概要
ソビエト連邦の崩壊(ソビエトれんぽうのほうかい、ロシア語:Распад СССР)は、1991年12月13日に党が解散したのを受けてソ連を構成する12か国の共和国が独立を宣言し、同月25日にゴルバチョフが大統領を辞任して解体され、連邦制の社会主義共和国が事実上崩壊した事件である。
概説
ソ連は高度に中央集権的な連邦制の社会主義共和国でありながら、様々な民族の母国として機能する多くの共和国から構成されていた。1991年12月にソ連から幾つかの構成共和国が脱退し、中央集権が崩壊する中でロシア・ウクライナ・ベラルーシの指導者が、同月にベロヴェーシ合意で「ソビエト連邦はもはや存在しない。」と宣言した直後に8か国の共和国がこの宣言に参加した。
同年8月に党内の保守派と軍部のエリートがゴルバチョフを打倒し、失敗していた改革をクーデターで阻止しようとしたが失敗した。この混乱でゴルバチョフ政権はほとんど影響力を失い、その後は数か月で多くの構成共和国が独立を宣言し、同年9月にバルト3国の分離独立が承認された。
12月8日にロシアのボリス・エリツィン大統領、ウクライナのレオニード・クラフチュク大統領、ベラルーシのスタニスラフ・シュシケビッチ議長によって、互いの独立を認めてソ連に代わる独立国家共同体(CIS)を創設するベロヴェーシ合意が調印された。
16日にカザフスタンが独立を宣言してソ連から脱退した最後の国となり、21日にグルジアとバルト3国以外の旧ソ連諸国がCISに加盟してアルマ・アタ議定書に調印した。25日にゴルバチョフは大統領を辞任し、核兵器の発射コードを含む大統領の権限をエリツィンに譲渡して初代ロシア連邦大統領となった。その日の夜にクレムリンからソ連国旗が降納され、君主制時代に使用された白・青・赤の3色旗に切り替わり、翌日に最高会議上層部の共和国会議が連邦を正式に解散した。
崩壊する前後に独立した国
崩壊によって独立した12カ国
国名 | 独立宣言 | 独立承認 | 備考 |
---|---|---|---|
ロシア | 1991年12月12日 | 1991年12月26日 | |
ウクライナ | 1991年8月24日 | 1991年12月26日 | |
ベラルーシ | 1991年12月10日 | 1991年12月26日 | |
モルドバ | 1991年8月27日 | 1991年12月26日 | |
トルクメニスタン | 1991年10月27日 | 1991年12月26日 | 1995年12月に国際連合総会で永世中立国としての地位を承認された。 |
ウズベキスタン | 1991年8月31日 | 1991年12月26日 | |
キルギス | 1991年8月31日 | 1991年12月26日 | |
タジキスタン | 1991年9月9日 | 1991年12月26日 | |
カザフスタン | 1991年12月16日 | 1991年12月26日 | |
グルジア | 1991年4月9日 | 1991年12月26日 | 2015年4月にジョージアに改称した。 |
アルメニア | 1991年9月21日 | 1991年12月26日 | |
アゼルバイジャン | 1991年8月30日 | 1991年12月26日 |
崩壊する前に独立した3か国
国際連合での地位
1991年12月24日にロシアのボリス・エリツィン大統領は国際連合のハビエル・ペレス・デ・クエヤル事務総長に対し、安全保障理事会を初めとする国際連合機関でのソ連の地位は、独立国家共同体の11か国の支持を得てロシア連邦が継承した旨を伝えた。
1945年10月にウクライナ・ソビエト社会主義共和国と白ロシア・ソビエト社会主義共和国は、既にソ連と共に原加盟国として国際連合に加盟していた。両国はそれぞれ1991年8月と同年12月に独立を宣言しており、前者は8月24日にウクライナ、後者は9月19日にベラルーシ共和国と改称したと国際連合に報告し、その他にも以下の12か国の独立主権国も全て国際連合に加盟した。
- 1991年9月17日
エストニア・ラトビア・リトアニア
- 1992年3月2日
トルクメニスタン・ウズベキスタン・キルギス・タジキスタン・カザフスタン・アルメニア・アゼルバイジャン・モルドバ
- 1992年7月31日
グルジア(当時)
崩壊の要因
2015年3月に出版された冷静終結の真実と21世紀の危機では、軍事費の使い過ぎである事が語られた。ラジオスプートニク(同年7月10日の記事)では「ソ連崩壊の要因になったのは中央政府の官僚主義である。」と語り、更に「中央政府の利害及び公式イデオロギーが、ソ連市民の大半及びソ連を構成する諸共和国の利害及び世界観とどんどん乖離していった為である。」と報道した。
関連タグ
ソ連が崩壊した事に伴って公式に公開されたアメリカのソ連に関連する機密文書。
関連項目
- ゴルバチョフが語る。冷戦終結の真実と21世紀の危機(NHK新書)
- EU崩壊はいつ?そして何故起こる?(ラジオスプートニク・2015年7月10日の記事)