「4人の子供に始祖奪還計画を託すなど …俺には正気と思えん」
CV:斉藤次郎
概要
エルディア人戦士隊の隊長を務め、最前線で彼らを率いている。
同時にライナーら巨人化能力継承候補生(マーレの戦士)を厳しく鍛え、その実力を見抜き選別した。
人物
性格は大変厳格にして冷静沈着。
マーレ人は下位の身分であるエルディア人を「悪魔の末裔」と蔑んでいるが、マガト自身は言動は厳しいものの偏見を持たず、エルディア人の兵士であっても人命のある部下として扱っている。候補生・ウドによるマーレ海軍への罵倒を聞き逃したり、ガビの腕章取り外しやコルト・ジークらの進言を許したり、ジークによる始祖奪還作戦再開の上申を評価したりしている。
また、酔ったコルトが起こした列車内のバカ騒ぎに目を瞑るなど、柔軟性も持ち合わせる。
エルディア人戦士隊に「祖国から栄誉を得るチャンス」だと人的大損害を承知で突撃を命じたこともあるが、それも巨人戦力を失う高いリスクとの天秤にかけての冷静な判断であり、その命令に反論したエルディア人で獣の巨人継承予定者のコルト・グライスにきちんと説明すると共に、次期指揮官として非情になるよう諭している。
巨人能力者の訓練の指揮も過去には勤め、戦場にという過酷な未来が待ち受けている候補者達に(キース・シャーディスの如く)彼らがそれに耐えられるか見定めるべく厳しく訓練を課した。
ライナーら巨人化能力者の子どもたちに「始祖の巨人」奪還作戦を実行させることには最後まで反対していたようで、彼らを見送る時も「始祖と共に全員帰ってこい」と激励の言葉を投げかけており、厳しいながらも人種関係なく接している。
逆に、エルディア人に戦闘を任せて高みの見物を決め込んでいるマーレ人や、現状を認識出来ておらず巨人の力に頼りきりで差別意識だけは一人前の軍上層部を嫌悪しており、マーレ人の徴兵制度を復活させるよう働きかけている。
一方で、長年の付き合いであるジークのことは心の底から信頼しておらず、「未だ底知れぬガキ」と評している。
コルトとジークの密談を見つけた際には「尻毛の数まで申告しろ」と冗談を言いつつジークに釘を刺し、エルディア人のみの密談ではジークが「(マーレ軍人は)この部屋にはいない」と話した意図(=「別の部屋で盗聴している」と警告した)に気づいていた。
また、マーレ国の影の指導者がタイバー家であることにも気づいている(正確にはタイバー家が償いとしてマーレ国の巨人戦力保有を認め、政治から距離を置いていた)。
総じて厳格にして聡明、かつ深謀遠慮を巡らせる性格と言える。
その優秀さ及びマーレの危機を察している人物として評価は高く、マーレ国の影の指導者であるタイバー家当主・ヴィリー・タイバーとの会談では、諸国からの憎悪と巨人戦力の影響力の低下により危機に瀕するマーレ国を救いたいという彼から協力を持ちかけられた。
来歴・活躍
スラバ要塞攻略戦
「無理? それは命令か? エルディア人が私に命令するのか?」
マーレ軍の部下・コスロと共に、エルディア人戦士1個大隊800人と巨人化能力継承候補生を率い、最前線で中東連合軍と対峙する。
当初は塹壕で要塞接近を試みるが、コルトの報告と装甲列車砲の出現を受け、要塞接近から列車砲破壊へと作戦を変更。
コルトからは巨人戦力の投入を提案されるも、巨人戦力の限界を知る故にそれを却下した。
戦士隊突撃による大損害必至の列車砲破壊を一度は命じるが、ガビの無謀かつ本来禁止の国際法違反作戦を認め、見事窮地を脱する。
戦争後
「すべては 巨人の力に胡座をかいたツケが回ってきた。それに尽きます。」
対中東連合戦に関する各国での報道を受け、巨人戦力の不甲斐なさに怒りをあらわにするマーレ軍元帥に対し、臆することなく「他国は巨人に対抗する手段を研究してきたのに対し、マーレが巨人の力に頼りきりで他国より技術が大幅に遅れただけ」と冷静にマーレ軍の問題点や過ち、今後の戦争の見通し、巨人戦力の陳腐化等について意見した。
ヴィリー・タイバーとの邂逅
「もしマーレを裏から操るものがいるなら言ってやりたい。とうに手遅れだと。」
マーレ軍上層部が不在となったある夜、戦槌の巨人を管理するタイバー家当主ヴィリー・タイバーが突如として軍本部へ来訪する。これに伴い、"急遽出張となった"上司の代わりに代表として謁見。
上司の出張がタイバー家が自分に会いに来たためによる意図的なものだと気付いており、ヴィリーから、巨人戦力に頼りすぎたために軍の機械化・近代化は遅れ、他国からの評判は最悪であるマーレ国を救うべく協力を持ちかけられる。
その提案を受け入れ、軍の立て直しを図るべく軍の内部を調査すると同時にマーレに入り込むスパイの存在を嗅ぎ取っている。
宣戦布告式典に向けて
「エルディア人は悪魔の末裔に違いありません。そして私達は 悪魔に違いない。」
ヴィリーから「マーレ軍の腐敗の一掃」「パラディ島勢力に対抗するため各国の協力を得る」という2つの問題を一度に解決する手段を聞かされる。それは大勢の犠牲を前提とし、更にはヴィリー自身の命の危険もあるというものだった。その計画を思いついたヴィリーと、それを実行する自分を「私たちは悪魔に違いない」と言い、ヴィリーと固い握手を交わす。
レベリオ区襲撃
「…全員、覚えておけよ。一番槍を入れたのはこの私だと。」
ヴィリーの予測通り、演説中にエレンの巨人化を皮切りに調査兵団の襲撃が始まると、接収した「対巨人砲」で応戦するも練度の低さ故にエレンを仕留めるには至らなかった。
レベリオ区における調査兵団の襲撃は、ジークの裏切りなど、予想外の出来事の積み重ねで「戦鎚の巨人」をエレンに奪われ、艦隊が壊滅するなど手痛い敗北に終わる。しかしヴィリーの目論見通りにパラディ島の脅威を世界に知らしめ、各国の敵意をマーレからパラディ島へ向けることに成功した。
パラディ島強襲
「…来たか、驚異の子。」
レベリオ区襲撃後、マガトは全滅したマーレ軍上層部の代わりに元帥の地位に上り詰める。それからほどなくして、ヴィリーの思惑通りマーレと主要国による巨大軍事同盟が結ばれることとなった。しかし戦士隊副長のライナーはそれでは遅いと主張。ジークが何かを企てていると予想し、その企みを潰すため今すぐにマーレ軍だけでパラディ島を奇襲すべきだと提言する。
ライナーの提言を聞き入れたマガトは、すぐさまマーレ軍の残存兵力を結集し飛行船でパラディ島へ向かった。先遣隊として潜入させたピークと島の捕虜となっていたガビの証言から、エレンとジークの接触こそが「始祖の巨人」の能力の発動条件であり敵の狙いだと推測したマガト。エレンとジークの接触を阻止するため、車力の巨人に変身したピークの背に乗り自ら前線に出陣する。
マガトは車力の装備した対巨人砲でエレンを狙撃し、ライナーやポルコとの連携で追い詰めるが、そこに獣の巨人に変身したジークが参戦したことでかえって劣勢に立たされてしまう。
マガトとピークは不意打ちのため車力の巨人がやられたと偽装し、対巨人砲でジークを壁上から突き落とした。追い込まれたジークは無垢の巨人を生み出し戦況を混乱させる。それでも再び獣の巨人のうなじを撃ち抜いたマガトだが、エレンを守ろうとするミカサ・アッカーマンやアルミン・アルレルトの攻撃を受け対巨人砲が破壊されてしまう。
さらにうなじを撃ち抜かれて死んだと思われたジークは、先程のピークと同様に巨人体を囮にして本体だけ脱出していた。かくして、マガトらマーレ軍の奮闘も虚しく、ついにエレンとジークは接触、「地鳴らし」を許すこととなった。
「地鳴らし」発動
「この…血に塗れた愚かな歴史を 忘れることなく後世に伝える責任はある」
ピークと共にシガンシナ区から脱出したマガトは兵団から脱走してきたハンジと出会い、反目しながらも「地鳴らし」阻止のため協力することとなる。
そのためにヒィズル国のアズマビト家が用意した「飛行艇」をイェーガー派より先に奪取するため、島の港へと向かう。その最中で島の人と触れ合い、本音を知ることでマーレとエルディア双方の犯してきた歴史の過ちに気づき、歴史を正しく後世に伝えることが重要だと悟る。
ようやく港に到着するも、港は列車を使用して先に到着していたイェーガー派に占拠されていた上に「地鳴らし」の速度が思ったより早く、飛行艇が飛べるようになるまで1日近くかかるとわかり、最速で地鳴らしを止めてもマーレ壊滅は避けられない状況にあると判明する。
しかし、船でアズマビト家の整備工場へ向かい、飛行艇を整備して飛ばすという一縷の望みに賭けるため、イェーガー派の猛攻を退けなんとか船は出航。マガトは殿を務めるため港に残り、停泊してあったマーレ軍から押収した軍船を爆破しようとしたところ、アルミンらを援護しに来たキース・シャーディスと出会う。
二人で協力し船の弾薬庫に立て籠もり、互いに最期の戦友となった者の名を聞くと火薬に火を付け自爆した。