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概要編集

核兵器保有(かくへいきほゆう)は、原子力を搭載し、それによる原子核反応を狙った兵器である核兵器を保有している事である。そのような国を核保有国と言い、国際社会からそのように見做されている。2023年6月時点で核兵器は推定で1万2520発も存在し、この内アメリカとロシアが全体の9割を占めている。2022年1月にアメリカ・中国・イギリス・フランス・ロシアは「核戦争に勝者はおらず、決して戦ってはならない事を確認する。」という共同声明を初めて発出した。


核保有国編集

公式編集

ここでいう公式核保有国とは、NPT(核拡散防止条約)を批准している核保有国の事である。以下の5か国は全て国際連合安全保障理事会常任理事国で、1989年12月に東西冷戦が終結するまでに、最初の核実験を実施して成功に終わらせている。


国名保有数(2023年6月時点)
ロシア連邦5890発
アメリカ合衆国5244発
中華人民共和国410発
フランス290発
イギリス225発

非公式編集

国名保有数(2023年6月時点)
パキスタン170発
インド164発
イスラエル90発
北朝鮮40発

過去編集

1965年3月に原子炉のサファリ1が建設されてから核兵器の研究を開始し、1989年11月に核兵器の計画を中止して1990年2月に廃棄した。1991年7月に核拡散防止条約を批准し、現在は核兵器を保有していないが、1993年8月に国際原子力機関の査察で計画を完全に廃棄したと確認された。

1991年12月に旧ソ連から独立した時、その核兵器を継承する形で保有し、1995年4月に全ての核兵器をロシアに移管した。

カザフスタンと同じ理由で保有し、1994年12月にブダペスト覚書を締結して核兵器を放棄すると決定した後、1996年6月までに全ての核兵器をロシアに移管した。2014年2月にウクライナ東部紛争が発生したのを受けて、核兵器を再び保有する議論が提起された。

カザフスタンと同じ理由で保有し、1996年11月までに全ての核兵器をロシアに移管した。


アメリカの核兵器を共有している国編集

アメリカはニュークリア・シェアリング(核共有)によってNATO加盟国に核兵器を供与し、核抑止による利益・責任・リスクは全てそことの間で共有している。


参加国編集

1961年6月にアメリカがジュピターミサイルを配備したが、1963年4月に撤去された。

1961年6月にアメリカがジュピターミサイルを配備したが、1963年4月に撤去された。これは1962年10月にキューバ危機が発生した時、ソ連がキューバに持ち込んだ核兵器を撤去する対価として要求したのが理由だった。


非参加国編集

1984年1月に非核保有国となり、全ての核兵器がカナダから撤去されて大きな節目となった。

2001年6月に核兵器を放棄した。


ロシアの核兵器を共有している国編集

2023年12月時点では1か国しか無い。


参加国編集

2023年3月にロシアがベラルーシに戦略核兵器を配備する計画を発表し、既に一部が搬入された事を明らかにしており、配備は年末までに完了するとしている。


各国の事例編集

ここでは全ての核保有国の事例を取り上げる。


アメリカ合衆国編集

アメリカは5か国で唯一第2次世界大戦が終結するまでに核保有国になった。

1942年6月にマンハッタン計画が極秘に実行され、その一環としてイギリスカナダと協力しながら、ナチス・ドイツの脅威から逃れて亡命したユダヤ人を中心として核兵器を開発した。1945年7月にトリニティ実験として最初の核実験を実施し、世界初の核保有国となった後、同年8月に日本の広島と長崎で実際に使用した。ちなみに2023年12月現在に於いても、戦争で実際に兵器として市街地で使用し、民間人を大量に虐殺した核保有国はアメリカのみである。


ソビエト連邦→ロシア連邦編集

1949年8月に最初の核実験を実施し、世界で2番目の核保有国となったが、これは部分的に諜報員の功績によるところがあるという。核兵器を開発したのは冷戦時代にアメリカとの力の均衡を維持する為で、1955年11月に最初の水爆実験を成功させており、1961年9月に史上最大の威力を誇る核兵器である「ツァーリ・ボンバ」を製造した。しかし大き過ぎるが故に大陸間弾道ミサイルに搭載できないなど、実用的では無い兵器だったようである。1991年12月にソ連が崩壊した後は、それまで保有していた核兵器が主に継承国のロシア連邦に引き継がれた。


イギリス編集

1952年10月に最初の核実験を実施し、世界で3番目の核保有国となったが、核兵器を開発したのはソ連に対する抑止力という観点からだったようである。1957年11月に最初の水爆実験を成功させており、4隻のヴァンガード級原子力潜水艦に装備されたトライデントSLBMシステムを保持し、核兵器のドクトリンは2006年12月に「イギリスの核抑止に関する将来」とする白書で決定している。近い将来に於けるイギリスや同盟国に対する直接的な国家間の伝統的・戦略的脅威が再び出現する事態に備える必要は無いとしながらも、国際的な安全保障環境は予測できない状況である。


フランス編集

1960年2月にほぼ独自の研究成果を元に最初の核実験を実施し、世界で4番目の核保有国となった。核兵器を開発したのは1956年10月にスエズ危機が発生した時、ソ連と親アメリカ的自由主義世界との間に生じた外交での緊張状態を契機として、フランスが自らの外交力・軍事力の貧弱さに気付いた為だとされている。1968年8月に最初の水爆実験を成功させており、2022年8月に核不拡散防止条約の再検討会議に提出した報告書によると、300発以下の核弾頭が存在している。


中華人民共和国編集

ソ連の協力で核開発をしていたが、中ソ対立により自前での開発に変更。1964年10月にアメリカとソ連の核兵器に対抗して最初の核実験を実施し、アジア初の核保有国となった。1967年6月に最初の水爆実験が実施され、核兵器を開発してから2年8か月という最も速い期間だったが、保有している数については共産党政府がデータを公表していないので正確では無い。1995年4月に中国は核兵器を先制的に使用しないと宣言し、「如何なる時・如何なる状況に於いても、非核国及び非核地帯に対して核兵器を使用せず、また核兵器による圧力を掛ける事も無い。」と主張している。


インド編集

1974年5月に中国に対抗し「微笑むブッダ」というコードネームの核実験を実施し、世界で6番目の核保有国となった。


イスラエル編集

核兵器を保有している事について肯定・否定もしていないが、国内からの内部告発などで確実視されており、1979年9月に南アフリカと共同してインド洋で核実験を実施したと言われている(ヴェラ事件)。2023年10月にガザ地区へ侵攻した時、同年11月に閣僚のアミハイ・エリヤフ遺産相が核兵器の使用を進言していた事から、ネタニヤフ首相から職務停止処分を受けた。


パキスタン編集

1998年5月にインドに対抗して核実験を実施し、世界で7番目の核保有国となった。


北朝鮮編集

2006年7月に核実験を実施し、世界で8番目の核保有国となった。


日本の核開発・核武装論編集

第二次大戦時に陸軍で「ニ号研究」、海軍で「F研究」という核開発計画が行われていた。


戦後、日本はアメリカと同盟関係になりその核の傘に守られる状況になった。


1967年12月に佐藤栄作首相(当時)が表明した非核三原則と、1970年2月に署名した核不拡散防止条約に基づいて核兵器の保有が禁止されている。


一方、在日米軍であれば艦船に核弾頭弾を搭載して日本国内に寄港させている疑惑があったり、アメリカ統治時代の沖縄には核弾頭型巡行ミサイルが配備されていた事がある。


今でも真相は不明のままだが、2017年11月に参議院から在日アメリカ軍が沖縄に核兵器を貯蔵している疑惑が取り上げられていた。


日本自体の核武装論も戦後ずっとあるものの、全く進展がない。


関連項目編集

  • ストックホルム国際研究所(SIPRI)

1964年8月にスウェーデンのターゲ・エルランデル首相が発案し、1966年5月に首都のストックホルムに設立された国際平和研究機関。紛争・武器・軍備管理・軍縮などの研究を専門としており、2017年5月に広島県はここと連携協定を締結した。


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