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概要編集

ウクライナ国家親衛隊に所属する戦闘部隊であり、名称通りアゾフ海に面する都市マリウポリを本拠地とする。

隊の歴史的背景やそれをめぐる度々なされる議論から、総勢6万人の国家親衛隊にあってわずか1000人規模ながら最も著名な部隊である。


経歴編集

元々はウクライナ第二の都市ハリコフのサッカークラブである「FCメタリスト・ハルキウ」の過激なサポーター集団Sect 82を起源に持つ。欧州のサッカークラブは、日本のそれよりも地域の財産であり象徴という地位を保持しているためサポーターは地域主義的傾向が強く、中には民族主義・排外主義極端な例ではネオナチ集団が出入りしていることは公然の秘密であり、深刻な社会問題でもある。

逆に言えば、こうした傾向は場合によってはサポーター集団が強力な自警団・私兵集団に素早く転身する土壌があるという意味でもあり、これが後のアゾフ大隊結成に大きな影響を与えることとなった。


2014年に起きたロシア連邦によるクリミア半島占領を機にウクライナ東部がウクライナ政府と親露派組織の係争地と化すと、Sect 82はウクライナ政府側の自警組織として振舞い始めた。独立以後ウクライナでは、地域ごとにオリガルヒと呼ばれる新興財閥が実業家・政治家・篤志家として点在し、彼らの財産と地位を守るために私兵集団が存在していた。各地のオリガルヒとウクライナ政府は利害が一致し、ウクライナ政府はこれら私兵集団を内務省管轄の特別任務パトロール隊として取りまとめた、Sect 82もこの組織に組み込まれて「東部中隊」の母体となり、黒ずくめの兵装から"Black men"と呼ばれた。この「東部中隊」はドンバス地方の紛争地帯へ移動し、いくつかの組織と合流して「アゾフ大隊」を結成する。


後にアゾフ大隊は国内軍から改組した同内務省傘下のウクライナ国家親衛隊の一部隊となり、それまでの民兵組織から正規の訓練と地位を受けた軍事組織として活動することになる。ウクライナ侵攻では、本拠地マリウポリ防衛に従事している。

5月にマリウポリはロシア軍によって占領され、隊員も多くが捕虜となった。戦争前に情勢が混乱していたこともあり、アゾフ大隊はウクライナ全土に展開していたため残存部隊は再編成され、東部戦線での戦闘を継続している。


疑惑編集

アゾフ大隊はナチズム由来のエンブレム、露骨な白人至上主義思想を持っていた初期指導者層、ドンバス戦争における戦争犯罪に関わった疑惑からしばしばロシアなど反対勢力からは「ネオナチ集団」と非難されている。これに対し、ウクライナ政府側は国家親衛隊に組み込まれる過程で過激思想を持つメンバーは追放されてゆき通常の軍事組織として生まれ変わっている、スポンサーや隊員には少なからずユダヤ人がおり、隊員の6割はロシア語を日常的に話すロシア語話者であることからそうした疑惑を否定している。


関連タグ編集

ウクライナ 軍隊

右派セクター:同じくウクライナの極右勢力。民兵組織を保有しているが知名度はいま一つ

スパルタ大隊カディロフツィワグネルベルクト:親露派民兵組織。アゾフ大隊とは何度か戦闘を行ったことがある。

Azov-chan/アゾフちゃん:アゾフ大隊の萌え擬人化キャラ。2021年には既にイラストが描かれていたことが確認されている。派生キャラも存在。

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