズベルト民主党第二次世界大戦が発生した当時の大統領で、在職期間は4期12年と歴代最長である。セオドア・ルーズベルトの甥。
第33代ハリー・トルーマン民主党第2次世界大戦が終結した当時の大統領。日本に対する原爆の使用を許可した。
第34代ドワイト・D・アイゼンハワー共和党陸軍の出身で、第2次世界大戦のヨーロッパ戦線で活躍した功績から高い人気を誇った。
第35代ジョン・F・ケネディ民主党アメリカ初のカトリック教徒の大統領。キューバ危機によるソ連との軍事衝突を回避したが、在職中の1963年11月にダラスで暗殺され、これは歴代の大統領としては4人目となった。
第36代リンドン・ジョンソン民主党ケネディ政権で副大統領を務めたが、1963年11月に先代が暗殺されたのを受けて就任した。
第37代リチャード・ニクソン共和党任期中に多くの外交的成功を収めるが、1974年8月に一大スキャンダルによって辞職した唯一の大統領。
第38代ジェラルド・フォード共和党日本を公式訪問した最初の大統領で、史上唯一選挙を経ずに大統領に就任した。
第39代ジミー・カーター民主党1981年1月に大統領を退任した後の2002年12月にノーベル平和賞を受賞した。対話による平和外交を打ち出したが、民衆の支持を得られず失敗に終わった。
第40代ロナルド・レーガン共和党元々は俳優として活躍し、米ソ冷戦を終結させる道筋を開いた。
第41代ジョージ・H・W・ブッシュ共和党湾岸戦争が発生した当時の大統領で、ロナルド・レーガン政権で副大統領を務めた。1989年12月にマルタ会談で米ソ冷戦を終結させた。
第42代ビル・クリントン民主党先住民族チェロキー族)の血を引く史上初の大統領で、モニカ・ルインスキーとの不倫騒動で弾劾裁判にかけられる。妻はオバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントン
第43代ジョージ・W・ブッシュ共和党同時多発テロが発生した当時の大統領で、ジョージ・H・W・ブッシュの息子である。かつてMLBテキサス・レンジャーズのオーナーであった。
第44代バラク・オバマ民主党初の白人ではない大統領で、2009年10月にノーベル平和賞を受賞した。2016年5月に現職大統領として初めて原爆被爆地を訪問。
第45代ドナルド・トランプ共和党「不動産」と呼ばれ、過激な発言から「暴言王」の異名も持つ。後任のジョー・バイデンに破れて1度落選した。
第46代ジョー・バイデン民主党2021年1月より在任。就任時点で史上最高齢であった。バラク・オバマ政権で副大統領を務め、大統領としては史上2人目のカトリック教徒。再選を目指していたが高齢を理由に選挙戦から撤退した。
第47代ドナルド・トランプ(予定)共和党ジョー・バイデン政権の副大統領カマラ・ハリス氏を破って再選。大統領経験者が落選後に再選するのはグロバー・クリーブランド以来で132年振り。2025年1月に就任予定。

存命中の前・元大統領経験者(2024年11月現在)編集

  • 39代:ジミー・カーター(1924年10月1日 - )※存命最高齢
  • 42代:ビル・クリントン(1946年8月16日 - )
  • 43代:ジョージ・W・ブッシュ(1946年7月6日 - )
  • 44代:バラク・オバマ(1961年8月14日 - )
  • 45代:ドナルド・トランプ(1946年6月14日 - )※前任

大統領を経験した者は、退任後も「ミスター・プレジデント」と呼ばれる。1958年8月に成立した元大統領法によって年間20万ドルの年金支給・医療保険付与があり、身辺警護費用は退任から10年間は公費で賄われる。


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