「巨人の神秘の前に憎しみや争いもくだらないよ」
プロフィール
概要
『進撃の巨人』の登場人物。
故人。ジーク・イェーガーの先代である「獣の巨人」の継承者で、ジークは「クサヴァーさん」と呼んで慕っていた。
初登場はグリシャ・イェーガーの手記である86話で、彼ら兄妹に「危ないぞ」と声をかけた人物である。
その後、マーレ編にてジークが回想する形で人物の詳細が描かれた。
人物・来歴
眼鏡をかけた穏やかで優しげな男性。マーレ配下のエルディア人。「獣の巨人」の力を持つ「マーレの戦士」ではあるが非戦闘員であり、本業は巨人学の研究者である。巨人の力を継承したのも研究のためであり、巨人の謎を解明しようとしていた。調査兵団のハンジ・ゾエとは立場や方向性こそ違うが、同じく知的好奇心と探究心に溢れた学者肌の人物。
野球が好きらしく、よく壁当てをしていた時にジークと出会い、キャッチボールなどで交流を持つようになる。
両親であるグリシャ、ダイナからエルディア人復権のための過度な期待と厳しい教育を受けていたジークにとってもう一人の父親のような存在であり、深く信頼していた。
しかしジークの成績は伸び悩み、マーレの戦士に選ばれる可能性が遠のいてしまったことでジークは両親からより辛く当たられるようになる。
そんな中グリシャらエルディア復権派に検挙の魔の手が直ぐ迫っていることを盗み聞いてしまったジークは、泣きながらクサヴァーに両親の反乱計画を打ち明ける。両親が捕まれば自分も巨人兵器として「楽園送り」になることを覚悟したジークは「巨人になってもクサヴァーさんのことは忘れない」ことを告げた。
クサヴァーは悩んだ末に、ジークに対し両親を告発することを勧める。それはできないと拒否するジークに、「君と祖父母は助かる」「両親は君を勝手に利用し見放した、愛さなかったのだ」と説得した。
言うとおりにジークは両親を当局に密告。親を売るほどの忠誠心をマーレに評価され、現在の地位を得た。
数年後、クサヴァーは「ユミルの呪い」による13年の任期満了が近づいて体が弱り、キャッチボールをするのにも苦労するようになる。ある日クサヴァーはジークに対し、「始祖の巨人」が「ユミルの民」であるエルディア人の記憶を操作できるだけでなく、体の構造までも書き換えられることを話した。
これに対しジークは、「始祖の力があれば、エルディア人に子どもができないようにすることも可能なのではないか」「そもそもエルディア人は生まれてくるべきでなかった」とクサヴァーに問う。
その言葉を聞いたクサヴァーはジークに自分の過去を打ち明ける。
かつてクサヴァーはエルディア人の身分を隠してマーレの女性と結婚し、息子を儲けた。しかし、本来の身分がバレてしまったことで妻は子どもと無理心中してしまう。（ライナー・ブラウンの父親が恐れていたように、マーレ人がエルディア人と交際することは一族を巻き込んだ厳罰の対象となる）
この後悔と罪の意識からクサヴァーは巨人の研究に没頭するようになり、またジークも失った息子の代わりと見ていたと述懐する。マーレの戦士になったことも「贅沢な自殺」と自嘲していた。
「自分はこの世に生まれてこなければよかった」と涙を零すクサヴァーの話を聞いたジークは「世界の人々を巨人の恐怖から解放し、エルディア人を苦しみから解放する」ことを決意、約束した。
マーレ編開始の12年ほど前の時期、任期満了を控えたクサヴァーは巨人となったジークに捕食されて死亡。「獣の巨人」をジークが継承する。
以降ジークが掛けている眼鏡はクサヴァーの形見である様子。また、ジークが「獣の巨人」となって戦う時に岩や爆弾の「投球」による戦闘スタイルを取ることや、よく野球用語を口にすることは彼の影響であると思われる。
天と地の戦い終盤にて『道』に残留していた意識が巨人体の制御を奪還したことで協力したあと、アルミンの巨人化で消滅した。
能力
終尾の巨人の能力で生成されたことで判明。
巨人体は頭部が雄羊型で、頭部と下半身が体毛に覆われている。頭突きで巨人をぶっ飛ばす程のパワーこそあるものの戦争では役立たず扱いされている。
巨人の力を手にしたのは研究のためであり、自分は戦闘では役に立たないと語っている。科学者としての実績を評価されて(例外的に?)継承を認められたのかもしれない。
当時「獣の巨人」は多少大きいだけで戦闘向きではない巨人と見做されていたため、非戦闘員である彼が継承することも許された可能性がある。
死去の間際に「集大成」と呼べる研究結果を発表したらしく、その中の一つとして「始祖の巨人」がエルディア人の記憶だけでなく体の構造までも書き換えることができるのを突きとめている。
モデル
容姿・研究者という立場ともに映画評論家の町山智浩。タマフルなどの映画評論ヘビーリスナーである作者の諫山創がファンで、過去に実写映画版（進撃の巨人(実写版)）の脚本などもつとめている。
これが由来で町ヴァーさんと呼ぶ人もいる。
