スタンリー・キューブリック監督・脚本によるSF映画作品及びアーサー・C・クラークのSF小説作品。
両企画は両氏が出し合ったアイディアを纏める形で制作された。今で言うところのメディアミックス作品に該当する。
映画版
映画には解説ナレーションが入る予定だったが、これはキューブリックの意向で全部カットされた。「語り草になるようなSF映画にしよう」という意図で、1度見ただけでは理解出来ない内容になっている。
最初は土星探査計画だったが、土星の輪を上手く表現出来なかった為、木星への旅になった。
「誰も見た事が無い宇宙人を登場させよう」という構想もあったが、全ての創作物は先人・天然自然の模倣から始まっている。誰も見た事が無いモノを描くのは不可能だという理由により断念し、人間が進化したスターチャイルドが登場している。
映画の製作にはIBMが協力して背景にコンピューター機材を沢山設置していたが、映画の内容が「コンピューターが反乱して人間を殺す」という事に気付いてから態度が変わり、映画に残りそうなIBMのロゴは削除された(消し忘れている部分もある)。
クラシック音楽が多用される事でも有名。真っ暗な宇宙空間を背景に「ツァラトゥストラはかく語りき」「美しく青きドナウ」が演奏される為、睡魔を誘う映画だという噂もある。
小説版、シリーズ展開
クラークが映画製作と並行して執筆した小説であって、原作ではない。
2001年に行われた木星探査計画における木星までの航海中に起きた事件を主軸としたSF小説として、もう少しわかりやすい内容になっている。
作品、及びシリーズ全体の主旨では無いが、主にサスペンスが話の主軸となっており、劇中の事件はその後様々な伏線として後のシリーズに登場する。
モノリスや軌道エレベーターなどのガジェットや人類の進化をテーマにした設定など後のSF作品に多大な影響を与えている。
- 「2001年宇宙の旅」
木星でスイングバイを行って土星を目指す内容になっている。その他にも映画版とでは細部が異なっているが、ボーマン船長が最後に辿り着いた小部屋が何だったのかが記されている。
映画版の続編として執筆された小説。
木星圏でディスカバリー号との交信が途絶えた原因を探りに行く為に、フロイド博士はソ連の宇宙船アレクセイ・レオーノフ号に乗り込む。一方、中国人が完成させていた宇宙船は、木星の衛星エウロパに生物が居る事を発見していた。無人で放棄されていたディスカバリー号のサルベージ作業中、ボーマン船長が宇宙の果てから帰還する。
後にピーター・ハイアムズ監督が、キューブリック・クラーク両名の許可を受けて映画化している(邦題は「2010年」、中国の宇宙船は登場しない)。現実のソ連は2010年には消滅していた。
木星が恒星化し、太陽系に二つの太陽が輝く時代。
フロイド博士は最新鋭の旅客宇宙船ユニバース号による、ハレー彗星着陸計画に誘われる。その一方、人類には着陸を許されていないエウロパを観察していた科学者の発見を巡り、ナゾの秘密結社が暗躍。ユニバース号の姉妹船ギャラクシー号は、乗組員を乗せたままエウロパに降下してしまう。フロイド博士は、太陽系最速宇宙船でもあるユニバース号の乗組員と共に、ギャラクシー号を救助する為にエウロパを目指す。
ボーマン船長の同僚フランク・プール副船長が宇宙に投げ出された後、氷結して漂流している姿が冥王星付近で発見された。
遠未来の超科学力で蘇生したプールは、軌道エレベーターが実用化され、今では金星のテラフォーミングが実行されている未来世界に順応していくと共に、エウロパに赴いて旧友ボーマンと再会する。ボーマンは、地球圏にモノリスを仕掛けていた黒幕の正体を掴みつつあった。
登場人物
- デヴィッド・ボーマン船長
「ディスカバリー号」の船長。徹底した秘密主義により、当初は真の目的を知らされていなかった。たった1人でHAL9000に立ち向かい、木星圏でTMA-2を発見。やがて人間を超越したスターチャイルドとなり、後のシリーズにも登場する。
「ディスカバリー号」を制御する会話型コンピューター。徐々に間違いを犯すようになり、ボーマンとプールは不安を感じていく。
- フランク・プール副船長
ボーマン船長の同僚。HAL9000の企みにより、船外活動中に宇宙へ放り出される。
- ヘイウッド・R・フロイド博士
「ディスカバリー号」ミッションの上官。映画版では冒頭から登場し、テレビ電話で少女と会話。
- R. チャンドラ博士
HAL9000を開発した科学者。「2010年」では殺人容疑のかけられたHAL9000と対決する。
地球外知性(宇宙人)によって創造されたナゾの物体。
人類の祖先。インテリジェント・デザイン仮説の体現者である。
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EXA-DB・・・「過去の大戦争で使われた悪魔的な兵器群の情報保管庫/不正侵入者はロボットが抹殺する」という施設は「3001年終局への旅」にも登場する。