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概要編集

東欧に位置する平原の国。チェルノーゼムと呼ばれる肥沃な土壌に恵まれた欧州の穀倉地帯である。首都キーウ(ロシア語名キエフ)。


人口はおよそ4500万人。そのうち8割をウクライナ人が占め、ロシア人が2割ほど住んでいる。その他、クリミア・タタール人、ハンガリー人、モルドバルーマニア人、ユダヤ人などがいる。


東欧ではロシアに次ぐ大国であるものの、中世から常に周辺国の蹂躙を受け、ロシアをはじめとする周辺の大国の影響下に置かれた歴史がある。


2022年2月24日のロシアによる全面侵攻後の動向は、ウクライナ侵攻を参照。

言語編集

スラヴ語派ウクライナ語を公用語としている。ウクライナ語はロシア語・ベラルーシ語と同様東スラヴ語群に属するが、西スラヴ語群のポーランド語からの借用語が多く、発音もロシア語よりもポーランド語に近いと言われる。


ロシア語も広く通用し、特に東部のドンバス地方ではロシア語が第一言語となっている。ウクライナ憲法においてはロシア語を含めた非公用語の使用を保護することが定められているものの、2014年のロシアによるクリミア侵攻以降、ウクライナ語の使用を強化する傾向が強まった。さらに2022年のウクライナ侵攻後は、ロシア系ウクライナ人ですらロシア語を使うことを憚るようになっている。


他の旧ソ連諸国と同様、英語はほとんど通じない

歴史編集

起源編集

古代においてはスキタイ人の故地(ヘロドトス『歴史』)としてしられ、南部やクリミア半島などにギリシャ人の植民都市が存在した。

かつて9世紀後半にキエフ大公国が存在し、ルーシの中心であった。しかし、12世紀以降急速に諸公国に分裂し、さらにもともと遊牧民がいきかう土地の一つであることも相まって、大半の地域がモンゴル帝国の分国、キプチャク・ハン国の支配を受ける。

成立編集

15世紀から軍事的共同体・コサックがいくつも形成され、自治を有していた。それ以降は、北西部をリトアニアポーランド連合が支配下に置き、さらに16世紀以降は北東部からロシア帝国も進出、徐々に黒海までを制圧し、さらに18世紀のポーランド分割以降は後のほぼ全土を支配した。

その後、炭鉱を有するドネツ地方を中心に工業が発展し、ロシアにとってのヨーロッパ側不凍港たるオデッサやヤルタを有するなど、ロシアにとっての重要地域とみなされていく。

ロシア帝国滅亡後に独立したが、ロシア新政権の赤軍の侵略を受け、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国としてソ連に統合された。

独立編集

1991年のソ連崩壊後、ウクライナは民主主義国家として独立したが、以降もロシアの影響を強く受け、西欧とロシアの間で揺れ動いている。

混乱編集

2004年に大統領選挙の混乱から「オレンジ革命」が勃発。2006年にユーリヤ・ティモシェンコが初の女性首相として就任。2013年EU編入を巡って親露派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領率いる政権と米国が支援する親欧米派が対立し国を二分する騒乱に発展。


2014年にヤヌコーヴィチがロシアに亡命して政権は親欧米派に代わるが、この機に乗じてロシアがクリミア半島クリミア自治区に軍事介入し、「クリミア共和国」として分離独立させてロシアに帰属。この対応をめぐって欧米諸国も巻き込んだ騒動に発展、さらに東部地域ではロシア編入を掲げて親露派が一方的に独立宣言し、暫定政権の大統領選挙を阻もうと混乱が広がり国家分裂の危機に。


2014年の大統領選挙にてペトロ・ポロシェンコが勝利し、脱ロシア政策をとった。しかし、汚職は減らない上分離独立を宣言したドンバス地方のドネツク人民共和国ルガンスク人民共和国との内戦も泥沼化したため、支持率は低下。2019年の大統領選挙においては、ユダヤ系ウクライナ人のお笑い芸人だったヴォロディミール・ゼレンスキーが、圧倒的多数で当時の大統領のポロシェンコを破り、第6代大統領に就任している。

ロシアとの関係編集

ウクライナとロシアは、ベラルーシとともに東スラブ系国家であり兄弟といっても差し支えの無い同質性を有してきた。現在でもウクライナ人は、多くの生活様式や食文化などに若干の違いはあってもロシア人と多くの共通点を持ち、国民の大半が習熟度に個人差はあるが公用語であるウクライナ語あるいはロシア語を母語とし、相手や状況に合わせて両者を使い分けることができるバイリンガルとされる。

このような民族的つながりはあるものの、ロシアは帝政期よりウクライナは自国を下に位置づけられてウクライナ語の抑制政策を続けられてきた。

ソ連時代編集

ソ連時代にはホロドモールと呼ばれる人為的な大飢饉を引き起こして多くのウクライナ人を死に至らしめた。これは政治主権がロシア側に集約するシステムの元ウクライナ全土から穀物を集め、飢餓輸出(自らが食べる分の穀物すら輸入に回す行為)で外貨を稼ぎ、大規模工場などの建設に割り当てる事で国力増強を謀った。働いた成果を賃金としてもらう前に持ち去られ、なんの報酬も得られないまま次の労働に駆り出される日々にウクライナ全土が苦しめられた。それ以前から東ヨーロッパ全域で旱魃や不作で大規模な飢餓が発生したところに無茶のある農業改革、革命による帝政ロシア側との戦い、主権回復を掲げて各地の民族運動から発した内戦も重なり、これによりかねてより食糧難に陥っていたウクライナは約400万人が死亡した。


これは一国の主権が蹂躙され、他国の思惑によって数え切れない人々が意図的に飢え死にさせられた行為であるとして、現代のウクライナではホロドモールをジェノサイドだと主張し、アメリカやポーランド、バチカン市国などもこれに同調している。国連やEU、ユネスコなどは一段階引いて「人道に対する罪」としており、当国ロシアもこれを認めているが「ウクライナに限った話ではない」として「ロシアやカザフ、他地域多民族に渡り苛まれた」と条件付きのコメントを残している。

東西編集

一般的に西スラブ人国家との関係が深い西部ではウクライナ語が主に話され、東方典礼カトリック教会とウクライナ正教会を信仰する人々が多く、東部ではロシア語がメイン、宗教はウクライナ正教会が主流と説明される。地域によって親EU・親米派と親露派がはっきり分かれる特徴があり、両者は対立と妥協を繰り返してきた。

しかし、クリミア侵攻以降クリミア全域とドンバス地方という親露派の中心的地域をロシアが勢力下においたことで、その均衡は崩壊した。ロシア語がかつてない強度で公共の場から排除されるようになり、東部でもソ連時代を経験していない若年層を中心に、ロシアへの反感とEUへの接近を望む風潮が顕著となった。さらに、ウクライナ侵攻後のロシア軍の蛮行は、もともと親露的であったロシア系住民ですら、ロシアへの嫌悪感を煽りウクライナ人としての意識を強める結果となった。

原因編集

原因としては色々あるが、ロシアが元々低価格で販売していたガス代金の滞納を2004年からずっと続いており、これが最終的に18億ドル以上にもなっていた。加えてロシアに対して30億ドルの負債があり、西側陣営への投資がほとんど失敗に終わっていた。ウクライナもまた東西の周辺国を巻き込み、泥縄の様な政治を長年続けており、ロシアはそのウクライナの不始末を口実としたのである。

国歌編集

  • 【ウクライナ国歌:『ウクライナは滅びず(Ще не вмерла України)』】

愛国歌編集

  • 【ウクライナ愛国歌:『ああ野の赤いガマズミよ(Ой у лузі червона калина)』】

経済編集

ソ連時代以来の製鉄業、軍需産業などの鉱工業も盛んだが、「ヨーロッパのパン籠」と呼ばれる豊かな土壌を活かした農業が有名で、全労働人口の2割がこれに従事する。8割以上の大学進学率を誇るなど優秀な労働力はそろっているのだが、オリガルヒと呼ばれる政府と癒着した新興財閥の影響で政治・経済面の停滞が著しく産業が育たないため、ヨーロッパでも最貧国に位置する。


ティモシェンコとポロシェンコはそれぞれガス輸入業と製菓業で成功を収めたオリガルヒであり、ヤヌコヴィッチはオリガルヒではないがドンバス地方における最大の産業である石炭業界の後押しを受けていた人物である。

こうした事情から高等教育を受けた人材が働ける場所が限られるため欧米やロシアに移住して働く若者も多い。


一般的にソ連時代の産業振興で製鉄業を核とする工業化が進んだドンバス地方の富を、それ以外の地域が吸い上げていくことに対する不満がドンバス地方の分離独立の一因になった、ともされるが老朽化したドンバスの石炭産業は政府の補助金で延命されていたのが現実であり、紛争の影響もありドンバス市民の年金や生活インフラを支えているのはロシアという状態になっている。世論調査では、ドネツク市民の6割以上がウクライナへの復帰を望んでいると回答している。

文化編集

ウクライナの最も一般的な民族衣装として「ヴィシヴァンカ(вишиванка)」がある。首元や胸元、襟等様々な場所に刺繍が施されている事が特徴だが、これには飾りとしてだけではなく魔除けとしての意味も込められている。一般的に、刺繍は全て手作業で為されている為、一つとして同じ模様は無いとされる。ウクライナは歴史的に様々な国から影響を受けてきたので、地域によって着こなし方や刺繍の模様が大きく違うのも特徴である。

五月の第三木曜日は「ヴィシヴァンカの日」とされ、人々はヴィシヴァンカを着てお祝いする。

また、未婚の女性は「ヴィノク」と呼ばれる花冠を被る。此方もヴィシヴァンカと並んでウクライナを代表する民族衣装の一つとされる。

スポーツ編集

一番盛んなのはサッカーで、2012年にはポーランドと欧州ナショナルチームの国際大会「UEFA Euro」を共同開催したこともある。

クラブチームでは「ディナモ・キエフ」、選手個人ではイタリアの名門ACミランに所属し、バロンドール受賞もした「ウクライナの矢」ことアンドリー・シェフチェンコ、現役選手ではイングランド・プレミアリーグのアーセナルFCに所属するオレクサンドル・ジンチェンコが有名。


格闘技大国でもあり、ボクシングでは現キーウ市長ビタリ・クリチコはじめ何人もの世界王者を輩出している。多くの格闘家がウクライナ侵攻に際し帰国して国土防衛に従事しており、その中でロシア語話者であり、政治的な発言を避け続けてきたことからウクライナ民族主義者から嫌悪されてきたワシル・ロマチェンコオレクサンドル・ウシクの郷土防衛隊への入隊は驚きをもって迎えられた。

著名人一覧編集

関連キャラクター編集

AxisPowersヘタリア』に登場するキャラクターについてはこちら→とばっちり子


ナターシャ(ズヴィズダー)

トカマク・ロブスキー(聖戦士ダンバイン)

千代田桃(まちカドまぞく)

ユーリ(仮面ライダーセイバー)※公式のプロフィールによればキエフ大公国の生まれ

マキリ・ゾォルケン(Fate/Staynight)

エレナ・ブラヴァツキー(Fate/Grandorder)

マリア・カデンツァヴナ・イヴセレナ・カデンツァヴナ・イヴ(戦姫絶唱シンフォギア)

ナスターシャ・ロマネンコ(メタルギアソリッド)

マリア・タチバナ(サクラ大戦)

ウクライナ・カラー編集

ウクライナの国旗 (Wikipedia) に見られる配色、すなわち青色黄色、もしくはその配色の由来のように考えられている(実際は中世ルーシ王国国章に由来する)青空麦畑の色が、ウクライナ・カラー / ウクライナカラー (tag) と認識されている。

また、現在の配色こそ「青色と黄色」であるが、古くは「水色と黄色」の組み合わせであり、現在でも国旗以外ではこちらの配色を採用している例がいくつもある。そのこともあって、歴史に詳しい人や、スポーツ選手ユニフォーム・デザインに見られる国旗にちなんだ配色などを知っている人なら、「水色と黄色」という配色のほうがイメージしやすい。

以下は、pixivにおける該当例。結構かけ離れている配色でも、色合いや意味合いが近ければ連想される。


守望者【AI】麦と槍【midjourney】麦畑無題H2 Hybrid Airliner 水素ハイブリッド旅客機五条悟/ウクライナカラー

関連項目編集

 ヨーロッパ 東欧

キーウ チョルノービリ クリミア ドンバス

ウクライナ人 ペトロ・ポロシェンコ ヴォロディミール・ゼレンスキー


ウクライナ侵攻

ウクライナへの人道支援のための銀行口座詳細

  • 寄付口座

銀行名:三菱UFJ 銀行

支店名:広尾支店(支店番号:047)

口座種類:普通口座

口座番号:0972597

口座名義:エンバシーオブウクライナ

※在日ウクライナ大使館の電話番号:03-5474-9770

  • ウクライナ軍に寄付をしたい方々のために、ウクライナ中央銀行が特別口座を開設しました。クレジットカードから送金できます。

※詳細についてはウクライナ中央銀行(National Bank of Ukraine)英語版公式ウェブサイトを参照。

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