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解説編集

映画黄金期、特撮と言えば東宝がほとんどを制作していたが、大映をはじめとする他の映画会社にも特撮スタッフが所属しており、いくつか特撮を使用した映画を発表していた。

一時期東宝を公職追放になった円谷英二も参加し、ここでミニチュア制作の技術指導をしていた。


しかし東宝が特撮を前面に押し出した作品を売りにしているのに対して大映はリアルさを求められ、特撮スタッフもミニチュア特撮を使用したシーンもそれとばれないように撮ることを自負している半面、サスペンス映画のトリックや怪談映画の演出の添え物や爆破シーンやカーアクション等のアクション映画のフォローという側面が強く、映画における扱いも低かった。


ちなみに最古の大映特撮映画で確認されているのは、1944年の『かくて神風は吹く』で、特撮パートの撮影は東宝のスタッフが担当した。


そんな中特撮を前面に押し出したSFパニック映画『大群獣ネズラ』を企画したのだが、諸々の事情でとん挫、代替企画として東京撮影所で『大怪獣ガメラ』が制作された。

ガメラはヒットによりシリーズ化、京都の撮影所でも『大魔神』が製作され、東宝でもやらなかった特撮映画の二本立て公開をした。東京撮影所と違って京都撮影所には特撮課が存在せず、特撮の撮影や現像も本編撮影の担当者が行ったり、ミニチュアを時代劇を担当した左官屋に依頼し、これが作品のリアリティを生み出した。東京撮影所と京都撮影所は仲が悪かったためスタッフの行き来が少なかった。


だが大映は特撮部門と本編部門の相性が悪く、社に理解の無いものが多かったために特撮スタッフが他社に移っていき、社も映画の斜陽に伴い倒産した。

後に大映は徳間書店によって経営再建され、再び映画を公開。特撮映画も発表されるも配給は東宝や松竹東映、特撮スタッフも自社ではなく東宝所属の面々だった。それは、KADOKAWAに吸収されても同じだった。


大映の東京撮影所は円谷プロダクション東映特撮がTV特撮作品を撮影するのに使用されたこともあった。


作品の傾向編集

前述のようにサスペンス映画のトリックや怪談映画の演出として用いられることが多く、大映の社長が内縁で社を固めようとしたこともあって、東宝のように外からSF作家を招いて企画に参加させることもなかったのでSF作品は少ない。


ガメラシリーズの監督だった湯浅憲明曰く「大映はキャラクターによるシリーズ物は苦手」と評するように、シリーズで作品が作られても長く続きにくい傾向があった。


主な作品編集

 ●妖怪百物語

 ●妖怪大戦争

 ●東海道お化け道中


:SF・怪奇もの

楳図かずお原作。原作者本人もカメオ出演している。

  • 虹男

:白黒作品だが幻影シーンはカラーで、ノークレジットで円谷も参加。1990年代にソフト化された時に、紛失したカラー映像は当時のスタッフの監修を受けて復元し封印を免れた。

  • 透明人間現る

:透明人間もののサスペンス。円谷はこの作品の出来で大映への入社を検討するも、入社はとん挫した。

  • 透明人間と蝿男

:同じく透明人間もの。ただし本作の透明人間は、警察に協力する善玉であり、殺人鬼「蝿男」と対決する変わり種な内容。東宝のNG企画だった『透明人間対火焔人間』にも、影響を与えている。

  • 幽霊列車
  • 妖婆

芥川龍之介原作


:冒険・活劇もの

:二作作られた。孫悟空役は坂東好太郎。

 ●西遊記

 ●大あばれ孫悟空

  • 透明天狗

:時代劇だが、主人公が透明人間である事が特徴。

  • 透明剣士

:同じく透明人間ものの時代劇。こちらは若干コメディ仕立て。

  • ブルーバ

:スペクタクルもの

  • 大江山酒天童子
  • 妖僧
  • 鉄砲伝来記
  • 日蓮と蒙古大襲来

日蓮の生涯を描いた映画。大映再建後に「日蓮」のタイトルでリメイク、本作の特撮映像も流用されている。

:70ミリ立体音響システムで描かれた。全高28mの大魔像、全長60mの橋などの巨大オープンセットを組み、撮影している。

  • 秦・始皇帝

:70ミリスペクタクル映画の第2弾。全長6Km、高さ8~10mの万里の長城セットで撮影され、20万人のエキストラが動員された。上記二作とも、勝新太郎主演。タイトルは「秦の始皇帝」ではないが読み方は同じ


:戦争もの

  • あゝ海軍
  • あゝ零戦
  • あゝ陸軍隼戦闘隊

:文学もの

三島由紀夫の「金閣寺」の映画化。諸事情によりタイトルを変更した。


:TVシリーズ


関連項目編集

ガメラ怪獣

ピープロダクション…一部大映の特撮映画制作に関わっている

エキスプロ…旧ガメラの特撮スタッフが立ち上げた

国際放映…退社したスタッフがこの社の作品に参加している

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