黒海に面したコーカサス地方の国家、ジョージアの日本語表記における旧称。
語源
ロシア語の外国語呼称である「グルジア(Грузия)」もペルシアに起源を持ち、ペルシア語のゴルジェスターン(گرجستان)に由来している(トルコ語でGürcistan、グルジスタン。オセチア語でГуырдзыстон、グウィルジストン。モンゴル語ではГүрж、ギュルジ)。
ロシア語の名前は、イグナーチイ・スモールニャニンの旅行記の中で、「グールジ(гурзи)」として最初に現れている(1389年)。
А въ церковь ту влѣзщи, ино направѣ Гурзійскаа служба, Гурзіи служатъ.
「そこには教会と、グールズの典礼があり、グールジの人々が仕えている」
(『エルサレムの旅』)
アファナーシイ・ニキーチンはグルジアを「グールズィンスカヤ・ゼムリャー(Гурзыньская земля、グールズィンの地)」として呼んでいる(1466-72)。
(Макс Фасмер, «Этимологический словарь русского языка», vol. 1, p. 464.)
Да Севастѣи губѣ, да Гурзынской земли добро обилію всѣм; да Торская земля обилна.
「そして、セヴァスティアでは、グールズィンの国では、あらゆるものが豊かであり、トルスクの国は豊かである」
(『三洋の向こうの旅』)
結果として、「グールズ("Gurz")」が「グルーズ("Gruz")」に、最終的に「グルージヤ("Gruz-iya")」への変化が生じた。
伝播
いくつかのスラヴ地域(ブルガリア、ベラルーシ、ウクライナ、ポーランド、チェコ、スロバキア、セルビア、クロアチア、、スロベニア、マケドニア、)に伝わり、歴史的にロシア帝国と接していた他の地域(バルト三国、ハンガリー、中央アジア、ウイグル、日本、韓国、中国)にも取り入れられることになった。
(Tbilisi Wants to Be Referred as 'Georgia' Not 'Gruzya'. Civil Georgia. June 27, 2011.)
名前の放棄
グルジア政府は2009年より、日本政府に対し国名表記をロシア語の「グルージヤ」に近い「グルジア」から、英語読みの「ジョージア」に変更するようたびたび要請していた。2015年4月に国名表記変更に関係する法律の改正案が衆参両院において、全会一致で可決され、同月22日より、国名表記がジョージアに変更された。
詳細は「ジョージア(国)」を参照。