概要
敵国条項(てきこくじょうこう、英語:UN Enemy State Clause)は、国際連合憲章の条文の内、第2次世界大戦中に連合国の敵国であった国(枢軸国)に対する措置を規定した第53・107条と、敵国について言及している第77条の一部の文言を指す。国際連合憲章には条文こそあるが、どの国を対象国としているかまでは記されていない。日本政府の見解としては、第2次世界大戦の時に連合国に対して枢軸国として交戦した国が対象とされている。
対象国とされている国
日本政府の見解では日本・ドイツ・イタリア・ブルガリア・ハンガリー・ルーマニア・フィンランドが対象だとされている。タイ王国のように一時的に連合国と交戦したり、オーストリアのように当時はドイツに併合されていた国は含まれないとされるが、枢軸国によって建国・隷属・衛星国状態にあった国も対象外である。ただしクロアチア・スロバキア・ミャンマーは連合国に対して宣戦布告・戦闘行為を行っているが、連合国はこれらの国を承認していないので対象外である。
現状
1995年9月に国際連合総会決議によって死文化した条項と認識されているが、未だにこの条項は削除に至っていない。これは国際連合憲章が条約に該当する為、加盟国(つまり独立主権国と承認された地域)の採決・批准などの複雑な手続きが必要な為である。これが本来の理由だが、実際に戦勝国は度々この敵国条項を持ち出しては敗戦国に威圧を掛けている。