概要
正式なタイトルは『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)。
米ソが激しく対立する冷戦の最中、反共主義者のアメリカ空軍准将ジャック・D・リッパーが妄想に取り付かれ、指揮下にあるB-52戦略爆撃機の部隊に対しソ連への核攻撃を勝手に命令し、自らが司令官を務める空軍基地に立て籠もってしまった。米政府や軍の首脳らはソ連大使も招いて直ちに対策を協議するが、爆撃命令を取り消すための暗号は当のリッパー准将しか知らない。さらに、核攻撃により全自動で作動する「皆殺し装置」なる報復兵器をソ連側が用意していたことが判明する。それが作動すると、全世界に大量の放射性物質がばら撒かれ、人類を含む地球上の全生物が死滅してしまう。
と、ここまで書けば非常にシリアスな内容のストーリーだと思えるかもしれないが、実はこの映画、超がつくほどのブラック・コメディなのだ。ドイツ出身のストレンジラヴ博士が何度も大統領を総統と呼び間違え、おまけに右手が勝手に「ハイル・ヒトラー」をしたり、自販機を銃で撃った兵士が顔面にコーラを浴びたり、ネタバレになるがとうとう水素爆弾が投下されてしまう場面に至っては…
当時世界が恐れていた核戦争の恐怖を、皮肉とブラックなユーモアで笑い飛ばしている。
タイトルだが、原題「Dr. Strangelove」 とは登場人物「ストレンジラヴ博士」のことであり、直訳すればそのまま役名が邦題となるのだが、それでは何の事か分からなくなる事から、配給会社はタイトルを変えようとするが、スタンリー・キューブリックが「映画名は変えてはいけない、もしくは現地語の直訳以外認めない」とした為、それを逆手にとって「ドクター(博士の)ストレンジ(異常な)ラヴ(愛情)」と逐語訳を行っている。
日本語吹替について
DVDに収録された新録吹替では、主演で三役やっていたピーター・セラーズの吹替を三役とも山路和弘がやっていた。
ちなみに日曜洋画劇場版の吹替では、マフリー大統領を中村正、ストレンジラブ博士を大塚周夫、マンドレイク大佐を愛川欽也が吹替ている。(この日曜洋画劇場版の吹替は吹替洋画劇場シリーズ第二弾で出されていたが、再放送の短尺版が収録された)
pixivでの扱い
主に、本作品のタイトルでもあるストレンジラヴ博士を描いたイラストや、水素爆弾が投下される場面のコング少佐を別のキャラクターに置き換えたイラストが投稿される。