概要
所属国 | アメリカ合衆国 |
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設置 | 1789年3月4日 |
初代 | ジョージ・ワシントン |
任期 | 1期4年(最大2期8年まで) |
選出 | 大統領選挙による選出・副大統領からの昇格 |
給与 | 年間40万ドル |
現職 | ジョー・バイデン(2021年1月20日より) |
アメリカ合衆国大統領(アメリカがっしゅうこくだいとうりょう、英語:President of the United States of America、略称:POTUS)は、アメリカ合衆国の国家元首にして行政府の長たる官職。1945年9月に終戦となった後は超大国の最高指導者として、国内・全世界に強大な権力・影響力を有する。時には大統領の言動1つで世界経済に変動を来たし、同盟諸国を率いて戦争を起こすほどで、他にも人類史上唯一核兵器の実戦での使用を命令した国家元首でもある。アメリカは世界一の経済力を有する国である為、大統領が誰になるかは経済情勢に大きく影響を与える。
大統領は4年に1度実施される選挙で選出され、任期は2期8年までである。立候補には35歳以上・アメリカ国内における在留期間が14年以上・出生によるアメリカの市民権保持者である事が条件である。選出方法は国民が選挙人団(特定の候補への投票を誓約する有権者団体)と呼ばれる団体に投票し、それによって勝利した団体同士が誓約した正副大統領候補に投票して当選者を決定するという方式で、間接選挙方式となっている。アメリカは962万9091平方キロメートルという広大な国土を有している為、選挙にかかる期間はかなり長い。
就任までの流れ
4年に1度実施されている選挙から就任までの流れは以下の通りである。以下の流れを経て大統領に選出されると、ホワイトハウスと呼ばれる大統領官邸に入居して執務を行う。
- 共和党・民主党の各党内で予備選挙が実施され、過半数の代議員を獲得する。
- 予備選挙を勝ち抜いて正式指名を得た各党の正副大統領候補が、11月の第1月曜日の翌日に実施される本選挙に挑戦する。
- 本選挙で270人以上の選挙人を獲得した正副大統領候補が当選する。
- 当選後は本選挙が実施された年の翌年1月20日に就任式が執行される。
権限
行政
- 各省長官から意見を求める権利
- 刑の執行延期・恩赦を行う権限(弾劾の場合を除く)
- 条約の締結権(ただし上院の3分の2以上の賛成による承認が必要)
- 判事(裁判官)・外国駐在大使・各省長官を始めとする全ての連邦公務員(憲法・連邦法が特に規定したものを除く)の指名権・罷免権(ただし上院の承認が必要である)
- 上院の休会中に生じた欠員に対し、次回の上院の会期が満了する日を任期として休会を任命する権利
- 連邦議会の停会権・非常時における臨時招集権
- アメリカ合衆国に駐在する各国大使・その他の外交使節の接受権
- 独立命令である大統領令の発令
立法
- 法律の制定・その他の適切と考える施策の連邦議会に対する勧告権
大統領には法案提出の権限が無く、代わりに教書によって議会に法律の制定を要請する。
- 連邦議会で可決された法案に対する拒否権
その他
- 軍の指揮権
大統領は軍(陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊・宇宙軍)の最高司令官である。他にも核兵器の使用権限を有しており、命令を出す事で初めて核兵器の使用が許可される。
歴代大統領
代数 | 氏名 | 所属政党 | 特記事項 |
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初代 | ジョージ・ワシントン | 無党派 | アメリカ合衆国独立戦争の総指揮官で建国の父。ラシュモア山に彫られた1人。 |
第2代 | ジョン・アダムズ | 連邦党 | ホワイトハウスで政務を行った最初の大統領。アメリカ海軍の創設。 |
第3代 | トーマス・ジェファーソン | 民主共和党 | 独立宣言の筆者で、合衆国独立の理論的指導者。ラシュモア山に彫られた1人。 |
第4代 | ジェームズ・マディスン | 民主共和党 | 1812年戦争当時の大統領で憲法制定の中心人物。 |
第5代 | ジェームズ・モンロー | 民主共和党 | モンロー主義を発表。 |
第6代 | ジョン・クインシー・アダムズ | 民主共和党 | ジョン・アダムズの息子。親子で大統領となった最初の例となった。 |
第7代 | アンドリュー・ジャクソン | 民主党 | 民主党選出かつ非WASP最初の大統領。インディアンに対する過酷な弾圧でも知られている。 |
第8代 | マーティン・ヴァン・ビューレン | 民主党 | 独立宣言後に出生した初の大統領 |
第9代 | ウィリアム・ヘンリー・ハリソン | ホイッグ党 | ホイッグ党選出の最初の大統領。在職中に死去した初の大統領。 |
第10代 | ジョン・タイラー | ホイッグ党 | 副大統領から大統領に昇格した最初の人物。 |
第11代 | ジェームズ・ノックス・ポーク | 民主党 | テキサス共和国の合併などの領土拡張を実施する。 |
第12代 | サガリー・テイラー | ホイッグ党 | 軍人出身初の大統領。 |
第13代 | ミラード・フィルモア | ホイッグ党 | ホイッグ党選出の最後の大統領。日本に国書を送る。 |
第14代 | フランクリン・ピアーズ | 民主党 | 時代の変化に対応出来ず、使い捨てにされた傀儡。 |
第15代 | ジェームズ・ブキャナン | 民主党 | 練達の外交官。彼をもってしても南北戦争は防げなかった。 |
第16代 | エイブラハム・リンカーン | 共和党 | 共和党選出の最初の大統領で南北戦争時の大統領で、現職の大統領として初めて暗殺された。ラシュモア山に彫られた1人。黒人の解放者であり、インディアンの弾圧者である。 |
第17代 | アンドリュー・ジョンソン | 民主党 | リンカーン政権の副大統領。先代の暗殺を受けて就任した。 |
第18代 | ユリシーズ・シンプソン・グラント | 共和党 | 南北戦争の英雄で、大統領としては最低という評価がある。岩倉使節団と会見した。 |
第19代 | ラザフォード・バーチャード・ヘイズ | 共和党 | |
第20代 | ジェームズ・アブラム・ガーフィールド | 共和党 | 暗殺された、2人目の大統領。 |
第21代 | チェスター・アラン・アーサー | 共和党 | ガーフィールド政権の副大統領。大統領の暗殺により大統領に昇格。 |
第22代 | ステファン・グローバー・クリーブランド | 民主党 | 自由の女神が完成した当時の大統領。後に24代として歴代で唯一の連続では無い再任。 |
第23代 | ベンジャミン・ハリソン | 共和党 | ウィリアム・ヘンリー・ハリソンの孫。祖父と孫で大統領となった唯一の例。 |
第24代 | ステファン・グローバー・クリーブランド | 民主党 | 22代と同人物。再任。 |
第25代 | ウィリアム・マッキンリー | 共和党 | 暗殺された、3人目の大統領。 |
第26代 | セオドア・ルーズベルト | 共和党 | 米国大統領初のノーベル賞受賞者。独禁法制定など改革を進め、ラシュモア山に彫られた1人。テディベアの語源になった。マッキンリー政権では副大統領であり、大統領の暗殺により昇格した。 |
第27代 | ウィリアム・ハワード・タフト | 共和党 | 大阪の名物であるビリケン人形の語源になった。 |
第28代 | トーマス・ウッドロウ・ウィルソン | 民主党 | 第一次世界大戦当時の大統領。ノーベル賞受賞者。 |
第29代 | ウォレン・ガマリエル・ハーディング | 共和党 | |
第30代 | ジョン・カルヴァン・クーリッジ・ジュニア | 共和党 | |
第31代 | ハーバート・クラーク・フーバー | 共和党 | 大恐慌に翻弄された不運な人物。1931年3月に「星条旗」を国歌として正式に採用する。 |
第32代 | フランクリン・デラノ・ルーズベルト | 民主党 | 第二次世界大戦当時の大統領で、在職期間は4期12年と歴代最長である。セオドア・ルーズベルトの甥。 |
第33代 | ハリー・シッペ・トルーマン | 民主党 | 第二次世界大戦時の大統領。日本への原爆投下を指示した。 |
第34代 | ドワイト・デーヴィッド・アイゼンハワー | 共和党 | 陸軍の出身で、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線で活躍した功績から高い人気を誇った。 |
第35代 | ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ | 民主党 | 米国初のカトリック教徒の大統領。キューバ危機によるソ連との軍事衝突を回避。在職中にダラスで暗殺。暗殺された4人目の大統領。 |
第36代 | リンドン・ベインズ・ジョンソン | 民主党 | ケネディ政権の副大統領。先代の暗殺を受けて就任した。 |
第37代 | リチャード・ミルハウス・ニクソン | 共和党 | 任期中多くの外交的成功を収めるが、一大スキャンダルにより辞職した唯一の大統領。 |
第38代 | ジェラルド・ルドルフ・フォード・ジュニア | 共和党 | 日本を公式訪問した最初のアメリカ大統領。史上唯一、選挙を経ずにアメリカ大統領に就任した |
第39代 | ジェームズ・アール・カーター・ジュニア | 民主党 | ノーベル賞受賞者(大統領退任後)。対話による平和外交を打ち出したが、民衆の支持を得られず失敗に終わった。 |
第40代 | ロナルド・ウィルソン・レーガン | 共和党 | 元俳優。米ソ冷戦終結への道筋を開いた。 |
第41代 | ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ | 共和党 | 湾岸戦争当時の大統領。1989年12月のマルタ会談で米ソ冷戦を終結させた。 |
第42代 | ウィリアム・ジェファーソン・クリントン | 民主党 | 先住民族(チェロキー族)の血を引く史上初の大統領。不倫騒動で弾劾裁判にかけられる。妻はオバマ政権で国務長官を務めたヒラリー・クリントン。 |
第43代 | ジョージ・ウォーカー・ブッシュ | 共和党 | アメリカ同時多発テロ当時の大統領。ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュの息子。MLBのテキサス・レンジャーズの元オーナー。 |
第44代 | バラク・フセイン・オバマ・ジュニア | 民主党 | 初の非白人大統領で、ノーベル賞受賞者。2016年5月に現職として初めて原爆の被爆地を訪問した。 |
第45代 | ドナルド・ジョン・トランプ | 共和党 | 「不動産王」。過激な発言から「暴言王」の異名も持つ。 |
第46代 | ジョセフ・ロビネット・バイデン・ジュニア | 民主党 | オバマ政権の副大統領。大統領としては史上2人目のカトリック教徒。就任時点で史上最高齢 |
存命中の大統領経験者(2023年1月現在)
- 39代:ジミー・カーター(1924年10月1日 - )※存命最高齢
- 42代:ビル・クリントン(1946年8月16日 - )
- 43代:ジョージ・W・ブッシュ(1946年7月6日 - )
- 44代:バラク・オバマ(1961年8月14日 - )
- 45代:ドナルド・トランプ(1946年6月14日 - )
大統領を経験した者は、退任した後も「ミスター・プレジデント」と呼ばれる。1958年8月に成立した元大統領法によって年間20万ドルの年金の支給・医療保険の付与があり、身辺警護の費用は退任から10年は公費で賄われる。
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