概要
国際連合安全保障理事会(こくさいれんごうあんぜんほしょうりじかい、英語:United Nations Security Council、UNSC、読み:ユナイテッド・ネーションズ・セキュリティ・カウンシル)は、国際連合に存在する機関。安保理と省略される事が多く、国際連合にある6つの主要機関の中で、唯一決議が法的拘束力を有する事実上の国際連合の最高意思決定機関である。
システム
15か国の国際連合加盟国で構成され、議長国は月替わりで務めるが、国名の英語名のアルファベット(ラテン文字)順に回っていく。
安保理常任理事国
国際連合憲章第23条1項の規定により、アメリカ合衆国・イギリス・フランス・ロシア連邦・中華人民共和国が務め、この5か国は依然として核保有国である。特に中華人民共和国は1971年10月にアルバニア決議で中華民国から、ロシア連邦は1991年12月にソ連が崩壊してそれぞれ権利を継承した。ただしその条項には安保理常任理事国として「中華民国」と「ソビエト連邦」の名前が未だに残存しており、「中華人民共和国」と「ロシア連邦」は全く存在していない。
非常任理事国
総会の選挙で選出され、3分の2が賛成して決定するが、条件を満たさない場合は何度でも選挙がやり直される。非常任理事国の任期は2年で、西ヨーロッパは2か国・東ヨーロッパは1か国・アジア太平洋は2か国・中南米は2か国・アフリカは3か国と割り振られる。ちなみに日本は非常任理事国の中では12期目に突入するなど、最多年数で理事国を務めている。
安保理常任理事国の特権
最大の特権である拒否権を行使できるが、1か国でも行使されると決議が無効になる為、安保理常任理事国自体が国際法に違反しても安保理は事実上何もできない。解任するには国際連合憲章を改正する必要があるが、これも安保理が決定する事なのでそれもあり得ず、この特権が問題視されている。特に冷戦時代は何度も拒否権が行使され、国際連合がしょっちゅう機能不全に陥っていた。
安保理常任理事国の国際連合大使
緊急時の対応を迅速に取る為、任期中は国際連合の本部に常駐する事が義務付けられる。
国名 | 現在の大使(2023年9月時点) | 就任した日 |
---|---|---|
アメリカ合衆国 | リンダ・トーマス=グリーンフィールド | 2021年2月 |
イギリス | バーバラ・ウッドワード | 2020年8月 |
フランス | ニコラ・ド・リヴィエール | 2019年7月 |
ロシア連邦 | ワシリー・ネベンジャ | 2017年7月 |
中華人民共和国 | 張軍 | 2019年7月 |
ロシア・ウクライナ戦争
2022年2月にロシア・ウクライナ戦争が発生した時、その非難決議にロシアが拒否権を行使した事で否決された。この事態を受けて同年4月に総会では、拒否権を行使した国に総会での説明義務を設定する事となったが、当然それにも法的拘束力は無い。