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イラスト中央の人物

解説

東京都出身。構成作家の町山広美。

かつては宝島社に所属していた名物編集者であり、洋泉社では『映画秘宝』を立ち上げ映画批評を行い、現在ではアメリカ合衆国政治文化を語るコラムニストとしても活動している。1997年よりアメリカ合衆国カリフォルニア州在住。

経歴

1962年7月5日生まれ。在日韓国人父親日本人母親を持つが、父親は4人の女性と子供を作るという男であり、まったく家に帰らず、韓国に関することは教わらなかった。

中学生のころに両親は離婚し、町山は日本籍に帰化する。この際、実の母からは「朝鮮人の子」となじられて折檻されるという理不尽な八つ当たりを受け、後の町山の人種差別に対する考えに影響した。

早稲田大学を卒業後、宝島社に入社。『宝島』誌で、みうらじゅんデーモン小暮根本敬らを担当した。特にみうらからは多大な影響を受けたという。社内では「バカの町山、または町山のバカ」で通っていた。

1989年、企画編集した『おたくの本』がベストセラーになり、「オタク」が日本語として定着する。

1995年、宝島社の子会社である洋泉社に出向。現在まで続く『トンデモ本の世界』や『映画秘宝』を立ち上げる。

1996年、『キネマ旬報』の副編集長とトラブルになり、編集部に乗り込んでパイ投げを行うという事件を起こす。責任を取るかたちで洋泉社を退社し、妻子とともに渡米。アメリカを点々していたが、1997年よりカリフォルニア州サンフランシスコに落ち着く。

極めて少ない回数だが、映画業界における民族的マイノリティについて書いた原稿で本名の町山智浩ではなく柳智浩というペンネームを用いた事が有る。(柳は韓国出身だった父親の姓)

人物

映画評論としては古典的なスタイルを採っており、時代背景や引用元、キャスト・スタッフの発言、逸話、フィルモグラフィといった周辺情報を調べ上げて綿密な解説を行う。これは「映画評論家だったら制作者の意図を正しく理解し、知識を駆使して論じるべき」という考えに基づく。子供のころに聞いた淀川長治の解説には感銘を受けたという。

蓮實重彦が提唱した「映画をその映画内に表現された内容のみで論じる」という"表層批評"とは敵対しており、しばしば蓮實周辺を批判している。ただし蓮實その人は町山に影響を与えた一人であり、尊敬もしている。むしろ、「蓮實重彦は『表層批評』と言いつつも、ちゃんと下調べを十分にやった上で批評していた」という趣旨の発言をするなど、蓮實重彦が提唱した「表層批評」というワードを表層的に解釈してしまった蓮實重彦フォロワーを批判している面も有る。

いわゆる「大人の事情」よりも自分の考えを優先し、言いたいことをハッキリ言うため辛口評論家に分類される。パイ投げ事件のような突飛な行動を取ることもあり、各方面に敵と味方が多い。戸田奈津子村上隆唐沢俊一秋元康の辛辣な批判者であり、本人に面と向かっての罵倒も辞さない。

テレビラジオを通してメディア露出する機会もあるが、着ぐるみ姿でニコニコと笑顔を振りまいたり、トーク中にユーモアを挟んだりと、お調子者としての一面も見せている。

思想的にはリベラル寄りの無神論者。アメリカで猛威を振るっている宗教保守に対しては、一貫して手厳しく批判している。

趣味嗜好はサブカルチャーロックンロールSFアクションエロを好む、いわゆる"男子中学生オタク"的であり、『映画秘宝』の編集方針にも強く反映されている。

同じく映画人である柳下毅一郎とは《ファビュラス・バーカー・ボーイズ》というコンビを組み、ガース柳下・ウェイン町山と名乗って対談形式で批評を行う。

その他、公開予定のない洋画を日本で観られるよう働きかけたり、日本語字幕を監修したりと、批評以外の業界人としての活動も増えている。

「進撃の巨人」に関しては、自身のファンだった原作者の諫山創の熱意に押されて(なお、その「熱意」の内容は断る町山の家に連日押し掛けた挙句、出版社の社長まで引き連れ「このままでは諫山の原稿が進まないのでどうかお願いします」と頭まで下げさせるものである)脚本担当に就任している。

あまりの人気作故に炎上しないように当初原作準拠のシナリオを諫山に見せたらしいが、諫山から「町山さんはこんな人じゃない。」「『原作通りに実写化する映画はクソ映画』って言ってた町山さんの内面を見せてください」と言われてしまった。一昔前とはいえ、自分の発言がブーメランとして返ってきた件は相当彼の心を抉ったらしく、「今の映画業界で死んでほしい奴は自分自身。」と自虐ネタにするほど。

それで出来た作品の試写もかなり微妙な雰囲気だったそうだが、諫山のみが大喜びで爆笑していたと言う(ライナーの元となった先輩も連れてきていたとか)

舌鋒鋭いことで知られる一方身内に対する批判には甘い面が見られ(彼自身に限った問題はない)園子温監督の不祥事に際し「在米の為知らなかった」と述べるなどしている。

ただし、ある時期以降は評判の悪い映画でも、あからさまにケナす事は少なくなり、例えば、「おっぱいバレー」や実写版の「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」「宇宙戦艦ヤマト」などの一般には駄作扱いされている作品にも「惜しい」という評価を下している。(むしろ「出来の悪い映画を罵倒する」のは、現在では町山智浩の元相方だった柳下毅一郎の「持ち芸」である)

また2021年6月、佐賀市内で65歳の男性がクッキーを万引きしたニュースに対して「たかが148円で警察を呼ぶな」とツイートし物議を醸しだしたこともある。

町山はこの件で大勢の人々に非難されてもまったく反省せず、「僕が店員だったら148円をレジに入れて終わりにする」「万引きに怒っている人は自民党支持者だ」「万引きよりももっと悪いことをしている連中を相手にしろ」などと失言を連発してしまい、火に油を注ぐ結果になってしまった。

また、能登半島の地震でパラシュート投下に拘り自説を曲げず失笑を買った。

著書

『アメリカ横断TVガイド』2000年

『映画の見方がわかる本 -「2001年宇宙の旅」から「未知との遭遇」まで』2002年

『底抜け合衆国―アメリカが最もバカだった4年間』2004年

『USAカニバケツ/超大国の三面記事的真実』2004年

ブレードランナー未来世紀 〈映画の見方〉がわかる本 -80年代アメリカ映画 カルトムービー篇』2004年

『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』2008年

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか 超大国の悪夢と夢』2008年

『アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲』2009年

『トラウマ映画館』2011年

『99%対1% アメリカ格差ウォーズ』2012年

『教科書に載ってないUSA語録』2012年

『本当はこんな歌』2013年

『トラウマ恋愛映画入門』2013年

『アメリカのめっちゃスゴい女性たち』2014年

映画関連

KICK-ASS』2010年/2014年 - 日本語字幕監修

アイアン・スカイ』2012年 - 日本語字幕監修

『テッド ted』2012年 - 日本語字幕監修

進撃の巨人』2015年 - 共同脚本

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